目次ページへ

第3期定時社員総会 特別講演
総務省における電波政策の最新動向

総務省 総合通信基盤局 電波部長 野崎 雅稔 氏

6月3日、一般社団法人無線LANビジネス推進連絡会の第3期定時社員総会が開催され、特別講演に総務省 総合通信基盤局 電波部長 野崎 雅稔 氏をお招きし、電波政策の最新動向をお話しいただきました。講演内容の要旨を掲載いたします。
※ご所属部署は社員総会開催当時のものになります。

 

 

 

総務省の総合通信基盤局の電波部長の野崎と申します。常日ごろから電波行政、情報通信行政にご理解とご支援を賜りまして、ありがとうございます。また、連絡会の総会、本日はおめでとうございます。常日ごろから連絡会の皆様にも大変お世話になっております。
今日はせっかくこういう機会をいただきましたので、電波政策の全体について、ご説明させていただきます。携帯の高度化、さらにメタバースとか、ARやVRなど、そういうアプリケーションを考える上で、携帯と一体的に無線LANの高度化を考え、両者を整備していかなければならないと考えておりますので、そのあたりをお話ししたいと思います。

電波政策を取り巻く状況

今日は、まず「電波政策を取り巻く状況」、次に「ニューノーマルの経済社会を支える次世代インフラ」、最後に「電波制度改革の推進」ということで、本日、電波法改正案が国会を通りましたけれども、その内容についてもご紹介させていただきます。

 

 

 

これは携帯電話ですが、40年間で100万倍スピードが上がってきている、10年ごとに進化をしてきているということです。

 

 

 

これは5Gの特徴です。特に超低遅延、超高速、多数同時接続という新しい機能が重要になってきているというものです。

 

 

 

今後、5G・6Gに向けて、ロングテールのようなオレンジ色のところ、人と人のコミュニケーションから自動車分野やホームセキュリティ分野などが重要になってきます。ロングテールのところをしっかり立ち上げないといけません。これからますます周波数が高くなってきますので、インフラを整備するコストも掛かってきます。新しいアプリケーションやサービスを立ち上げないと、高い周波数を使ったインフラの立ち上げという好循環モデルが回らないので、新しいアプリケーションをどんどん開拓していく必要があると考えています。今も全くこの状況は変わってないと思います。

 

 

 

先ほどの好循環モデルを回すためには人と人のコミュニケーションではなくて、その間にサービスを提供する、通信回線を借りて高度なアプリケーションを載せて個人に提供するという、B2B2Xの真ん中のBが非常に重要になってきます。新しい高速回線、超低遅延・多数同時接続を実現する回線を使って、いかに魅力的な課題解決に資するアプリケーションを提供するかが重要になってきているということは、今も変わってないと思います。

 

 

今も盛んにローカル5Gでもいろいろな実証が行われておりますけれども、例えば農業分野や林業分野のような生産人口がだんだん減ってきている中で、ドローンの映像をもとに、どこに肥料をまいたらいいかということをAIで解析して、そこに効率的に肥料をまいていく、あるいはトラクターについて、超低遅延で複数のトラクターを同時にぶつからないように制御する、そのためには超低遅延の回線が必要になってきます。病害虫のAIについても高精細な画像をAIで解析して、どういう害虫にやられているかをいち早く解析して、適切な農薬をまいていく。回線から集まる超低遅延・超大容量の情報をもとにAIで課題解決をして、そういうアプリケーションをユーザに提供していくという真ん中のBが、ますます重要になってきています。

 

 

今後、サイバーとフィジカルが融合する本格的なSociety 5.0の時代が到来する中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)を進展させるためにも5G・Beyond 5Gを整備して、社会経済構造の改革を加速していく必要があると考えています。

ニューノーマルの経済社会を支える次世代インフラ

Beyond 5G、無線LANもそうですが、高度化することで、どのような社会を実現して、どのようなインフラが期待されているかを簡単にご紹介します。

 

 

リアルの世界で、例えば工場、農業地、林業、風車、いろいろなところにセンサーが付けられています。上がサイバー空間ですが、サイバー空間でそのセンサーの情報をもとに、予防保全をする。また、ローカル5Gを風車に導入して洋上風力の制御に使えないかというローカル5Gの用途の拡張も検討しています。例えば異音がしている、振動数がおかしくなっている、回転数が変動している、そういうデータをもとに、緊急点検をしたほうがいいのではないか、あるいは部品を交換したほうがいいのではないかということをAIで解析して、それをリアルの世界に戻して、いち早く故障前に点検して部品を交換するとか、リアルの世界の情報をもとにサイバー空間で課題を解決して、ソリューションを見出して、それをリアルの世界に提供する、サイバーとリアルを同時に実現して、しっかりと連携しながら新しい社会を実現していくのです。
生産人口が減る中でサイバーの力を借りて、どんどん生産人口が減っていく日本でしっかりと経済活動を維持していく、活力を維持していく。そういうことによって包括的で持続可能性があって高信頼な社会を実現していくというものです。

 

 

Beyond 5Gが実現する社会経済ということで、Cybernetic Avatar社会と呼ばれていますが、これから先、人間がリアルアバターを制御して、リアルアバターがいろいろな価値を生み出していく。生産年齢人口が減っていく中で、例えば午前中はブラジルにあるリアルアバターを東京から制御して、ブラジルにある工場のリアルアバターが現地の人と協力しながら新しいものを開発するとか、同じ人が午後は中国の別の生産現場にあるロボットを東京から制御して、現地の他の地域から制御しているロボットとロボット同士で協働して新しい価値を生み出すとか、生産人口は減っても、人が多数のロボットを使って何倍も価値を生み出す。
人は減っていくけど、GDPは決してそれと同じように減らない。Cybernetic Avatar社会、つまり、リアルアバターをサイバー空間と融合させて経済活動を維持する、そういう新しい経済社会を生み出していく必要があるのではないか。そのためにはリアルアバターを超低遅延で、しかも多数のロボットを同時に制御する、超多数接続、そういうものがCybernetic Avatar社会という新しい社会を支える基盤として重要なのではないかということで、新しい社会経済、目指すべき社会経済として期待されるのではないかと思います。

 

 

そのためにはサイバー空間とフィジカル空間を完全に同期させる必要があります。例えば中国の工場で東京から中国にあるリアルアバター、ロボットを制御する、ヨーロッパ支店にいる同僚が同じくヨーロッパから中国の工場にあるロボットを制御して、ロボット同士が同期して新しい価値を生み出す。例えば新製品を開発するとか車のデザインをする等が考えられます。そのためには時間と空間を同期しないとロボットAとロボットBは共同作業ができませんので、時間と空間を同期させるというような時空間同期が今後、6G以降ではさらに重要になってくると考えられています。

 

 

そのためには、電波利用料で今年度から長期開発も開始しますが、NICTが持っている技術の中に、下に写真がありますけれども、ゴマ粒ぐらいの原子時計、こういうものもスマホやモジュールなどに搭載して、ゴマ粒大の時計が完全同期して、ロボットとロボットが同期して動くとか、ここにドローンがありますけれども、例えば人が少ない島にドローンが飛んでいって、ロボットが受け取って、そのロボットが自宅まで配達する。要するにドローンとロボットが同期する、車とドローンが同期する、車とロボットが同期するなど、機械と機械が同期して価値を生み出す社会を目指していく必要があります。車とドローン、ドローンとロボットが、体内時計で同期が取れて、協調しながら価値を生み出す。チップスケールの超小型の時計、あるいはそれをBeyond 5G/6Gの超低遅延な回線で、お互いに時計がずれてないかを校正しながら時計のずれを補正する。一定期間に1回、例えば日本だとNICTに超高精度の時計がありますが、一定期間に1回ご本尊に時計に合わせにいくとか、時間と空間の基盤を握ることで、新しいサイバーフィジカル社会の基盤を日本がリードしていこうということで、こういう研究開発も始まっています。

 

 

次に、宇宙空間です。今後、6Gになるとカバーする空間を広げていく。今、アメリカとの間のアルテミス計画という宇宙計画があります。月面の計画ですけれども、月面で水資源を探していまして、月面の水資源を電気分解して水素を作って、それで月面にロケット基地を造って、月面をベースにさらに宇宙空間を開発していく。月面を経済活動の基盤とするために水を探すようなプロジェクトもあります。月と地球との間をどういう手段で遅延を少なく結ぶとか、月と地球の間をどうやって大容量で通信するかというようなテーマもBeyond 5G/6Gの中心テーマですので、成層圏プラットフォームだけではなくて、飛行機、ロケット、月面との間に次世代の情報通信基盤を構築することも6Gのスコープに入ってくると思われます。

 

 

さらにどんどん量子コンピュータのようなものが出てきていますので、既存の暗号がやぶられるような状況になっている。今はやぶられなくても、その情報を盗んでおけば、量子コンピュータが発展していきますので、後々やぶることができる。要するに今、取っておき、量子コンピュータが発展したら後で解析して、それで周辺を攻撃するとか、そういうリスクも出てきますので、絶対に量子コンピュータでもやぶられないような量子暗号通信が今後は一層求められてきます。
量子暗号通信、量子センサー、量子ネットワークを構築して、Beyond 5Gのネットワークとオーバーレイ、階層的に構築していく。鍵とか認証は量子ネットワークで行って、その後、Beyond 5G/6Gのネットワークで大容量・低遅延の情報を送っていくような、階層構造でネットワークを構築していくような未来も今は検討されていますので、量子情報通信ネットワークも重要になってきます。

 

 

そういう中でニューノーマルによって、非接触で、遠隔で、超臨場感というような社会の方向、これは決してコロナが収まったら元に戻るのではなくて、非接触、遠隔、超臨場感の市場、メタバースもそうですけど、そういう市場やアプリケーションなどが今後本格的に立ち上がってきます。そのために次世代のインフラとして6Gは超低遅延・超多数接続・超高速だけではなくて、下の緑のところにありますが、エネルギー問題が非常に深刻になってきていますので、超低消費電力、あとは自律性、自律的にネットワークが変化して需要に応じていく、あとは拡張性、宇宙空間までカバーするようなネットワーク、あとは超安全・超信頼ということで先ほどの量子ネットワークのようなものを使って、さらに量子コンピュータが普及しても不安がないような情報通信基盤が期待されています。

 

 

こういうBeyond 5Gのようなネットワークを実現するためには、2030年台のBeyond 5Gでは現在の10万倍の情報が流れるといわれていますので、無線の部分と有線ネットワークの両方の大容量化が必要になってきます。無線ネットワークの大容量化については全く新しい周波数を開拓していく。そのひとつがテラヘルツ帯ですけれども、こういう通信にはとても使えないだろうと思われてきた周波数帯を開発していく。

 

 

全て最終的には光ファイバーに情報が流れますので、光ファイバーの抜本的な大容量化技術を導入していくことが重要になってくると考えられます。無線のところの大容量化はテラヘルツ帯の新しい技術、基幹ネットワークの大容量化はマルチコア光ファイバーのような新しい光ファイバー・光ネットワーク技術、その間を変換するような光電変換のデバイス、安価に光と電気を変換するような技術、こういうものを三位一体でBeyond 5Gの研究開発を推進するために取り組んでいます。

 

 

テラヘルツ帯は皆さんがご案内のとおり、資料の青いところですが、通信には使えないといわれてきたようなフロンティア周波数です。日本ではNICTが研究開発と標準化で世界をリードしています。テラヘルツのデバイス技術とか通信技術をいち早く確立して、周辺特許や基盤技術を押さえていくことが重要になってくると思います。

 

 

テラヘルツを利用できれば、さらに10倍・100倍のスピードが実現できる。ただ、あまり飛びませんので、各部屋に蛍光灯の横に付けるみたいな感じで、非常にたくさんのアクセスポイントを作る必要があります。

 

 

Beyond 5Gが実現されることで、超高精細・超臨場感・同時多数接続が同時に実現できる。今、5Gはこの3つのどれか1つの機能に特化して実現していますけど、3つの機能が同時に実現できれば、非常に多数の人がオンラインでライブに参加して、しかも超臨場感で、VRゴーグルなどがいろいろと出てきて、そこにいるかのような体験ができます。しかもみんなが同時に接続して、しかも臨場感と超高精細な視覚、ひょっとしたら触覚など視覚以外もあるかもしれませんけれども、オンラインでのライブやゲームなど、多数の人が同時に参加して、リアルの空間と同じようなアプリケーションが将来は可能になるのではないかと期待しています。

 

 

Beyond 5G/6Gを日本がしっかりリードしていくために、Beyond 5G推進戦略を策定しています。3つの柱としてグローバル・ファースト、国内マーケットだけを考えていても、どんどん人口が減っていきますので、グローバル市場を最初から念頭に置いて、研究開発やアプリケーションの開発などを進めていく。真ん中ですけれども、知財をしっかり押さえていく。Beyond 5Gの必須特許シェアの10%以上を押さえていく。今までは標準化活動をして、国際標準になりそうであれば特許を押さえていく感じでしたが、標準化するとき、あるいは標準化に入る前に同時に特許を押さえて、将来の必須特許の可能性があるものをしっかり事前に押さえておくなど、戦略的な取り組みが重要になってきます。一番右ですけれども、展開戦略ということでアプリケーションについても同時に考えていく。産業利用とか、日本は一人暮らしの高齢者が増えていくとか、非常に課題を抱えていますので、Beyond 5Gに対するアプリケーションのニーズが他の国よりも多いと考えられますので、ニーズを踏まえたアプリケーション・サービスを同時に考えて、上位レイヤも一緒に研究していくというような取り組みが重要だと思っています。

 

 

2030年から導入される見通しで、すでに標準化活動が始まっています。Beyond 5Gのどういうサービスを実現するか、どういうスペック、どういう機能を実現するかをまとめた国際標準が今年か来年にできる予定です。
各国が標準化活動に参加していまして、日本もサービスとか機能の目標について提案していますし、中国・韓国も非常に熱心に標準化に参加しています。ヨーロッパも30カ国が参加するプロジェクトで標準化をリードしようということで、全ヨーロッパでプロジェクトを推進しています。

 

 

日本ではBeyond 5G推進コンソーシアムというコンソーシアムをつくりました。そこに産学官に参加してもらいまして、フィンランドとかヨーロッパの同じような産学官コンソーシアムと連携して、まさに有志国で連携して標準化・研究開発の取り組みを進めています。

 

 

研究開発を進めるために国費も積極的に投入していこうということで、総額1,000億ぐらいの研究開発を実施して、しっかり基盤技術・標準を押さえていこうということで、ファンディング機関から産学官の公募研究を実施したいということで、研究開発も昨年ぐらいから積極的に公募研究とかシーズを吸い上げて研究を行っていくという活動を展開しています。

 

 

また、基地局のオープン化も非常に今、重要になっています。QUADとか日米の首脳会談でもテーマに上がっています。今は基地局周りを欧州企業にロックインされていますが、今後ますます多数の基地局、いろいろなバリエーションの基地局が必要になってきます。

 

 

オープン化を実現することで日本企業に参画できる期待も高まっていますので、オープン化に熱心に取り組んでいます。例えば中国とか、そういう非常に基地局の競争力が強い国がありますので、日本もしっかり対抗していくということです。こういう国際的な標準化の活動も進んでいます。

 

 

具体的には基地局のRUと基地局を制御するCU/DUの間のインターフェースを標準化していく。(1)のところのインターフェースを標準化しますと、RUは日本企業が比較的強いので、RUにどんどん日本企業が参画できます。例えばテラヘルツの室内の基地局、あるいは壁に張るような基地局、あるいは電柱に巻くような基地局、いろいろな基地局が今後は出てきます。日本企業はものづくりが得意ですので、RUのところは勝機があると思います。まず(1)のところの標準化を、世界で進めていますので、しっかり日本としても動向を把握して活動に参加していく。それ以外に(2)のような機能間のインターフェースの標準化の取り組みも行われています。RUとCU/DUが違ったベンダーになってきますので、相互接続性・相互運用性を検証するようなセンターを横須賀リサーチパーク(YRP)に構築しています。

 

 

横須賀リサーチパークにセンターを構築して、RUとかCU/DUをいろいろなメーカーが作るようになったときに、相互接続性・相互運用性を確認するようなテストセンターを、ドコモや楽天など携帯事業者に参加いただいて構築しています。

電波制度改革の推進

最後に、電波制度改革の推進です。

 

 

総務省における電波政策は、しっかり新しいニーズを把握して、現状の電波利用の状況を見て、それで移行・再編・共用を進めていく取り組みを進めています。

 

 

今後の周波数帯域の確保の目標です。これは昨年の電波政策懇談会で取りまとめました。5G・Beyond 5Gのような携帯電話については、今は4.2GHz幅を使っていますが、2025年度末までに6GHz幅を新たに確保していく必要があります。IoT・無線LANについては、今は9.5GHz幅を使っていますが、こちらについても2025年までにさらに1GHz幅を追加する必要があります。

 

 

これまで5Gについては全国を10キロ四方のメッシュに切り、そこに親局をどんどん設置していく戦略を取ってきました。10キロ四方の中に5Gのニーズが出てくれば、子局を親局につないで子局をどんどん整備していくというような戦略で進めています。

 

 

 

 

これはメッシュです。親局を作った後に、いろいろなニーズが出てくれば、子局を整備することで、14局ぐらいで10キロ四方のメッシュがカバーできるというような、2段階の戦略で進めています。

 

 

携帯電話につきましては、開設指針を作って、開設計画の認定申請を受け付けて、比較審査で割り当てています。先月、周波数の割り当てを行いましたが、先ほどのような大きな周波数を確保するためには、周波数の共用が非常に重要になってきます。

 

 

これは新しい周波数の共用のタイプです。この周波数帯はすでに放送と公共が使っています。今までの共用ですと左にあるように、緑が放送ですけれども、これはFPUの周波数帯ですが、放送の中継車が出たときは当然使えませんが、左下のように中継車が出てないときも、携帯電話のエリアを広げないという固定的な共用でした。

 

 

今回のダイナミック共用は、例えば中継車が出てないようなときは、携帯電話の使うエリアを目いっぱい広げるというようなダイナミックな共用を実現するものです。具体的には放送事業者と携帯事業者の間にデータベースを作っていまして、中継車が何時にどこの地域に出るかをデータベースに登録して、その時間が来れば周辺の基地局の機能を落とすという形です。ただ、災害とか緊急の事件が起きたときに、急に中継車を出すことがありますので、そのときには放送事業者の連絡があれば、数時間以内に携帯事業者は周辺の基地局の機能を落とすというような、緊急時にも対応することで、データベースを使ったダイナミックなリアルタイムの周波数共用を今回初めて実現します。

 

 

2.3GHz帯の割り当てについては、地方に行けば行くほど放送の中継車が出る機会は少ないので、地方に行くほど携帯電話として使いやすい、周波数が空いているという特徴もありますので、ここにありますように今回の割り当ての比較条件として、条件不利地域での開設数がより多いとか、5Gの基地局開設が遅れている地域の開設数がより多いということを比較審査の条件として多く配点しています。

 

 

具体的には上から2つ目のように条件不利地域の5Gの基地局の開設数がより多い、上から3つ目のように全国平均以下の都道府県の基地局の開設数がより多いことについて配点の比重を高くしています。デジタル田園都市構想で都市と地方の一体的整備、地方の5G整備も同時に進めていくという方針が出ていますので、地方整備、条件不利地域の整備に配点を高くしています。ちなみにこの周波数についてはKDDIが開設計画を認定されて使用することになっています。

 

 

ここにありますように4Gの周波数も5G化することでエリアを拡大していく取り組みをしています。

 

 

 

ここは無線LANです。よくご存じのように、こちらも非常に重要になってきますので、着実に周波数割り当てを進めています。

 

 

5Gに比べて免許不要やアクセスポイントのコストが安いということで、5Gと連携してこちらも整備を進めていく必要があると考えています。

 

 

今回は点線の周波数帯を割り当てて、上の周波数帯について今後は検討していくという状況です。

 

 

これはデジタル田園都市国家インフラ整備計画です。3月29日に発表しました。

 

 

5Gについては、ここにあるような人口カバー率の目標、いよいよ親局ではなくて子局を整備する段階になりましたので、2023年度末までに全国95%の人口カバー率を実現する。2024年度末までに97%、2030年度までに99%の人口カバー率を実現する。ただし、人口カバー率は携帯事業者を重ね合わせた人口カバー率で、1社だけでこのパーセントは厳しいですが、4社を重ね合わせて、この人口カバー率を実現していくという目標としています。

 

 

最後に昨日、成立しました電波法改正案について若干ご紹介して終わりにさせていただきます。今後、電波のニーズに一層適切に対応していくために、有効利用されているかどうかをしっかり評価していく必要があります。電波の利用状況の評価を、これまでは総務大臣が行っていましたが、電波監理審議会で行うことになりました。委員は国会同意人事の審議会です。そこで電波の利用状況の評価をしていくという電波の評価体制を強化しています。

 

 

携帯電話用周波数については、携帯電話が1回割り当てた周波数を、その後もずっと使っているような状況になっています。例えば5年間携帯電話事業者の開設計画を認定した後、その後もその事業者が固定化してそのまま使っている状況です。①や②のように電波の有効利用の程度が一定の基準に満たない場合、あるいは自分のほうが有効利用できるという競願の申請があった場合、あるいは③のように帯域を再編するとき、すでに割り当てている周波数について再割り当てする仕組みを今回は導入しました。このことによって、すでに使っている携帯電話用周波数を、新しいニーズに対応して新しい事業者に割り当てたり、区画を再編して割り当て直したり、そういうことが可能になります。

 

 

Beyond 5Gにも電波利用料を使って研究開発を推進していきます。

 

 

これは今、検討している検討会です。外国のオークションの方式を検討しています。メリット・デメリットをしっかり分析して、日本に導入できるのかできないのか、もしできるとしたら、どういう点が日本にも使えるのかという、我が国として新たな携帯電話用周波数の割り当て方式はどういうものが適切かを、オークション方式も候補に入れて、幅広く検討しています。この夏に取りまとめを行う予定です。

今後、Beyond 5Gを実現する上で無線LANと一緒に整備・高度化していく必要があります。周波数を確保するのが大変な時代になっていますが、皆さんのご理解・ご支援があって、新しいニーズに周波数を割り当てていくことができますので、引き続きご支援・ご理解をどうぞよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。

 


目次ページへ

■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら