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Wi-Fi 技術講座
第6回 高速化のための技術MIMO

シスコシステムズ 前原 朋実

802.11n以降実装されたMIMO (Multiple-Input Multiple-Output)は、それまでひとつしか使えなかった送受信機(アンテナ)を同時に複数使える技術です。

MIMOには、3つの仕組みがあります。

Maximal Ratio Combining (MRC):

受信機側で機能します。

複数経路(ストリーム)から同じ情報を流すため、いづれかの経路で取りこぼしても、他の経路がそれを補うことで全体の取りこぼしを削減します。
これは、端末がMIMO対応・非対応に関わらず効果があり、通信の安定性向上に役立ちます。

 

Spatial Multiplexing:

送信機、受信機共に機能の実装が必要です。

ひとつのルートではなく複数ルートにわけて情報を送るため、より短時間で通信が完了する(高速化のための機能です。

 

Transmit beam forming (TxBF):

送信機、受信機共に機能の実装が必要です。

端末に向けて電波の波を重ね合わせて電波を強く(位相を最適化)することで、高速化を図る機能です。3×3や2×2という表記は、一般的に「送信用アンテナ×受信用アンテナ」の数を示しています。

 

【MIMOの豆知識】

波は同時に二つ発信されても合成されながら進んでいきます。電波も同じように二つのアンテナから発信された波(信号)は合成されながら受信される側へと送られていきます。このとき、壁に当たって反射してきた波もあります。受信側で送信側のアンテナから直接受信した波と、反射して受信した波を空間のモデルを元に計算から導き出すことができます。

水面の波は距離が遠くなれば小さくはなりますが、その波の成分は他の波と合成されてもゼロにはなりません。こういった波の特性を生かし、高速伝送を実現したのがMIMO技術です。

 


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