目次ページへ

Wi-Fi技術講座
第15回 Wi-Fiの周波数

技術・調査委員会

Wi-Fiで利用している周波数を整理すると、下図のようになります。
従来の規格、802.11b/11gで活用している2.4GHz 帯は世界共通バンドで、ISM バンド(Industry, Science and Medical)と呼ばれています。
この帯域は、いろいろな利用形態が認められていて、例えばBluetoothやワイヤレスカメラなどの通信機器に加えて、電子レンジやレーザメスなどの医療用器具まで多用途で利用されています。

2.4GHz 帯のWi-Fiのチャネルは、1~13 チャネルまで5MHz 刻みで割り当てられており、少し間があいて14 チャネルが割り当てられています。14 チャネルは日本でのみ利用可能な周波数で、11b のみで定義されていて、11g は使えません。

アクセスポイントと端末はともに小電力無線局として技術基準適合証明または工事設計認証(技適シール)を取得することで、免許不要で利用することが出来ます。

802.11a が規定されている5GHz 帯は当初は5.15GHz~5.25GHz の100M Hz が屋内で利用できるだけでしたが、2005 年に周波数が新たに追加になり、上図の通り、合計455M Hz割り当てられることになりました。こちらも同様に免許不要で利用できます。

ただし、5.15GHz~5.25GHz(W52)は移動衛星システム、5.25GHz~5.35GHz(W53)は地球探査衛星システム、W53と5.47GHz~5.725GHz(W56)はレーダシステムと共用しているため、W52(条件付きで屋外利用可)/W53は屋内利用限定、W53/W56はDFS/TPC(Dynamic Frequency Selection/Transmit Power Control)という機能を持つ必要があります。

特にDFSは、運用中にレーダが周辺にないかを常にチェックし、もし検出した場合は、レーダ干渉のないチャネルに移行するために1分間レーダがないことが確認できたチャネルに移動することが義務付けられています。さらに、その後30 分間はもともとのチャネルに戻れないという制限がついています。

公衆無線LANサービスとしてみたときには、1分間の停止やチャネルの割り当てなど運用上の問題が発生する可能性があるため利用には注意が必要です。

ただし、W52については2018年6月から以下の条件付きで屋外利用が可能となりました。

・人工衛星に影響を与えない(上空側へ強い電波が出ない)工夫が施された専用機器を利用する
(「5.2GHz帯高出力データ通信システム」の技術基準適合証明等を取得した機器)

・アクセスポイント及び中継器については、事前に総合通信局に「登録局」の手続が必要

・気象レーダーに影響を与えない場所(告示*に示す「開設区域」内)でのみ利用可能

専用の機器や登録局の手続きなどの詳細については総務省の以下のページを参照してください。

https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/wlan_outdoor/index.htm

総務省 「無線LANの屋外利用について」より抜粋

参考文献:
『Wi-Fiのすべて 無線LAN白書2018』 小林 忠男監修 リックテレコム発行


◆Wi-Fi技術講座一覧◆

Wi-Fi技術講座 第1回 2.4G帯と5G帯の使い分け
Wi-Fi技術講座 第2回 Beaconはお知らせ信号
Wi-Fi技術講座 第3回 Wi-Fiのルール CSMA/CA
Wi-Fi技術講座 第4回 認証と暗号化の取り決め
Wi-Fi技術講座 第5回 高速化のための技術
Wi-Fi技術講座 第6回 高速化のための技術MIMO
Wi-Fi技術講座 第7回 ハンドオーバーの動き
Wi-Fi技術講座 第8回 Wi-Fiとキャリアネットワーク
Wi-Fi技術講座 第9回 iPhoneのハンドオーバーについて
Wi-Fi技術講座 第10回 Wi-Fi Vantageの狙いと効果
Wi-Fi技術講座 第11回 OFDMについて
Wi-Fi技術講座 第12回 Wi-Fiシステム構築 実践編
Wi-Fi技術講座 第13回 WPA3 とEnhanced Open
Wi-Fi技術講座 第14回 Enhanced Open


目次ページへ

■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら