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Wi-Fi技術講座
第9回 iPhoneのハンドオーバーについて

技術・調査委員会 松村 直哉

iPhoneのハンドオーバー動作についてappleの以下のHPに書かれている内容を基に解説したいと思います。
https://support.apple.com/en-us/HT203068

コンシューマー利用としてはiPhoneの場合、家庭のWi-Fiルータ配下での利用、駅やスタジアムなどの公共の場での利用などがあります。多くの場合はAPを切り替えて利用するといったハンドオーバー動作が少ないと思いますが、企業や学校においてはiPhoneを持ち歩きどこでも安定した通信を提供できるようにAPの置局設計によりハンドオーバーを円滑に動作させる必要があります。

ここで書かれているポイントとしては-70dBm以下でハンドオーバーを開始するということです。このため-65dBmから-69dBmくらいのレベルで複数のAPがオーバーラップするように設計するということです。実際のAPの設置場所を決めるにあたっては直進性が強い5G帯を使います。

上の図のAのAPからBのAPへハンドオーバーを行う際に、ポイント①ではAのAPにて通信、ポイント②ではRSSI値が-70dBmとなり、ハンドオーバーの動作によりRSSI値が-60dBmのBのAPに帰属することになります。この際、8dB以上レベルの大きいAPを探す、とあります。

エリア設計で1点注意が必要で、RSSI値の測定には利用するデバイスを使う、ということです。

Appleから「AirMacユーティリティ」がApp Storeで提供されており、これを利用するデバイスにインストールすることでより正確なRSSI値を測定することができます。

パソコンでRSSI値を測定するソフトウェアもありますが、パソコンの受信感度と利用するデバイスの受信感度では数dB変わることがあり、ハンドオーバーを考慮したエリア設計にはこのツールを利用することが推奨されています。

その他、11r、11kに対する解説については技術・調査委員会にてシスコ)前原様から説明のあった資料をご参照ください。

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