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訪問 NTT東日本実験施設
「ローカル5Gオープンラボ」に行ってみた!

(一社)無線LANビジネス推進連絡会 事務局 村上紗織

 

こんにちは、Wi-Biz村上です。

10月号のメルマガにてNTTBPの中村社長がお話をされていたNTT東日本の「ローカル5Gオープンラボ」をどうしても見たくて、行ってまいりました。「5G技術を無線LANみたいに使える………」、全く意味がわかりません。これは実物を見るしかないです!

やってきたのは「NTT中央研修センタ」。小田急線の成城学園前駅からバスで10分の所にあるNTTの大規模研修施設です。とても広くてまるで大学のような雰囲気でした。ローカル5GオープンラボはNTT東日本が運営しているそうです。

受付を済ませて、「ローカル5Gオープンラボ」に入ると、正面には各企業の方が打ち合わせやお仕事をしたりできるオープンスペース、左側にはコンファレンスルーム、右側にはなんと実験ルームがあります。まずはコンファレンスルームに入りラボの紹介、ローカル5Gについて説明を受けました。

施設の見取り図はこんな感じになっています!今私たちがレクチャーを受けているのは左側のカンファレンスルームです。

パブリック5G(キャリアが提供する5G)と比較した場合、ローカル5Gは必要な通信品質(速度・セキュリティ・遅延)に応じて、システムを設計・配置することが可能だそうです。すごいです、自分で携帯電話会社を構築するような感じですね。

ローカル5Gで提供される周波数はSub6(さぶしっくす)と呼ばれる4.6GHz/4.9GHz、そしてミリ波と呼ばれる28GHzがあります。通信容量は28GHz帯が一番大きいですが、そんなに遠くに電波は飛ばないそうです。普段私たちが使っているLTEでよく使われている700~900MHzの方が遠くに電波が飛ぶそうです。上の図は分かりやすくそれを説明しています。どうやらローカル5Gはそれほど遠くに飛ばないけど大容量の通信が利用できるというところが特徴のようです。

そして、ローカル5Gには2つのタイプが存在しているようです。一つ目が今のLTEと連係したNSA(のんすたんどあろーん)構成。そしてもう一つが今後普及してくるSA(すたんどあろーん)構成です。ローカル5Gは勝手に電波を利用することはできなくて、きちんと申請をしてから利用する必要があるのですが、ミリ波の申請は既に2019年12月から開始されていたそうです。そして当初はミリ波の28GHzの一部だけが許可されていましたが、2020年12月からSub6の周波数と残りのミリ波の申請が許可される予定とのことです。ローカル5Gはまだまだ始まったばかりなんですね!

概略の説明を受けたのち、オープンラボへ移動です!

オープンラボにはEPCというサーバが置かれていました。これは携帯電話の交換機にあたるものだそうです。交換機がサーバに入ってるなんてびっくりしました。もっと大きな機械かと思っていました!ここに置かれているEPCはNTT東日本のIP網(回線は1Gbps)を通して、遠く本郷にある東京大学に設置されているBBUやCU/DUと呼ばれる基地局に接続されているそうです。つまり本郷の基地局に繋げると、この目の前にあるEPCまで運ばれてくるんですね!

この写真はNSA構成のEPCと基地局の一部がサーバーラックに搭載されているものです。EPC、CU/DU,BBUどれも薄い金属のサーバに入っていました。ちっちゃいけどこれで電話会社と同じような機能を持っているんですね、すごいです。

そしてこちらが基地局のアンテナです。左下は自営BWAと言われる2.5GHzの基地局。中ほどの28GHz基地局(白色)と一番上が別メーカの28GHz/Sub6基地局 とのことでした。予想以上に基地局が小さくて、アンテナに見えませんでした。

これは、28GHzのRUといわれる基地局です。

こちらは同じく2.5GHz基地局(丸くて白い機器)です。基地局だと教えてもらえないと、認識不能ですね。

Sub6の電波を出すRUという基地局です。こちらの基地局とアンテナ間は同軸ケーブルで接続されているそうです。

こちらは受信機にあたる端末です。普通にスマートフォンが使えると思っていたのですが、まだ使えるものはリリースされておらず、このラボではこのような端末を使って通信の実験をしていました。早く私のスマホでも使えるようにならないかなぁ………。

28GHzスループット試験で、下り500Mbps、上り50Mbps程度が出ていました。すごいですね。

実験で利用中の端末です。ローカル5Gをイーサネットに変換してつながっています!

この図は28GHzのミリ波を使った通信で、ラボ内のどのあたりでどの程度のスピードが出ているかを示しています。下りの速度ですが、赤で500Mbps程度、壁は木やガラスで金属製ではないそうです。金属だとミリ波は遮蔽されるそうです。無線LANと同じ感じがします。

28GHz上りのスループットです。赤で50Mbps程度を示しています。

端末を手で覆ったりすると、ミリ波は影響を受けて、通信速度が下がってしまいます。でも本来の通信速度が速いからそれほど気にならないと思います。

実験室の全景。なんだか未来的です!

 

ローカル5Gを利用して、ロボットがイチゴの収穫時期を見分けたりする実験が行われていて、動画を見せていただきました。ロボットが間違えそうなところは自分の目でも間違えそうです。いや、きっとロボットの方が正確なはずです!

今後はそれを実演するために、オープンラボのすぐ隣にビニールハウスを建設中でした。

現在建設中のビニールハウス。ここではトマトを栽培して色々な実験を計画しているそうです。

建設中ですが中をこっそり覗いてみると。
まるで工場の中のように、真っ白でとても綺麗でした。

始まったばかりのローカル5Gですが、今後利用できる周波数が増えていくことで、高速で広いエリアがカバーできる新しい無線LANになりそうです。ローカル5Gじゃなくてマイ5Gが欲しいですっ!

 

参照:

https://www.wlan-business.org/archives/29901

https://business.ntt-east.co.jp/service/local5g-openlab/


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