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技術情報
5Gの本命はドローン!?

企画・運用委員会 松村直哉

東京五輪を前にしてドローンに関する話題が多くなっていると思います。利用用途の分類を中心に最近の状況について調べてみました。

ドローン飛行の分類

趣味の領域で200g未満の小さなドローンを飛ばして楽しむ、テレビ番組などのロケ地での空撮、災害地での状況把握のための空撮、さらに映画などにも登場するアメリカ軍が完全リモートでピンポイント空爆するドローン、など利用用途に応じ、大枠は以下のように分類できるのではないかと思います。

・目視飛行

ドローンを地上から目視しながら操縦する。この目視飛行の場合でも、昨今の

ドローンはホバーリングと呼ばれる静止飛行(昔のエンジン式リモコンヘリでは

熟練者のみができる技)やボタンを押すと宙返りなど、以前は複雑な操作が必要だ

った操縦を6軸センサーとモーターを制御するESC(Electronic Speed Controller)

などにより簡単な操作を実現しています。

・目視外飛行

ドローンに装備されたカメラからの映像を遠隔地の操縦士に送信し、その映像を

もとに操縦する。ドローンと操縦者との距離によりWi-Fiや携帯電話の電波を利

用します。

・半自動飛行

自動車に装備され始めていますが、障害物があるとブレーキをかける、これと類似

した機能がドローンにもいろいろと搭載されています。画像認識により特定の物

を認識して静止したり、追従したり、周りを旋回したりすることができます。

・完全自動飛行

GPSとカメラからの映像を認識して自分(ドローン)の位置を把握し、目的とした

場所まで飛行する。

簡単にまとめると下の表のようになると思います。

それぞれのケースにおいて安全性を高めるための取り組みが今後、必要となってくるでしょう。モーターが停止するなどの機器トラブル、天候によるアクシデント、鳥獣による攻撃被害などさまざまなケースに対応できる機能を具備する必要があると考えられます。

安全性については画像認識やセンサー、モーターの性能向上により徐々に解決されていくと思います。

ドローンの3つの課題

また、ドローンを飛ばすうえで現在、課題となっている点は大きく3点あると思います。

1)空域(飛ばせる場所) これは目視、目視外に関係なく、定義されており、場所による申請方法、時間などが整備されつつあります。

2)目視外飛行の場合に利用する無線の種類
近距離であればWi-Fiが利用できますが、目視外となり遠距離での通信が必要な場合は携帯の電波を利用することが検討されています。

3)さらに2019年2月号のメルマガ記事のような「ドローンの脅威」があると思います。詳細についてはこの記事を参照ください。

https://www.wlan-business.org/archives/19697

(1)の空域については以下の国交省のページに詳しく解説されています。

http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

大まかには下図の空域が飛行可能エリアとなっております。詳細については以下のHPを参照してください。

http://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000041.html

国道交通省のHPから引用

次に、(2)目視外の時に利用する電波については、通信手段として広域をカバーできる携帯電話を利用することが検討されています。

総務省のHPより引用

通常、携帯電話の基地局は上の図のように路上にいる人や車をターゲットにして、アンテナの角度を調整しています。この基地局をドローンで利活用する場合、150mまでの上空を飛行するドローンに対して電波を吹く必要があり、現状の設計のままで利活用できるか?または新たなドローン専用のプライベートLTEのようなネットワークを構築するか?などの検討が必要となってきます。

これについては総務省の「上空利用検討作業班」にて来年3月を目途に制度化を予定しています。

上空利用検討作業班 想定スケジュール 総務省のHPより引用

目視外飛行、完全自動飛行については近い将来、ローカル5G等を使った地域毎のドローンネットワークが構築され、多数飛行するドローンを管理するエリア毎の管制塔が必要となってくると考えられます。

遠隔の映像伝送や制御を行う上でドローンが5Gネットワークの本命デバイスとなることは間違いないのではと思います。


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