目次ページへ

技術情報
携帯キャリア3社から出揃った「セルラーIoT」

技術・調査委員会 松村 直哉

9月末、ドコモからLTE-Mのサービス提供に関する発表がありました。KDDI、ソフトバンクは既に提供済みでしたので、これで携帯キャリア3社のセルラーIoT(CIoT)のLTE-Mサービスが出揃ったことになります。
*詳細については各社のリリース記事を参照してください。

<ドコモ報道発表 2018年9月26日>
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2018/09/26_00.html

<KDDI ニュースリリース 2017年11月16日>
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2017/11/16/2797.html

<ソフトバンクプレスリリース 2018年4月26日>
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2018/20180426_02/

LTE-MはeMTCとも呼ばれLTEベースの携帯キャリアの基地局をエンハンスすることで提供を可能とするIoTサービスです。

新たな基地局を構築する手間はなく、既存の基地局のファームアップで対応できると言われており、ドコモはサービスを東京都、大阪府、千葉県の一部のエリアから開始しますが、2019年3月にはLTEと同等のエリアでのサービス提供を予定しています。
サービス開始から約半年で全国をカバーすることになります。

このLTE-M(eMTC)はLTEのカバレッジ以上となっており、数値レベルでは15dBと(LTEと比較し)向上されており、建物内部などこれまで圏外であったエリアでの利用が可能となります。
また、端末側の消費電力は省電力モードを採用することで単三電池2本で10年の駆動を目指しています。

*詳細については以下を参照ください。
総務省:「情報通信審議会情報通信技術分科会新世代モバイル通信システム委員会報告概要」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000485376.pdf

また、LTE-Mは920MHz帯で既に提供されているLoRaWANやSIGFOXと比較した時にモビリティ(移動することが可能)、音声通話も可能(サービスとしては提供されていないようですが)、FOTA(LTEを利用した端末側のファームアップ)が可能になります。

詳しくはKDDIのLPWA紹介ページを参照してみてください。
https://iot.kddi.com/lpwa/

料金は回線数や携帯キャリアとのVPN回線やIoTプラットフォームの利用などで変わるため簡単には比較できませんが、各社のHPから引用すると大よそですが月額200円~400円になるようです。

 

*各社の料金プランについては以下を参照してください。
<ドコモ料金プラン>
https://www.nttdocomo.co.jp/biz/charge/module/iot/

<ソフトバンク料金プラン>
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2018/20180426_02/

<KDDI料金プラン>
http://www.kddi.com/business/mobile/m2m-solution/iot-lpwa/

もう一つの特徴として利用できるモジュールも増えてきているという点です。

ドコモの報道発表(下記)から抜粋すると、複数社からのモジュール提供が予定されています。
ドコモのLTE-Mに対応した通信モジュールを、「AM Telecom Co.,Ltd.」や「京セラ株式会社」、「Quectel Wireless Solutions Co., Ltd.」、「Gemalto」、「Sierra Wireless, Inc.」、「太陽誘電株式会社」、「Telit wireless solutions Japan株式会社」、「株式会社村田製作所」、「u-blox AG」(五十音順)が順次取り扱う予定です。

また、KDDIについては接続検証(IOT)が完了している製品が以下のWebで公開されています。
このなかでCatM1(カテゴリーM1)と表記されているモジュールがLTE-Mの接続検証試験が完了したものになります。複数のベンダーの接続検証が完了しています。
<KDDI IOT完了製品>
https://open-dev.kddi.com/information?type=3

同様にソフトバンクからも接続検証が完了したモジュールが以下に公開されています。
<ソフトバンク IOT完了製品>
https://www.softbank.jp/biz/mobile/service_solution/solution/m2m/product/bg96/

このように利用できるモジュールの多さや、通常のLTE以上のカバレッジ、単三電池2本で10年の駆動など、特徴が多いLTE-Mは携帯3キャリアのサービスが出揃ったことで今後、様々な機器のセンサーとなりIoTの主役となるのではと思います。


目次ページへ

■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら