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イベント報告
企画・運用委員会が5GHz帯最新制度の紹介セミナーを開催

3月13日、企画・運用委員会による第二回目の無線LANに関連した最新制度に関するセミナー「技適未取得機器を用いた実験等の特例及び5GHz帯無線LANの最新制度について」を総務省から2名の講師をお招きし実施しました。

これまでヘッドマウントディスプレイやドローンなど海外製品のデバイスを国内で利用する場合には技適(技術基準適合証明等)を取得する必要がありました。今回、セミナーでご紹介した制度は、一定の条件を満たせば実験等の目的に限り、簡単な届け出で180日間、利用できるというものになります。また、5GHz帯における最新制度についても併せてご紹介いただきました。

最初に北條会長からセミナー開催の趣旨について説明がありました。今回は新型コロナウィルスの対策としてシスコ様のご協力によりWebEXを利用し、参加者のみなさまはリモートからのセミナー参加となりました。

(今回利用したWebEX Eventsはこちらhttps://www.webex.com/ja/webinar.html

アナウンスから開催まで1週間と短期間にも拘わらず約50名の方に参加され、みなさまが今回のテーマに大変興味を持たれていると感じました。また、海外製品を早い段階で確認できるためWi-Fi関連ビジネスの普及促進に加速がつく制度です、とのことでした。

また5GHz帯の最新制度の紹介のなかで5.6GHz帯の拡大、144chの制度追加に当たっては当時の無線LAN検討作業班に参画し、隣接チャネルへの影響の調査など制度化に向けた取り組みを行っており、今日、制度として紹介できることを大変喜ばしく思う、とのことでした。

  

(会場の様子:WebEXで開催したため関係者のみ聴講、今回も株式会社ビーマップ様の会議室をお借りしました。)

第一講演 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度
講師:総務省 総合通信基盤局 電波部 電波政策課 課長補佐 山内匠 様

最初に特例制度の創設の背景、概要について山内様より説明がありました。

本制度の創設前は日本未発売のスマホやARグラスなどの実験、調査の開始に時間がかかることがあった。海外デバイスの例だと、当初技適未取得だったGoogleグラスなどが挙げられ、購入しても国内で簡単には実験利用することができなかった。このため日本未発売のデバイスを簡単に実験利用できる制度へのニーズが高まっていた、とのことでした。

特例制度は大きくWi-Fi等の特例とLTE等の特例に分かれており、今回は既に運用を開始しているWi-Fi等の特例について取り上げました。特例制度の基本的な考え方として「申請」ではなく「届出」となっており、総務省では事前の審査は行わないため、届出者自身の責任で確認する必要があります。この点では性善説に立った自己責任型の制度で、非常に迅速という特徴があるとのことです。また、法人・個人いずれも届け出可能、手数料なし。但し、廃止届出が必要。端末が放置されないようしっかりと管理することを義務付けている、とのことでした。

対象規格の選定基準としては

・具体的なニーズがある

・日本に技術基準があり(つまり、基本的には日本で技適が取得できるような規格であり)、規格書で当該技術基準に相当する項目を定めている

・規格の名称が明らか

の3点となっており、規定内容としては以下のスライドの通りとなっています。

特例の対象規格・周波数等は以下となっており、仮に技適を取得していれば日本で免許不要局となる範囲に限定されています。ここに含まれていない5.8GHz帯のWi-Fiなどは使えない、ということに注意してください、とのことです。

届出に当たっては、対象規格・手続等は、必ずご自身の責任で確認ください。とのことでした。

詳細については制度案内のページ「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」の以下のHPを参照してください。

https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/exp-sp/

相当技術基準への適合の確認方法には(A)外国の認証を受けた市販品を利用する場合向け(B)端末を開発するメーカーが自分で利用する場合向けがあり、(A)については機器本体等に記載されているFCC ID等を用いて確認することができます。

FCC IDによる確認の場合は、IDを元にFCCの公式サイトで周波数帯や出力などを確認できるので、対象範囲内かを確認する際に是非活用いただきたいことでした。

(B)の場合は一定の資格を持つ無線従事者が、相当技術基準であることを確認する必要があります。

特例の手続きとしては

・事前の開設の届出

・運用中の管理措置

・実験等終了後の廃止届出・管理措置

特に注意が必要なのは、実験等の参加者や発表を見る人に、特別な手続の下で実施しているなどの内容を案内することや、実験等が終了した場合は必ず対象機種を回収し、誤って不法無線局として使用されないように措置を講じることです。

今回、ご紹介した特例制度は2019年11月20日に施行され、運用開始済みとなっています。現在は、先行運用期間であり、書面で届出が必要であり、2020年春頃には、本格運用(Web上でのオンライン届出)を開始する見込みとなっている、とのことでした。

第二講演 今すぐ活用できる5GHz帯無線LANの最新制度
講師:総務省 総合通信基盤局 電波部 基幹・衛星移動通信課 基幹通信室 樋口海里様

最新制度として以下の二つについて樋口様より紹介がありました。

・5.2GHz帯の屋外利用(H30.6.29)

・IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)の制度改正の概要(R1.7.11)と5.6GHz帯の拡大(144ch)

無線LANシステムはその普及と使用目的の多様化に伴い、通信速度の高速化、情報量の大容量化が加速しており、スタジアムや駅等の商業・公共施設での利用が促進されています。

また、この利用者数、通信トラフィックの増加に伴い、5GHz帯での屋外利用のニーズが高まってきました。今回の制度は、アクセスポイントや中継器を登録局とすることを条件に、これまで屋内利用に限定されていたW52の屋外利用を可能とし、更に最大EIRP(等価等方輻射電力)1Wまでの出力を可能としています。

アクセスポイントや中継器の利用の際には以下の3点について注意が必要となります。

  1. 「2GHz帯高出力データ通信システム」の技適を取得した専用機器を使用する
  2. 登録局の手続きを行う
  3. 気象レーダーに影響を与えない「開設区域」で使用する

次に次世代高効率無線LAN(IEEE802.11ax)導入の背景について説明がありました。11axは多重伝送技術(上り下りOFDMAと上りマルチユーザMIMO)を導入することで周波数の利用効率を向上させています。また、11axと同時に導入された5.6GHz帯におけるチャネル拡大(144ch)の説明がありました。

144chを追加することで、1ch増えるメリットだけではなく、チャネルボンディングのパターンが増え、利用効率が向上しました。

まとめとして、5.2GHz帯は高速で空いている周波数であり、利用価値は高いが手続きに注意が必要である、また、今後普及が進めば、IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)や144chの利用も高速化に大きな効果が期待できる、とのことでした。

アンケート結果について

セミナー終了後にWebによるアンケート調査を行いました。33名の方からアンケートを頂き、次回以降の勉強会としてはローカル5Gに関するものが28名と多数をしめておりました。結果は以下の通りとなっています。

28名:ローカル5Gの制度と技術について

11名:スペアナ操作方法

9名:VR関連の技術と利用方法

7名:ドローン関連の技術と利用方法

2名:その他(Wi-Bizが考えるローカル5GとWi-Fiのすみ分け、Wi-Fi6の最新情報)

アンケート結果を受け、今後のセミナー開催に向けて検討してまいります。


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