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イベント報告
「802.11ah推進協議会」が発足
Wi-Bizも参加しIoT向けWi-Fiを日本でも利用可能へ

無線LANビジネス推進連絡会 会長 北條 博史

11月7日、東京・大手町で「802.11ah推進協議会(以下、11ah協議会)」の総会が開かれ、IoT向けWi-FiであるIEEE802.11ah方式の日本での導入促進を目的とした団体として発足しました。

無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)も特別会員として参画し、小林忠男顧問が協議会の会長に、北條も運営委員となりました。

引き続き、11ah協議会は記者説明会を開催し、802.11ah方式の優位性とユースケースについて説明し、実機によるデモンストレーションなどを行いました。記者説明会後のメディアの広報状況については、最後に記載しました。

802.11ah推進協議会の概要

11ah協議会は、NTT東日本など5団体(Wi-Bizを含む)が発起人会社として企画し、10月23日に報道発表して会員募集を始めました。23日の報道発表からわずか2週間、どの程度会員が集まるのか心配された状況でしたが、想定の30団体をはるかに上回る設立時56団体の参加を得ることができました。

会員には、キャリアに加えてメーカーやSIer、学術団体に至るまで、幅広いメンバが参加しています。総会で発表された11ah協議会の体制および会員一覧はそれぞれ図表1、図表2の通りです。

図表1 11ah協議会について

図表2 会員一覧

設立総会で活動方針を決定

設立総会は、まず11ah協議会設立宣言の後、総会の設立に先立って、第1回の運営会が開催され、役員、アドバイザーの選任、活動方針の策定・承認及びMoU締結の承認が行われました。

そのあと第1回総会が開催されました。総会には全56団体中44団体50名の出席をいただき、小林新会長からのご挨拶、会則の承認、監事の選任を行い、長谷川副会長から活動方針について説明がありました。

岡村監事

小林会長

長谷川副会長

まず、11ahの優位性を対外アピールするために、実証実験(トライアル)を行うことをターゲットとし、技術TG並びにマーケットTGを立ち上げ、それぞれ技術検証/電波免許取得、およびユースケースの検討などを行うことになっています。この2つのTGのメンバは今後、会員から広く募集する予定です(図表3)。

図表3 11ah協議会の推進体制

総会の様子

総会後、運営会で決定したMoUの締結式を米国Newracom社と11ah協議会のトップで行い、今後の協力体制を確認しました。Newracomは、現在日本で802.11ahを提供可能な唯一のチップベンダーであり、パートナーとして今後トライアル等において製品や技術の提供など行う予定です。

Newracom社とのMoU締結式

記者会見で熱心な質問が多数

11ah協議会設立後、15時から記者説明会を実施いたしました。

(報道発表資料は以下のURLにありますので、ご覧ください)。
https://www.wlan-business.org/11ah-kyougikai/pdf/newsreleases2.pdf

記者説明会での小林会長

冒頭、小林会長から設立趣旨説明、802.11ahの特徴、活動計画の報告があり、「802.11ah推進協議会」をなぜ今立ち上げたのか、802.11ahが他のLPWAと根本的に異なる特徴(図表4)などの説明がありました。

最後に活動スケジュール(図表5)の説明があり、できるだけ早く802.11ahを日本でも使えるようにすることが目的という説明がありました。

図表4 802.11ahの特徴

図表5 活動スケジュール

続いて、運営委員のNTT東日本の酒井氏から、11ahの特徴を生かしたアプリケーションなどのユースケースの説明があり、これまでのLPWAではセンサ情報のような情報量の少ないものしか送れない利用形態が、11ahによって画像や動画まで送れるようになることで利用形態が一気に拡大すると説明しました(図表6)。

図表6 802.11ahによるビジネスマーケットの広がり

酒井委員のユースケース説明

そのあと質疑応答があり、到達距離が伸び、スループットが向上する点は分かったがコストや消費電力はどうなのか、という質問や、11acに加えて11ahを搭載したマルチモード端末が市場に出てくる可能性はどうなのか、という質問が出ました。

消費電力については、チップベンダーNewracomのLee社長(CEO)が、「11ahは広帯域信号を送れることがメリットで、当然その場合は消費電力が高いが、センサ情報などを低頻度で送るような場合は他のLPWAと同様の低消費電力を実現できる」と回答しました。

NewracomのLee社長(CEO)(中央)

記者説明会の様子

最後に、Newracomのチップを搭載した11ahボードを用いたデモンストレーションについての説明を長谷川副会長から行い、さらに会場に設置した実機を用いた通信デモを実施しました。

なお、デモに用いたコンテンツはWi-Bizと提携関係にある「でんぱ組.inc」のプロモーションビデオを「株式会社ディアステージ」のご厚意により利用させていただきました。

デモンストレーションの様子(説明者は長谷川副会長)

 

多くのメディアで記事が掲載されました。報道関係の資料を列挙します。

※11ah協議会設立(11月7日)に対する報道
● IoT向け無線技術で新団体 NTTなど56社・団体が参加
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3748131007112018X30000/

● IoT向けWi-Fi「IEEE802.11ah」の業界団体が発足
http://news.livedoor.com/article/detail/15561381/
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1152155.html

● IoT向けWi-Fi「IEEE802.11ah」の業界団体が発足
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181107-00000129-impress-sci

●「LPWAが抱える課題の大半を解決」 IoT向けWi-Fiの実用化を目指す
「802.11ah推進協議会」発足
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1811/07/news129.html
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181107-00000087-zdn_n-sci

● 無線LAN版LPWA「IEEE 802.11ah」、推進団体が発足
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/03272/
●「802.11ah推進協議会」が56社で発足―Wi-Fi版LPWAの早期解禁目指す
https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/6397/Default.aspx

(参考)
※ 予告リリース(10月23日)に対する報道
●802.11ah推進協議会が発足、会員を募集
https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/6369/Default.aspx
https://jp.linux.com/news/255-businessnetwork/467144


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