Wi-Fi技術講座 第2回
Beaconはお知らせ信号

技術・調査委員会 松村 直哉

Wi-Fiが利用できることを周囲に知らせるために、アクセスポイントはBeaconという信号を定期的に送信し、その周りの端末に「ここはWi-Fiが使えますよ!」と知らせています。

図-1 BeaconはWi-Fiが使えることを公知

このBeacon信号をキャッチすることでBeaconに含まれた情報をもとに、スマートフォンなどの端末は接続するためのアクションを開始します。
Androidアプリ「Wi-Fiアナライザ」などを利用すると、その周りのBeaconをキャプチャすることができます。

図-2 Wi-Fiアナライザによる測定画面

Beaconはアクセスポイントから定期的に送信される識別信号で、この中にはSSIDやアクセスポイントが対応している速度などが含まれています。特に何も設定しないと802.11bで定義された最低レートの1MbpsでBeacon信号をブロードキャストします。

また、初期設定では100ms周期で送信しているため1Mbpsだと約2%のAirTime(通信時間)を消費します。Beaconに含まれる、SSIDは利用者からWi-Fiを識別するために使われます。公衆Wi-Fi等では、キャリア名やその場所のオーナー情報が入っているSSIDが見受けられます。

また、1台のアクセスポイントで複数のSSIDを利用する場合は、1つのSSIDに対して1つのBeaconを送信します。そのため例えば3種類のSSIDを利用すると、100msの間に3つのBeaconが送信されることになります。

802.11bが世の中に出てきた2000年頃はこれで問題はなかったのですが、昨今、何十台ものアクセスポイントが設置される駅構内やスタジアムなど人の集まるようなところだと、一つのBeaconが消費する2%のAirTime(通信時間)が何倍にもなるため、かなりの時間を消費するということになってしまいます。

図-3 複数のアクセスポイントからのBeacon

アドバンスド設定

BeaconによるAirTime消費を避けるため、法人向けのアクセスポイントではBeaconの伝送スピードを6Mbps程度に上げたり、100msの周期を倍の200msに変更したりすることができます。

また、低速のサポートが必須である802.11bを対象外にすることで最低のレートを1Mbpsから6Mbpsにすることができます。

11bのサポート速度は1M, 2M、5.5M、11Mbpsです。同じ2.4Gをサポートする11gは6M、12M、18M・・・54Mbpsとなっており11bを対象外とすることで1M、2M、5.5Mを除いた6M以上が対象となります。
スピードの設定は一般的にBasic Rateと呼ばれ、Basic Rateを12Mbps等(11bと6Mを対象外に設定)に設定することでBeacon数が多少多くてもデータ通信できる帯域への影響を小さくすることができます。

5GHzの場合、Beaconは6Mbpsと6倍速になるため2.4GHzと比較し、BeaconによるAirTime消費はそれほど問題にならないと考えられます。但し、Wi-Fiにおける通信速度は通信中に発生するエラーと相関関係があります。エラーが発生しやすくなると、通知速度を下げ、エラーレートを下げるといった動きをします。Basic Rateを上げることでエラーに対する耐力が弱くなる可能性があるため、エラーレートを配慮しながらBasic Rateを決める必要があります。

セキュリティの観点からBeaconにはステルスモードというものがあります。これはBeacon内に含まれているSSIDを隠す機能で、ステルスモードになっていると端末からはSSIDを見ることが出来ません。アクセスポイントはSSIDだけが含まれないBeaconを吹きます。

また、端末からのSSIDを含まないプローブリクエストに対して応答を返しません。これによって、見かけ上のセキュリティを向上する事が可能ですが、公衆無線LANや5GHz帯での利用は一般的ではありません。


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