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技術情報
「ローカル5G」に必要となるIMSI番号とは?

企画・運用委員会 松村直哉

最近、話題となっている5G、2020年春にはモバイルキャリアが一斉にサービスを開始するため、2019年後半からスタジアムやイベントホールなどで一部、試験運用が開始されるようです。

一方、モバイルキャリア以外のエリアオーナー、例えば工場や学校などの個別の場所において5Gネットワークを自営で展開することを目的としたローカルGが総務省の「ローカル5G検討作業班」にて進められています。

これまで4G(LTE)方式のモバイルネットワークは地域BWAなどの自治体での利用で展開されていましたが、ローカル5Gは土地や建物をもつオーナーが比較的簡単な手続きで5Gのネットワークを利用できるという大きなメリットがあります。この「ローカル5G検討作業班」については総務省の以下のHPを参照ください。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/
policyreports/joho_tsusin/5th_generation/local_5g/index.html

モバイルキャリアが展開する4G(LTE)のネットワークはSIMを使った認証によって使い勝手が良く、さらに安全性の高い通信を提供しています。これは、スマートフォンに搭載されたSIMとモバイルキャリのEPCと呼ばれるコアのHSSサーバとの間で認証の手続きが実行されるものです。

Wi-Fiにおいても一部のキャリアWi-Fiには、SIMを使った認証が使われており、SIM認証の場合は面倒なID/PWの入力が不要で、セキュアかつ簡単にWi-Fiに接続され利便性が高いものになっています。

このSIMカードには以下の3つの識別番号が書き込まれています。

・IMSI(International Mobile Subscriber Identity)
ITU-T E.212で規定された、携帯電話ユーザに割り当てられた15桁の認識番号。国番号(3桁、日本は440または441)、事業者番号(2桁または3桁)、加入者識別コード(9桁または10桁)で表される。

・MSISDN(Mobile Subscriber Integrated Service Digital Network Number)
携帯電話の電話番号。 ITU-E.164で規定されている。国番号から始まる加入者番号。日本の国番号は81

・ICCCID(Integrated Circuit ID)
SIMカードのシリアル番号、通常19桁で、SIMカードを発行するベンダーが管理する番号。

IMSIについて「IoT時代の電気通信番号に関する研究会」でも議論されています。IoTセンサーデバイスにすべてSIMを搭載すると何千億という数になると予想され、今ある番号体系で賄えるか、どのように拡張していくか?などが議論されています。「IoT時代の電気通信番号に関する研究会」については以下の総務省のページを参照してください。

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/iot_tel/index.html

研究会の以下の報告書の中にIMSIについてもう少し詳しく記載されているので参考として下さい。「IoT時代の電気通信番号に関する研究会 報告書」

http://www.soumu.go.jp/main_content/000631590.pdf

モバイルキャリアは当然このIMSI番号を取得しています。また現在、先に説明したHSSサーバを自前で用意するフルMVNOという事業者が出てきています。4Gや5GのネットワークはSIMで認証を行うため、IMSI番号の取得が必須となります。この報告書のなかで2018年までの番号を取得した事業者について紹介されています。

今後、5Gやローカル5Gのインフラを使った高度なサービスが提供されることになると思いますが、これらのインフラの認証に欠かせないSIMやIMSI番号といったものがますます重要な要素となり、IMSI番号を新規に取得する事業者が増えてくると考えられます。


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