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活動報告
第21回技術セミナー
「ここまでできるWi-Fiセンシング」開催、高い関心で注目集める

技術・調査委員会 本橋 篤

第21回の技術セミナーは、Wi-Fiの応用技術である”センシング”をテーマに「ここまでできるWi-Fiセンシング~技術と活用~」と題して10月9日にビーマップ様の会議室をお借りし、オンライン配信で開催しました。
100名以上のセミナー参加登録をいただく盛況な中、Wi-Fiの新たな活用方法について、技術面と実際のサービス面の両面から2名の方にご講演いただきました。

会長挨拶

 

 

冒頭、北條 博史 会長から挨拶があり、衛星通信分野についてイリジウムからスターリンクに至る30年もの研究・開発とサービスの変化の歴史が紹介され、研究時点では何の役に立つかわからないものも数十年の時を経て業績が評価されることがあり、ロングタームの研究開発にもしっかり力を入れていく必要があることをお話しされました。
Wi-Fiセンシングも同じように技術は存在していても実用化されていなかったが、低価格で実現できるようになり医療や独居老人の問題など様々なところに応用可能になったことが紹介され、これを機会にWi-Fiセンシングを応用した様々なアプリケーションを開発して欲しいと参加者に呼びかけました。

Wi-Fiセンシングとは?

 

 

 

 

最初の講演は、ai6株式会社の角谷 友行 様から、Wi-Fiセンシングの基本的な技術について説明がありました。
Wi-Fiセンシングは、屋内における⼈や物の動きにともなうWi-Fi電波の変化を読み取りイベントを検出する画期的な技術であり、見通し外や暗所でもセンシングが可能で、何を検知したいのかが明確であればあるほどアルゴリズムの改良で検知率が上がることが紹介されました。
応用例としては、病院における患者の呼吸検知や住宅・オフィスにおける侵⼊検知・使⽤状況確認があり、カメラや画像を用いないためプライバシー配慮が可能なことなど、他のイベント検知ソリューションとの比較が紹介されました。
Wi-Fiセンシングの課題としては、検知精度の向上や電源供給、電波情報取得の仕組みの実装などがあげられ、IEEE 802.11bfとして2025年9⽉26⽇に公開されるなど標準化が進んでおり、各国の法制度等の整備の進展とともにスマートフォンや家電への実装が進む未来像が示され、社会実装を進めるためには何が知りたいかを深堀するマーケティングが重要であるとして、講演を終えました。

Wi-Fiセンシングを活用したサービス事例 / 防犯サービス – MAMOLEO ライトプラン –

 

 

 

続いて、株式会社オプテージの阪部 禎幸 様から、Wi-Fiセンシングを活用した防犯サービスの事例について講演がありました。
日本でホームセキュリティが普及しない要因としては、コスト負担や設置工事など導入ハードルが高いことであるとし、自宅にWi-Fiがあれば誰もが手軽に始められ、広範囲の検知が低コストで行える点がWi-Fiセンシングを選定した理由として示されました。
サービスのターゲット層としては防犯・見守りサービスの導入をコストや工事が理由で断念したファミリー世帯や、離れた場所に暮らす両親の見守りニーズがある子ども世帯であることが紹介されました。
最後にセンシング端末の終息(EOL)やWi-Fiセンシングのタイムラグを考慮したアプリ開発、Wi-Fiセンシングの有用性を利用者に伝える難しさなどの苦労点と、実際のサービスの概要やアプリの動作イメージが示され講演を終えました。

セッションQA

 

 

最後のコーナーとして、技術・調査委員会 副委員長の本橋 篤が司会を担当し、Q&Aを実施しました。

質問: 専用の端末・デバイスが必要とのことだが、構成イメージを教えて欲しい。
回答: Wi-Fi APと専用のWi-Fiセンサー端末を2台設置し、モバイルアプリを使ってセットアップすると、センサー端末2台の間をセンシングできる。

質問: 電波を出すデバイスと、センシングするデバイスは別のデバイスでもよいのか?
回答: 多くの現状のサービスでは親機・子機の関係になっているが、技術的にはペアリングができれば子機はどんな端末でも使用できる。標準化によって将来様々な端末が出てくることが期待される。

質問: センシングするデバイスは1台で行う場合と、複数台で行う場合精度が異なるのか?
回答: 端末の性能やアンテナによって変わってくるが、1台よりも複数台の方が精度が高くなる可能性が高い。

質問: Wi-Fi Allienceでは認証プログラムが策定される予定はあるか?
回答: 確実な情報は無いが、Wi-Fi認証に付随する形になるのではないかと想定している。

質問: 呼吸の検知が出来ることに驚いた。精度はどのくらいなのか? 2.4GHz、5GHz、6GHzで違いはあるか?
回答: 電波の半波長分が基本的な精度になる。5GHzであれば1cm前後。波長が短ければ精度は高まる。
ただし周波数が高まると電波の直進性が問題になる。

質問: Wi-Fiに着目したのはどの様なところか?
回答: FTTH回線との親和性が良かった。FTTIとWi-Fiの技術を合わせて提供していく。

質問: ペットや掃除ロボなどを識別するために、キャリブレーション・設定は必要になるか?
回答: 感度設定を変更することで可能ではある。検知の範囲(高さ)を変更することでも可能になる。

質問: 呼吸で胸が動くのと一緒に左右前後に動き様々な動きが混ざると思うが、どのように検知しているのか?
回答: 人の呼吸相当の周期的な胸の動きを捉えている。

質問: アプリとアクセスポイント、センサー専用端末があれば回線は何でもよいのか?
回答: 2.4GHz帯のWi-Fiがあれば基本的に回線に指定なく使用できる。

質問: 将来的に家庭に置かれるホームゲートウェイなどにセンシングが搭載される可能性はあるか?
回答: 可能性はある。

質問: Wi-Fiセンシングが標準化されると専用端末は不要になるのか?
回答: 規格化されたチップが搭載されれば、あらゆる機器でセンシングができるようになる見込み。

質問: 法制度の話があったが、現在の日本国内の状況を教えて欲しい。
回答: Wi-Fiのプロトコルであれば使用できる。ただし、電波は通信のための資源だったが、センシングの道具になるとコンテンツと同じように電波の知的財産権や個人の情報の問題が出てくる可能性がある。

質問:「ぶっ飛んだ事例」について、できる範囲で教えて欲しい。
回答: 双子でも認識できる個人認証、ミリ波を使いたミリ単位での追随ができるようになるなど。

質問: 「波動散乱の逆問題」の物体透視ソリューション/コンセプトと関連はあるか?
回答: 一般的な認識として回答すると、Wi-FiセンシングはTime Reversalの原理に基づき、Wi-Fi通信時に発生するマルチパスの変化をマイニングする技術であるため、波動散乱の逆問題はこのTime Reversalの原理を総括したものと言える。逆にいうと、Wi-Fiセンシングは波動散乱の逆問題の一例とも言える。Time Reversalの原理は、波の伝播に関する事象や方程式は時間反転対称性を持つという物理法則である。

質問: 第三者がWi-Fiセンシングの電波、情報を悪用可能か?
回答: ペアリングされた端末間の通信を傍受可能となれば、その電波を解析することで何らかの悪用の可能性があるが、高度な判定にはさらなるマイニングが必要なため、悪用は難しいと考えている。
無線区間はWi-Fiプロトコルによりセキュリティが確保されており、端末からクラウドにアップロードするデータも暗号化されている。更に顧客情報は検知データと別システムで管理されており同時に漏れることは考えにくい。

今後のWi-Fiの方向性について

 

 

小松 直人委員長から、技術セミナーの締めのご挨拶にかえて以下のコメントがありました。
Wi-Fiセンシングで、すごいことができるようになっている。これからのWi-Fiとしては、センシングだけでなく様々なアプリケーションが広がっていく。また通信としての利用も6GHzやAFCで広がっていく。Wi-Fiの最大の強みは、様々な端末がいろいろなところで使え、コストが安いことである。強みを最大限に活かしながら取り組んでいくので、その方向に進んでいくと思う。


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