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技術情報
iPhoneもサポート、北米「LAA」の最新状況

技術・調査委員会 松村直哉

5Gのアンライセンスバンドをキャリアのスモールセルの一つとして利用するLAA(Licensed Assisted Access)について、2018年4月のメルマガで北米の状況をご紹介しましたが、サービス提供エリアや対応する端末が増えてきているので、その動向をご紹介します。
現在、主に利用されているLTE(4G)から5Gのシステムへ移行する過程でLTEと5Gが共存するシステムをノンスタンドアロンと呼びます。(下図)

ノンスタンドアロンシステムはLTE(4G)の基地局が制御信号を扱い、データについてはLTEと5Gの基地局のそれぞれが扱うことでデータ通信が実現されます。もう少し詳しくは総務省「電波政策の最新動向」を参照。


総務省:「電波政策の最新動向」より抜粋

このノンスタンドアロンに対してスタンドアロンはフル5Gのシステムのことですべて5Gのアーキテクチャで動作します。このスタンドアロンに移行するには5年以上かかると言われています。
移行期で提供されるノンスタンドアロン方式に分類されると言ってもよいものにLAA(Licensed Assisted Access)があります。一番上の図のNR(5G)のところにLAAが位置付けられます。
LAAについては2018年4月のメルマガ「技術情報」にて紹介しましたが、この時点でも北米では既にサービスが開始されていましたが、まだ対応する端末が1、2種類といった状況でした。

しかし、2018年7月の時点でAT&Tは8つの市場でサービスを立ち上げています。この記事によると対応する端末はモトローラ、サムスン、LGなどから提供されており、対応する端末の数が増えていることが明らかです。
詳細については以下の記事を参照してください。
https://www.fiercewireless.com/wireless/at-t-more-than-half-way-to-enabling-laa-24-markets-year

2018年4月のメルマガを執筆した時点ではiPhoneが採用しているIntelチップセットではまだLAAがサポートされておらず、このサービスは未提供となっていましたが、昨年のAppleのリリースを見ると、iPhone XSではLAAがサポートされていることがわかりました。AppleのHPに「4×4 MIMOとLAA対応ギガビット級LTE」に対応とあります。
詳細は以下を参照してください。
https://www.apple.com/jp/iphone-xs/specs/

北米では5Gバンドを利用したFWA(Fixed Wireless Access)のサービスが開始されています。これはあくまでも固定回線の無線化であり、本当の意味での5Gではないと思います。
そこで北米のアプローチは、まずLAAで高速通信をスマホなど現行の移動機にて実現し、その高速性にあったアプリ、サービスを先行して開発できるインフラを提供しているのではないかと思います。
ただし、以前のメルマガにも書きましたが、日本国内のように高密度なWi-Fi環境が多い場合、LAAサービスの開始については、十分な実証検証が必要になると思います。


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