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[特別座談会] 5GとWi-Fiの競合と補完を考える (下)
キャリアバンドの5Gと自営型のWi-Fiとの住み分けが続く

出席者 北條博史会長、江副浩渉外・広報委員会委員長
松村直哉企画・運用委員会副委員長、森田基康渉外・広報委員会副委員長

5Gの特徴をよく見てWi-Fiラインナップ全体との比較が必要 へ_

5GとWi-Fiの補完と競合のポイントは何か

――すでに、論議が二番目のテーマである「5GとWi-Fiの補完と競合について」に入っていますね。ここでは、「提供サービス比較、エリア比較」などについて論議してください。

北條 先月、江副さんがメルマガの記事で紹介された「アメリカの5G動向」では、5Gはバックホール用途ですね。道路の信号機に5Gアンテナを付けるという話が出ていますが、ベスエフォートのBフレッツじゃとても5Gのバックホールとして帯域が足りませんから、300メートル置きに専用線を1本ずつ引くことになるのではないでしょうか。そのコストはどれだけになるのでしょうか。

江副 確かに信号機に付けていくというのはありですけど、実はあれをやろうとすると、地権者が違うということがあって、とても大変なはずなんです。信号機自体は警察が管理しているけど、例えば国交省管轄の道路に置いてあって、それを専有している人がそれぞれ1つの電柱に対して複数の人が利害関係を持っている。そこにキャリアが乗っかっていくというのは、とてつもない本数に対して、どう取りまとめていくかということになり、たぶん大きな壁があるんです。
電話柱には電線はあまり乗らないんです、高さが低いので。電力柱は両方乗るんだけど、共架になるので、権利関係の整理を取りまとめてやるのが大変。信号機になると今度は警察の持ち物になってくるので、警察の持ち物は重要保安システムなので、そこに対してどういうふうに割り当てていくか。たぶんいろいろな法整備がこれから整理されないと簡単ではないだろうなと思いますね。

――5Gはゼロからスタートするわけで、半径2、300mといわれている基地局エリアの狭さも含めて、今までとは全然違うエリア展開になりますね。総務省の打ち出した全国をメッシュに切ったエリアの50%以上のカバーが目標ですから、今までとはまったく違う概念ですね。この前、あるキャリアさんが「今までは人が居るところに打つというのが基地局だったんだけど、5Gは人が居ないところに打たなきゃいけないという、初めての経験だ」と言っていました。人が居ないところで価値を発揮するというIoTとか自動運転などを抱えた新しい試みですね。

北條 5Gのメリットは超高速が一番分かりやすくて、1Gbpsとか10Gbpsとか言っていますけど、低遅延というのは実はまだ実現できていないというか、無線区間が低遅延なだけで有線区間のことは考慮されていません。「MEC」というエッジコンピューティングができればいいんだけど、ビジネスモデル的にエッジコンピューティングのコストを誰が払うのかというのは、実は曖昧なんですね。
MECは、お客さんの近くにあるということですから、そのコストは慈善事業じゃないんだから、利用者が結果的に払ってもらわないとエリアが広げられないわけです。低遅延というメリットはあるんだけれども、本当にエンドエンドで低遅延になるようなネットワークが構築されるまでということを考えると、広く展開するには2~3年では無理なんじゃないか、5年・10年計画でやっていくしかないと思います。

江副 確かにくまなくエッジコンピューティングを入れていくということは不可能だと思うんですが、エッジコンピューティングは基地局の周辺限定のサービスになってくるので、例えばある民間事業者がこの近辺でドローンを飛ばして、橋梁の検査を行うことが頻繁にありそうだとか、ある自然観測を常にしなきゃいけないとかという話があったときに、キャリア側からすると、「それは新しいビジネスになってきて、あなたのためにここにMECを設置します。ドローンの制御は非常に高速でローカル打ち返し通信ができるようになります」という追加のSIというかエンタープライズサービスを提供できるというものであって、それは5G全てに言えることではないんですね。だから、たぶんその瞬間は、そこはフル5Gになっているんですけど、それが日本中全部そうなっているんですかというと、たぶんそれはないですねということですね。

――5Gは今までとは違って、産業用途を中心にしたユースケースを新たに開発し、そこからお金が取れるビジネスモデルを作らないといけない新しいネットワークなので、携帯電話キャリアはものすごく苦労しているわけです。付加価値を付けるか、あるいは産業用途に入り込む5Gサービスじゃないと、お金が取れないわけですね。

北條 例えばお客さんがローカルで高速なサービスをしたいと思ったときに、5Gだったらキャリアが基地局を作ってくれて端末を提供してくれる。Wi-Fiだったら自分で買って光を引いて作らなきゃいけないからキャリアに頼みましょうというような話も、ひょっとしたらあるかもしれない。でも、Wi-Fiは作ってしまえばその後の通信料は掛からないが、5Gは通信するごとに通信料を取られます。だけど、お金の議論は今、ほとんどどこにも出ていない。コストがいくらになるのかというのは結局そこに専用線を引いて、5Gの基地局を設置・運用するコストをキャリアとしてはお客さんから取り返さないと、何年間かにわたってね。それを何年で取り返すかのビジネスモデルにするかによって、Wi-Fiよりも安いとか高いとかが決まるんですけど、そこはあまり議論をされていないので、なかなかこの後の比較議論も難しいのかなと思います。

江副 先ほどMECの話が出ましたが、実はWi-Fiは、とっくにMECを提供してきていたんです。5Gで、高速通信、低遅延通信ができますということがうたい文句になっているけど、Wi-Fiの場合はそもそも基地局のすぐそばに、そういったサービスをするサーバを置いていたわけです。企業向けに提供してきたWi-Fiサービスというのは、限りなくMECサービスを持っているようなサービスで、それをカスタマイズドで今まで売ってきていて、それに対して月額料金が掛からないというものをやってきたんです。
だから、実は5GのMECビジネスモデルというのは、たぶんキャリアさんがWi-Fiでやってきたことを参考にしていくと役に立つのかもしれないんじゃないかと思います。

森田 私個人的にはWi-Fiのビジネスの世界に5Gが侵食してくるところは、少ないと思っているのです。ただ工場を考えてみると工場敷地内にはいろいろな生産ラインがあって、建屋ごとにMECみたいな仕組みがあって、Wi-Fiがあって、生産管理する端末とかいろいろなデバイスがあります。設備投資もしていて、相応の仕組みになっている。そこに例えば5Gを使って、全てのものが5Gにつながって、5G経由でクラウド環境にある何らかのエンタープライズの仕組みやビッグデータに現場の情報を放り込んでリアルタイムでやりとりさせます。これは考えられる世界だと思っています。
ただ、ローカル5Gがもてはやされていて、そういうインダストリーの世界というのはローカル5Gが結構侵食してくる環境が考えられるかなと。ただし、ローカル5Gも5Gも基本的にライセンスバンドで、いわゆるストックモデル、何らかの形の月額の費用が掛かるモデルになるので、そこが根本的にWi-Fiと違うところになるので、実際に導入する企業として、どう判断されるのか。やっぱりWi-Fiでいいんだよという選択肢が出てくるのではないかなと考えています。

――そこは重要なところですね。デジタルトランスフォーメーションの波のなかでデジタル化、ワイヤレス化が工場にも必要ということで、5Gが注目されている。キャリアも法人顧客からワイヤレス化の提案を求められている。今はキャリアの選択肢としてはライセンスバンドでスマートファクトリーを作る提案になる。代わりに、例えば富士通とかNECとかSIがローカル5Gで工場のワイヤレス化の提案を出す。この場合も実はライセンスバンドということで競争が始まるわけです。
そこで、Wi-Fiとの比較でいうと、5Gはコントロールバンドなので遅延とか品質という点については、ユーザは期待しているという側面はあります。そこは競合になりますね。やはり、中央集中制御と自律分散制御という論点がでることになりますね。

北條 実は5GHz帯のアンライセンスバンドを使った「MulteFire」というものがあって、アンライセンスだけど中央制御でやりましょうというものでしたが、最後のホップのところでQoSをやらなきゃいけないというのは、どういうシチュエーションなんですかと言われたときに、意外とあんまりないので、その後必ずしも普及していません。実はWi-Fiは遅延が多いということは決してなくて、出そうと思ったらすぐ出すから空いていれば遅延はほとんどなしなんです。例えば1台しか端末がいなければ、Wi-Fiは遅延ゼロですが、LTEなどの基地局制御では転送にフレームを組みますので逆にフレームに乗せられるために必ず遅延が出ます。
それと、無線はそもそも届かないことがあるのです。そのときに遅延はどうなっているのかと思うんです。うまくいけば1msec以内に遅延を抑えられますよと。だけど、届かなかったときは再送するじゃないですか。再送したら確実に1msecよりも遅れるんです。フレームはもともと10msecでサブフレームは1msecだから。

江副 ACKタイムアウトを待ってから出しますからね。

北條 そうそう。そうすると、そのときはどうなるんですかと。ロボットがここまで動いて、次の指示が来ないときにどうするのかと。結局、稀に起こるエラーのために保護機能を付けておかなきゃいけないから、例えば1日5回ぐらい緊急停止することがありますということになっては意味がないわけじゃないですか。そうすると1msecベースでシステムはひょっとしたら作れないかもしれない。

MECを仮に入れたとしても。そういうところも実際にトライアルしてみると、本当に遠隔手術があるなら、出血しているのに「わー!」ということになっては困るわけだから、一度でもミスしたらだめなようなシステムには結局使えないんじゃないかと思います。

松村 もちろん、ワイヤレス化は工場に必要なことですが、超高速のロボットになるとそもそも間に無線とか5Gを利用するということ自体無理な局面があるわけです。自動機がすごい勢いで超高速で動いているので、その状態を見ただけで、これは無線じゃ使えるわけがないねというのは一見して分かるわけです。センサーでデータを拾ってきたりとかというのはワイヤレスでいいと思うんですけど、制御系でミッションクリティカルで高速で動いているものは無理ではないでしょうか。

森田 それは、私も同感です。超高速ロボットにワイヤレスをかませること自体があり得ない、ナンセンスですね。専用の同期用の通信システムとかがあるので、EtherCATとか有線とか。展示会でそういうものを実例として、かなりいろいろなところで展示されているから、私はすごく気になってはいるんです。本当にこれって実際問題使えるのかなと。

江副 逆に低レイテンシのワイヤレスシステムが役に立つところはどの場面かということの議論はあまりされてなくて、私が普通に見ていて、「ああ、いけるな」と思うのは「eスポーツ」ぐらいしかないんです。eスポーツの分野は、毎秒何フレームでコマンドを送るかという世界があるので、「ああ、要るな」と思います。

北條 あれは肝心なときにタップが入らず優勝を逃したということになったら大変なのでは?

江副 そうなんですけど、ただ工場のようなクリティカルではないということがあるんですよね。アミューズメントの世界ですから。公式戦じゃない範囲内では十分に使えるのかなと思うけど、それをどこまでビジネスに持っていけるのかですね。

――他に、Wi-Fiと競合するものは何かありますか。

松村 もともとWi-FiではQoSとかカラーリングとか、それごとにVLANを切っているものがあって、5Gのネットワークスライスとあまり大きく変わってないんじゃないかと思います。5Gはきちんと3GPPで決めて8つのスライスができて、たぶんアプリケーションが叩いて、こういうときにはAを使いましょう、こういうときにはBを使いましょうという話になっていくと思うんですけど、とうの昔にWi-Fiの中ではサービス品質をサポートする802.11e というものが決まっていて、それによって優先度も決まっていて、それごとにVLANを切ったりとかというのはもともとできるので、やる気になればすでにWi-Fiでできます。仕様としてはあるんです。今は、あまり使われてないのですが。

北條 さっきの話じゃないですけど、そういう使いみちがあまりないのではないかと思うんです。ないから、あんまりやらない。今、例えばWi-Fiでも音声用のために優先度を上げるとか、その機能もあって機能インプリもできるんですけど、別にそんなことを使わなくても普通に電話できるよという話です。ましてやLINE電話なんかがあるぐらいですから。下のレイヤーのことなんかは何も考えてないです、LINE電話。でも、それで普通にみんな使って、安いから電話はそれでいいじゃないかと。
結局アプリケーションを突き詰めていくと、別にそんなそこまでの低遅延なんかは必要ないんじゃないの?というふうになって皆さんに今、Wi-Fiを使ってもらっているということです。

――その意味では、5Gの三大特徴の一つの「低遅延」も、機械の遠隔操作だとか、さらにゲームも手術も、それは技術的にはできます、でもそれがお金になりますか、どこまでユーザーは支払ってくれますかということが大きな問題ではないでしょうか。今のところ、そこまでは必要ないという、そこまでのニーズはまだないということもあるかもしれない。だからモバイルキャリアは一生懸命パートナーを組んで、いろいろな試験をやっているんです。技術的な進歩でソリューションが完結できる、問題が解決できたという面と、それでユーザはいくら払いますかと、回収できるように料金が取れますかということが大問題です。ある意味では5Gの最大のテーマであり、キャリアもまだ未知数のところで、必死に取り組んでいる課題ですね。

北條 料金がまだ言えない段階なのです。

江副 私が思うには5Gの低レイテンシのマネタイズがどうなるというのは、競合する相手はWi-Fiじゃなくて光ファイバなんですよね。利用者は光ファイバを敷設するか5Gでやったほうがいいのかという比較をするので、おそらく競合はそこです。Wi-Fiで遠く離れたところと低遅延でやろうということは誰も考えないから、比較相手は光ファイバ、それは先月号のメルマガの記事の通りです。

Wi-Fiは世界で通用する「基軸通信」なので消えることはない

――まだまだ論議することがあるのですが、いったんここで区切りたいと思います。一言ずつまとめをお願いいたします。

江副 今、5Gがすごく注目を受けていますが、Wi-Fiはお金でいう「基軸通貨」に近いのではないかと思います。

――実際には、世界どこでも使える「世界マネー」ということですね。

江副 Wi-Fi Allianceから発表されているように、世界の通信の5割以上がすでにWi-Fiになってしまっている。Wi-Fiがトラヒックを運んでいるんですね。実は世界最強のドルでも40%ちょっとしかないんです。仮にユーロが5Gだとしたらどうなの?と。それは駆逐じゃなくて両方が共存して成立するんですよね。つまり、もともとデファクトになってしまったものはマジョリティをずっと持ったまま残ってしまうんです。そこが減っていくことはないということは言えるので、Wi-Fiが基軸通信として残るという説を、私は唱えています。

――ビジネスの現実そのものが示しているわけですね。

江副 ええ、現実問題としてWi-Fiが利用される量は減らないと思います。

松村 家の中のホームゲートウェイのWi-Fiが5Gに変わるなんて、まずないですよね。

江副 ないです。なので、どう考えても基軸通信は残るので、5Gとは共存していくんでしょうねと言わざるを得ない。
しかも、皆さんがいつも肌身離さず持っているスマートフォンにあっては86%がWi-Fiです。そんな最強の基軸通信が「5Gが出たので、さよなら」ということは、あり得ないですね。

森田 冒頭に出たライセンスとアンライセンスの話、それからよく小林顧問が言っている携帯オフロードとしてのWi-Fiが発展してきたというところを踏まえると、スマートフォンを使っているユーザーにとってWi-Fiは必須であるという環境は続きます、当然残っていくと思います。
ただ、5Gでやるべきもの、スマートフォンでやるべきこととかは、当然マーケットがあって、今後、そういったものはキャリアが、いろいろなコンテンツとか、サービスを含めて、市場に提供してくるでしょう。それが必要であると思うユーザーは、それを活用すると思います。
ビジネスの世界においては、先ほどもちょっと言いましたけど、Wi-Fiでやるべきことと5Gでやるべきことは、たぶんきれいに住み分けされてくると思っているんですね。インダストリーの世界だとか文教の世界だとか、あとは医療分野とか、先ほど北條会長からも指摘されたようにロボットの制御とか、いろいろな工場のいろいろな制御機器、それが全部5Gに置き換わるということは、僕はないと思っています。餅屋は餅屋的に持っている無線の特性とか、ライセンス、アンライセンス、管理型なのか分散型なのかによって、そこで使われる業務がたぶん変わってくると思うので、その辺は今後5Gが世の中に出てきて普及したとしても、うまく住み分けされていくでしょう。特に我々Wi-Fiを中心に販売をしているメーカーとかインテグレータは、そういうことを常に頭に入れてマーケット活動をしていけば、そんなに混乱することはないんじゃないかなと。

江副 やはり5Gが出たからWi-Fiは不要というのは根本的に間違いであり、Wi-Fiとモバイル=5Gが相互補完していくというのが実はユーザーにとって最も必要なことであり、現実的なことですね。これは当たり前すぎますが、改めて言う必要がありますね。

松村 キラーアプリというか、キラー端末というか、4GのときはiPhoneの登場でかなりブレークしたと思っていて、その後、スマートフォンがいろいろ出てきて牽引したと思います。今、5Gはそれに代わるものが全く出てきてないということが一番の課題かなと思っています。

――そういえば、5Gを象徴するようなデバイスはまだですね。

松村 デバイスはどこから出てくるかというと、たぶんWi-Fiを使ってまず最初は出てくるんじゃないのかな。それはいろいろな人が、いろいろなアイデアを持って考えて、トライ・アンド・エラーでやっていくときに、アンライセンスであるWi-Fiが一番使い勝手がいいし、アイデアの出る源泉はWi-Fiになってくるんじゃないのかな。それがうまくいったら投資をして5Gで使いましょうと、そういうふうになっていくのかな。なので、Wi-Fiで面白いデバイスが出てくる、これからWi-Fi 6とかWiGig とかというと高速になったときに面白い端末を誰かが作ってくれると非常に面白い世界が広がる、それがまた5Gの上に乗っかって広がっていくんじゃないのかなという、そういうのを期待したいですね。
私たちWi-Bizも00000JAPANを考案したわけですが、何か世界に貢献できるものをみんなで創出できたらいいと思います。そういう意気込みでやっていきたいですね。

北條 5Gのプロトコル自体は28GHz帯や3.7/4.5GHz帯で使うわけですが、実は既存帯域でも5Gのプロトコルを共有できる仕組みも作られているんです。だから、5Gのプロトコルはいろいろ融通が利く方式なので、例えば低遅延は無線区間だけだとしても遅延が少ないというのはいいことだから、それはそれで広がっていくことになるのではと思います。
28GHz帯の活用はともかく気が付いたら最終的に全て5Gのプロトコルになっていましたというようなことは当然あると思うんですね。

――それは、ありえますね。外国では、そういう構想も出ているようですね。

北條 でも、本当に今は5Gのメリットを生かせる領域は限られたところなのかもしれないなと思うので、そこはよく見ていかなきゃいけないところだと思います。
もう1つ今日議論してきた中で、「競合」というよりは「連携」の世の中になっていて、キャリアWi-FiもSIM認証で使えるようになっています。ユーザはLTEを使っているのかWi-Fiを使っているのかというのは、あまり意識しないでも連続して通信できるようになっています。本当の意味でキャリアが無線をやれライセンスだとかアンライセンスだとかを気にしないで、無線方式によらず1つのネットワークとして見ることができるのなら、例えばLTEで契約している学校のタブレットが、家に帰ったら家のWi-Fiからそのまま使えるようになれば、何もLTEで全てやらなきゃいけないことはないんですね。

ライセンスバンドでクローズドにやりたいと思うから、いろいろなところで、難しい状況になり、どっちを使うかという悩みがあると思うんですけど、本当にモバイルキャリアがユーザーを丸々取り込んでしまうつもりだとしたら、WiGigもHaLowもWi-Fiも全部自分のネットワークとみなして活用することができる。ポイントは「認証」なので、そこのところが統一的にやることができれば、それは全く問題ないということになるのかなと思います。


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