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技術情報
「大阪・関西万博」現地レポート、Wi-Fiを使えばもっと面白い

一般社団法人無線認証連携協会(Cityroam) 代表理事
株式会社グローバルサイト 代表取締役
山口 潤

4月13日から、半年にわたって大阪・夢洲にて「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」がスタートしました。
今回の万博では、シスコシステムズがスポンサーとして支援を行っており、会場の広範囲で公衆無線LANを使用することができます。私は4月26日まで入場可能な開幕券を所持していたので、ゴールデンウィーク前に訪問しました。現地でWi-Fi的視点からチェックしてきた現地レポートをお送りします。

 

万博会場内にはWi-Fiが用意されています

 

大屋根リングでOpenRoaming

 

会場到着までにOpenRoamingプロファイルのインストールを!

今回の万博では、会場Wi-Fiの新たなイノベーションとしてOpenRoamingによる「安全安心かつ、シームレスに切り替わる公衆Wi-Fiサービス」が提供されています。
日本各地や世界で発行されたプロファイルをインストールしている端末は、そのまま会場で使用可能です。例えば、東京でTOKYO FREE Wi-Fiのプロファイルを既にインストールしている方は、新たに設定することなく会場でそのまま利用できます。また反対に、公式に案内しているOsaka Free Wi-Fiのプロファイルは国内外で使えます。

なお、会場では、広範囲で公式のWi-Fiを用意されていますが、これはOpenRoaming接続専用です。基本的にPSKでの接続は用意されていませんので、OpenRoamingのプロファイルを用意されていない方は、事前にご自宅でプロファイルをインストールして行くことをお勧めします。

 

他所でインストールしたプロファイルでも会場につけば自動接続します

 

入場にはQRコードの表示が必要です

 

入場にはゲートでQRコードの表示が必要ですが、携帯電話網の混雑でなかなか表示されずに入場に手間取る方が多くいるという報道もありました。実はゲート前にはWi-Fiアクセスポイントが用意されており、これを使えば当日もスムースにインターネットに接続することができます。
現在では移動基地局車が配備され、携帯電話網も幾分改善していますが、Wi-Fiでの接続の方が待ち時間も快適に過ごすことができると思います。

 

ゲート前に設置されたアクセスポイント

 

ゲート前に並ぶ携帯電話各社の移動基地局

 

▲万博公式サイト「無線LAN環境・ローミング基盤」
https://www.expo2025.or.jp/future-index/digital/wireless/
利用箇所マップ・リストやプロファイルへのダウンロードリンクが掲載されています。

万博はWi-Fiを使えばもっと面白い

今回の万博では、パビリオンにおいても映像インスタレーション的な展示が多くなっています。映像による没入感を持たせ浸ることができますが、その発露や具体的なメッセージは届きづらいところがあります。
そこでより深い理解を促すため、パビリオンではオンラインとの融合を行っているケースも多くなっています。

 

日本館での音声ガイド

 

日本館では、「いのちのリレー」をテーマとして各ブースで循環の物語を映像で見せていますが、入口にWi-Fiの案内があり、接続することで各個人が手元のスマートフォンにてブース毎に解説を聴くことができるような仕掛けになっています。(ヘッドフォンを利用することをお勧めします)

その他のパビリオンや各国のブースでも、より詳細な説明をネット上に用意しており、QRコードなどを読み込むことで、より国やパビリオンへの理解を深める仕掛けが用意されています。Wi-Fiを利用し、より濃い万博を楽しみましょう。

 

日本館では音声ガイド用にWi-Fiが用意されている

 

万博でのツウ?の楽しみ方

万博会場内では、Beyond 5G ready ショーケースやローカル5G活用などもあり、興味を惹かれる通信技術が展開されていますが、最新技術だけでなく、パビリオンの待ち時間に各国毎の採用アクセスポイントの違いを見るというツウ(通信)な楽しみ方もお勧めします。
日本では採用例は少ないものの、コモンウェルスでは同じメーカーのものを使っていたり、
東南アジア系では中国系が強かったり、日本ではなかなかお目にかかれないメーカーの製品が使われていたりと面白い発見があります。

 

パビリオンでは様々なメーカーのアクセスポイントを見ることができます

 

全域で繋がるわけではありません

万博会場のWi-Fiですが、全域で繋がるわけではありません。特にパビリオンにおいては各館の運営者次第となるため、残念ながら来訪者向けに開放されていないケースが多いです。ある国のパビリオンでは、Wi-Fiは開放無しで携帯電話網も圏外のため、入場待ちの列では不満の声も聞こえました。この辺りは夏に向け改善されることを期待しています。

会場外でもシームレスに

12万人の来訪者が訪れる心斎橋筋商店街では今年Wi-Fiのリニューアルが行われ、OpenRoamingに対応しました。心斎橋のある長堀通から、テレビに映ることも多い、道頓堀にかかる戎橋まで、600mのアーケードにおいて途切れずに接続ができる空間を作っています。
大阪だけでなく、神戸、京都、そして奈良では、この一年で交通機関や商店街、店舗などにOpenRoamingが広く整備されました。万博会場だけでなく、ユーザは意識することなくネットワークに繋がることができるようになっています。
ぜひ、OpenRoamingのプロファイルをインストールして万博、そして関西にお出かけください。

 

心斎橋筋商店街にて

 

縁の下で支えます

「無線認証連携協会」が運用する認証ハブ(通称:JPHub)は、OpenRoamingのIDを発行・所有する各社(IdP : Identity Provider)と、基地局を設置して利用者に無線アクセスサービスを提供する事業者(ANP : Access Network Provider)を中継しており、万博におけるユーザの端末からの認証の多くはこのJPHubを通過します。
OpenRoamingを使用する世界最大クラスのイベントが始まったことから、開催初日から膨大な認証トラフィックが流入し、これを捌くことになりました。
我々は表に出ない存在ですが、終了までの半年、皆さんが会場で快適に過ごせるよう、安定した運用に努めていきます。


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