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インタビュー
株式会社おきでんCplusC
ゼネラルマネージャー 
上原 康志 氏
「Wi-Fiセンシング」で高齢者見守り
沖縄17自治体に導入し全国展開めざす

Wi-Fiセンシングで創る「やさしいみまもり」–この言葉どおりの画期的なサービスを展開しているのは、沖縄電力のグループ会社「おきでんCplusC(シープラスシー)」だ。すでに、沖縄県内17市町村でサービスを始めており、さらに拡大する見込みだ。Wi-Fiセンシングは先端技術として注目され始めたばかり。まだ、ビジネスとして軌道に乗せたところは極めて少ない。先進的な取り組みを進めている、おきでんCplusC の上原康志ゼネラルマネージャーと、伊福正義沖縄事業部長に事業の取り組みについて訊ねました。

 

 

高齢化に伴う社会課題に挑戦

ーー「おきでんCplusC」は、沖縄電力グループの中で、どういう事業分野を担っているのですか。

上原 「おきでんCplusC」は、2021年に設立された会社です。沖縄電力がさまざまな新規事業を起こしていますが、その中で、私どもは分野としては「生活サポート事業」という呼ばれ方をしています。広い意味で社会貢献度の高い事業になりますので、沖縄県内のみならず全国で抱えている大きな社会課題を解決しつつ、それをビジネスとすることで持続性のある事業を進めていきたいと思っています。ボランティアだと、いいことをやっていても、なかなか継続が難しいので、そこは民間企業ですので、ビジネスとしても成立しつつ、日本が抱える社会課題の解決につながる事業を進めています。

ーー今回のサービスを始められたきっかけは何だったのでしょうか。

上原 日本は世界で最も高齢化が進んでおり、高齢化に伴う国・自治体・地域のお困りごとを解決できないかと考えたのです。

 

 

課題としては、高齢化に伴う財政出費の増大、福祉の担い手不足、老々介護の限界、孤独死放置の問題、民生委員が不足、役所の業務も疲弊しているなどが山積しており、この課題に挑戦する事業を立ち上げることになりました。

 

 

ーー今の日本の社会問題解決のために、ボランティアではなくてビジネスとしてしっかり推進していくという、非常にユニークな、素晴らしい取り組みではないかと思いますね。対象は沖縄県民の方ということでしょうか。

上原 まずは創業の地・沖縄から事業展開を進めていきます。ただ、沖縄は島嶼県であり、特に離島地域では高齢化や過疎化が進んでいます。おそらく全国各地の過疎地域でも同様の課題を抱えているかと思います。沖縄は市場としては非常に狭い地域です。ビジネス目線でいうと、沖縄以外のところでも課題を解決して、日本全体を良くしていくということで、非常に大きなテーマではあるのですが、会社設立当初から全国展開を目標に掲げて進めています。

 

 

Wi-Fiセンシングに早くから着目

ーー今回のWi-Fiセンシングという技術に着目されたのは、いつからですか。

上原 Wi-Fiセンシング技術を知ったのは、会社設立の2021年の2年前からです。この技術をいろいろな可能性を持っており、どの分野に私たちは進むべきかという検討のなかで、事業性評価をやっていく中で、見守りとかいくつか分野を分けてニーズ調査、技術的な実証試験を実施しました。その中でニーズが多かったという点と、非常に成長性が大きい分野と考えたときに、高齢福祉の高齢者の見守りという分野に行こうと判断しました。

ーーWi-Fiセンシング技術が先なのか、高齢者見守りなのか、最初の着眼はどっちだったんでしょうか。

上原 最初にWi-Fiセンシングという技術を知りました。この技術であれば何ができるんだろうということを並行して考えました。2018年ぐらいにこの技術に出合って、そこから「じゃあ、どういった事業で、どういった方々を対象にやっていこうか」ということで、事業性評価とか市場調査を進めてきました。

ーーWi-Fiセンシングに着目されたのも非常に早いですし、Wi-Fiセンシングを活用して見守りに使われるということも非常に早く、先進的な取り組みですね。具体的にはどういう形で、実際の活用・導入が始まったのでしょうか。

上原 当初は、資料にあるようなデバイスではなくて、まだまだ試作機のものでした。実際に利用していただく方々に、まずはモニターという形で30名・40名に手を挙げていただいて、そこから始めました。先進技術をとにかく使ってもらおうというようなことをやりがちなんですけど、私たちは徹底して高齢者を見守りたい方々、見守られたい方々は、何が必要で何に対してお金を払うのだろうかという、「どういうサービス、どういうシステム、どういうアプリケーションがいいのか」という視点から取り組んできました。

 

 

自治体と連携、3か所でスタート

ーー最初は、沖縄のどこから始められたんですか。

上原 当初、私たちの事務所があった宜野湾市というところからスタートしています。宜野湾市、沖縄市、豊見城市という3カ所からスタートしています。
小規模からスタートして、その後、内閣府の実証事業などを活用させていただいて、そこからかなり大規模な実証に入りました。

ーーサービスは有料化されているのですね。

上原 お金をいただく先が2つあります。自治体から利用料をいただくケース、ご家族とか一般のコンシューマからお金をいただくケース、この2つのルートがあります。そのうち自治体からいただくサービスは、すでに開始しています。ご家族とかからいただく利用料に関しては、2月以降に有料化を始める予定です。

ーー住民の方には、具体的にはどのような見守りサービスになるのですか。

上原 自治体が導入する住民向けのサービスは、まずシステム上に高齢者の緊急時の連絡網をデジタルで整備していきます。高齢者の情報、高齢者の方のご家族、何かあったときの連絡先、お名前・住所・電話番号・メールアドレスとかを全部デジタルで整備していきます。ご家庭にデバイスを設置して、そうするとここで高齢者の見守りの機能が動きだしますので、利用者の方は、もし屋内で動けなくなっている状態が継続すると、まずは登録されたご家族にアラートが通知されます。

 

 

ーー各家庭には、電波を出すWi-Fiのアクセスポイントと、電波を受けるWi-Fiセンサーを置けばいいわけですね。カメラも要らないのですね。

上原 その通りです。おうちの中にはインターネットのWi-Fiルータが1台あれば十分です。それで、デバイスを接続することになります。通信速度は低速で十分です。データ量も1.5GB程度になります。

ーーそれでリアルな見守りを実現できているんですね。

上原 カメラやマイクなどを使っていません。ウェアラブルデバイスとか、そういったものを身に付けることもなく、普段通りの生活をするだけです。定期的にボタンを押すなど何か動作をする必要もありません。そういうことをやらずに常に24時間365日、見守られるということで、利用者とご家族から高い評価をいただいています。

 

 

ーー自治体単位での利用と、個人あるいは家族の利用ということで、それはケースによって違うわけですね。

上原 自治体様からいただいている100円から500円の毎月のランニング費用、ここは利用者の異常をご家族向けにアラート通知を行うという機能になります。さらにご家族が有償利用をしていただくことで、アプリ上でさらに睡眠時間の細かい情報を見ることができ、独自でアラート通知時間を設定できる機能などのいくつか機能を利用することができるようになります。

家族のコミュニケーションも強化

ーーお客様、個人の方や自治体の住民の方などの声とかはいかがでしょうか。

上原 おかげさまで非常に嬉しいコメントが多数あります。まず高齢者の方とかご家族からは、普段、見えなかった部分を全て、生活の状況とか、眠っている・起きているというのを、アプリを通して見える化していますので、見守っている実感があるとか、見守られている安心感があるということで、満足度でいうと7割を超えるアンケート結果も出ています。非常に高いスコアでご評価いただいています。

 

 

ーーWi-Fiセンシングという新しい技術が、非常にマッチしているというか、成果が上がっているわけですね。私が聞いた話では、逆にWi-Fiセンシングというのは、よくでき過ぎていて、猫が動いても反応するとか、過敏過ぎて頻繁で困るとか、そういう話を聞くのですが、それは大丈夫ですか。

上原 今のところ、「敏感過ぎて」とか、そういうお話は、沖縄で私たちがやっている中では、特に影響はないです。初期のころは動くもの全てに反応していたんですが。今は、人以外は全て無視するというふうに、できるようになりましたので。

ーーそれはAIも入れているんですか。

上原 その通りです。「この検知の仕方は人だ、この動きの検知は人じゃない」というふうに判別されます。

ーーそれはベンダーさんのご協力が強いのですか。

上原 そうです。特にnami社の協力が非常に大きいです。

沖縄から全国展開へ

ーー実際に各自治体とか各ご家庭に入れてみて、意外だったとか、そういうものはありますか。

上原 私もそうなんですけど、離れて母親が1人で、海を隔てた島に住んでいたりするんですけど、数カ月に1回しか見れなかったものが、スマホのアプリで可視化してあげるだけでも、お互いに見守っている・見守られているという安心感です。あとこれを見てコミュニケーションが一気に増えるというところが一番びっくりしたところです。

ーーリアルタイムで、ずっと見れるというか、ずっとつながっているという感覚ですね。

上原 はい。面白いエピソードがありまして、子供が息子・娘がいると、娘はよく家に来たり電話をかけてくるんですけど、息子は全く電話をかけてこなかったという状況だったのが、こうやってアプリを見るようになって、むしろ息子のほうが電話が増えたという、おばあちゃんがいらっしゃいました。

ーー昔、カメラで見守りを利用したことがあるんですけど、実際はなかなか常時の見守りはできないですね。その点、Wi-Fiセンシングは、常時、ちゃんと見れるというか、つながっているというのが、思った以上に便利というか、コミュニケーションの効果もあるのですね。

上原 家族とのコミュニケーション、絆が強くなりますね。それは本当によく言われます。

ーー今は自宅ですけど、今後は介護施設なんかでも利用が可能ですね。

上原 そうですね。私たちは、一番最初に家族が見守るというのがコンセプトになります。ただ、家族が見守れない状況、例えば遠隔地に住んでいて、すぐには見に行けないとか、家族がいらっしゃらない方々も一定数いらっしゃいますので、そういった方々を見守る共助の方たち、例えば民生委員とか、自治会長とか、たまに民間のケアマネジャーの方とかがいらしたりするんですけど、そういった方たちが地域の対象となる共助のアプリで、まとめて見守るということもできるんです。

ーー今、利用者は何自治体・何人なんでしょうか。

上原 利用人数とかは発表はしていないんですが、今、沖縄県内で来年度、導入が予定されている自治体は17自治体です。

ーー技術的にもビジネス的にも大変進んでいると、あらためて分かりました。今後、全国展開あるいは沖縄県以外には、どういうアプローチをされるんでしょうか。

伊福 沖縄県以外に関しては、私たちが直接サービスを提供するというのは難しいので、地域ごとにパートナーを募集していこうと考えています。すでに興味を持っていただいて、やり取りさせていただいている企業様もいらっしゃいます。

ーー代理店のような形ですね。

伊福 その地域で信頼されている企業様に代理店のような形でサービスをお渡ししたいと。こうした高齢者向け見守りサービスというものは、沖縄だけではなく、おそらく全国各地、特に都市部以外のところについては、近い将来に必ず直面する課題だと思っていますので、我々の見守りサービスが社会基盤として貢献するのではないかと肌で感じています。まず知ってもらいたい。そして、全国展開をメインに考えていますので、そこに関しても次年度以降、しっかりと進めていければいいかなと感じています。

北條 Wi-Fiセンシングは、無線LANビジネス推進連絡会でも大変興味を持っている対象です。実際に、技術的に活用できるのか、ビジネスとして展開できるのか、とても先のある技術だと思っています。今日、お話をお伺いして、素晴らしい取り組みをされていることに感銘しました。今後、全国展開していかれるにあたって、無線LANビジネス推進連絡会の会員企業とも、協同していかれるご予定がおありでしょうか。

上原 それはもし可能でしたら、ぜひとも連携していきたいと考えております。これまでは、実際の自治体の導入実績がまだまだ乏しかったものですから。今の状況であれば、私どもの取り組みの実績を見ていただけるのではないかと思いますので、ぜひ機会をいただけたらと思っています。


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