技術情報 ~Wi-Fi規格徹底解説:11ax~
下りに加え上りMU-MIMOでさらなる高密度通信が可能に

新技術導入促進委員会 北條委員長

IEEE802.11axは、既存の無線LAN規格との後方互換性を確保しながら、高密度環境でのユーザ当たりのスループットを4倍以上に向上させることを目標とし、標準化が進められています。
802.11axで検討されている主な仕様を802.11acと比較すると、表1のようになります。

表1

スループット向上の仕組みとして、周波数リソースの空間再利用を促進するSpatial Reuse技術が検討されています(図1-1)。
これは、既に誰かがチャネルを使用している状態であっても、先行する送受信に影響を及ぼさない場合には、それに重畳する形での送受信を許容するものです。
また、マルチユーザ伝送技術として、802.11acが規定した下りのマルチユーザMIMO(MU-MIMO)に加え上りMU-MIMO(図1-2)が可能になり、さらに、多重方式も周波数利用効率の高いOFDMAの導入も検討されています。

図1-1

図1-2

これにより、通信データの送受信を完了するまでの時間が大幅に短縮され、従来方式において、APの密度を上げてもこれ以上のスループット向上は困難とされていた駅・競技場(高密度でAP・端末が使用される環境)等でのスループットの改善が期待されます。

標準化は、2014年5月にTGax発足後、仕様策定が進められ、2016年9月のドラフト1.0版リリースを目指して作業が進められています。その後はドラフト改訂等の作業が行われ、2018年度内の標準化完了が予定されています。


■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら