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事例紹介:石川県能登町
既設公営CATV設備を活用した「集約管理型Wi-Fi」を導入

渉外・広報委員会 江副浩

能登町では増加傾向にある訪日外国人観光客等の受け入れ態勢を強化するためにWi-Fi整備を進めることになりました。その際、「公衆無線LAN環境整備支援事業(平成29年度)」が活用されましたが、コスト削減のために既設のCATV設備を利用し認証設備やネットワークの一元化を行いました。これにより低コストでアクセスポイントの整備拡張が容易に実施できるようになりました。

石川県能登町(のとちょう)の基礎情報について

人口:17,884人
世帯数:7,706世帯
高齢化率:45.0%
財政力指数:0.20(平成29年度)
Wi-Fi利用拠点数:13
アクセスポイント数:13
整備開始:平成29年
域内指定緊急避難場所数:51
域内指定避難所数:17

Wi-Fi環境整備実施の経緯について

能登町は、石川県の北東部、能登半島の中央部に位置し、富山湾に面する町です。
能登町では、平成28年3月に、町を運営する上での総合的な指針である「能登町第二次総合計画」が策定されました。

このなかで、近年、増加傾向にある訪日外国人観光客等の受け入れ体制の強化を図るために、Wi-Fiの整備を進めること等が掲げられ、整備に取り組むこととなりました。
整備には、総務省の「公衆無線LAN環境整備支援事業(平成29年度)」が活用され、災害時利用にも資するよう「自主避難対応避難所」のうち10箇所において整備が行われました。翌年の平成30年度にも、新築移転された公民館(自主避難対応避難所)を含む3箇所において整備が行われました。これら施設では、平成30年9月の台風21号・台風24号の被災時に、避難所の開設と災害時用Wi-Fiとして開放が行われました。
町では、現在も更なるWi-Fi整備が模索されています。平成31年度にも自主避難対応避難所2箇所とその他施設4箇所(役場や運動公園、観光集客施設)の計6箇所において整備が行われる予定です。

Wi-Fi環境整備の内容

能登町におけるWi-Fi環境整備事業の概要は、下図のとおりです。
山間地や海岸沿いなどの地形的特色のため、地上波放送・難視聴地域がほとんどを占めていた能登町では、全国でも五番目、石川県内では初の公営のケーブルテレビが導入・運営されており、町内のほぼ全て世帯・事業所等に放送・通信ネットワークがつながっている状況でした。

このようなインフラを有効に活用したため、今般Wi-Fi環境整備事業によって新設する設備は限定的に留められました。

サービス内容

能登町の「Noto Free Wi-Fi」が利用可能な施設には、能登町のイメージキャラクターである「のっとりん」が描かれたステッカーが掲示されています。「Noto Free Wi-Fi」は、Wi-Fi機能を搭載したスマートフォン、タブレット端末、パソコンで利用可能です。利用時の認証は、メールアドレス認証方式、もしくはSNSアカウント認証方式が採用されており、いずれかで認証すれば無料でインターネットを利用できるようになっています。

なお、接続時間は20分/回と設定されており、20分を超過した場合には、再度の接続手続きをすることで、8回/日の利用が可能となっています。

整備費用について

能登町では、整備箇所ごとに認証装置を置く従前の方式ではなく、既設置の告知放送システム(ケーブルテレビや告知端末等)を利用してセンターにて集約的に認証等を行う方式を採用しました。

そのため、平成30年度以降は、アクセスポイントの設置費用(一台あたりおよそ170,000円)のみで、安価に拡張的な整備を進めていくことが可能となっています。

年度:平成29年度
整備費用:3,341,520円
設置個所:10か所(公民館等の防災拠点)
備考:平成29年度公衆無線LAN環境整備支援事業補助金を活用(2,227,000円)

年度:平成30年度
整備費用:550,880円
設置個所:3か所(小間生公民館等)
備考:町単独事業

年度:平成31年度
整備費用:1,144,000円
設置個所:4か所(能登町役場や集客交流施設等)
備考:町単独事業

運用費用について

能登町におけるWi-Fi整備では、既設のケーブルテレビ回線などを利用するとともに新たに民間事業者に管理・保守委託をすることもなかったため、運用費は生じていません。

Wi-Fi環境整備効果

能登町では、Wi-Fi利用者数を確認することができる仕様になっています。現状では、定期的に集計・分析等はなされていませんが、整備前に想定していた程度の利用者数が確認されています。

また、平成30年9月4日(台風21号)、9月30日(台風24号)には、自主避難対応避難所の開設と災害時用Wi-Fiとしての開放が行われました。自主避難した町民のなかには、外部との連絡や情報収集の手段として、Wi-Fiを活用した方もいるようです。
なお、能登町では、町民に身近な公民館等(自主避難対応避難所に指定)をWi-Fi環境の整備対象箇所にしました。町では、平常時から町民がコミュニティ活動のなかでWi-Fiを利用することで、災害時における利用に慣れる機会が得られ、町民の情報リテラシーを高めることも相乗効果として期待しています。

参照先:
総務省「地方公共団体におけるWi-Fi整備・利活用事例集」http://www.soumu.go.jp/main_content/000618328.pdf


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