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海外情報
クアルコムがWPA3を全Wi-Fiラインナップに適用

岩本賢二

昨年話題になったKRACKsによる脆弱性は、WPA2を利用したユーザの機密情報が盗み取られる可能性があり、センセーショナルなニュースとなりました。

そこで、クアルコム(Qualcomm Technologies)は既知のセキュリティホールを積極的に解決するために、製品ポートフォリオ全体に「WPA3」を導入することを発表しました。

同社はWi-Fi Allianceの第三世代セキュリティスイートWPA3を携帯デバイス向けやWi-Fiネットワーク製品向けに、今夏にリリースされる全てのチップセットでサポートするということです。

具体的には今年の夏にリリース予定のモバイルSoC「SnapdoragonTM845」をはじめとする全てのWi-Fiネットワークインフラ製品についてサポートします。

Wi-Fi Allianceは今年の「CES」でWPA3を発表し、個人や企業向けのWi-Fiネットワークのための4つの新機能についての「WPA3 Wi-Fi認証プログラム」を2018年中に開始すると説明しました。

この認証プログラムはまだ開始されていませんが、クアルコムは先行してWPA3をサポートする事を発表した次第です。ではここで、Wi-Fi Allianceがいう4つの新機能についておさらいをしてみましょう。

一つ目の新機能が、これまで簡単なパスワードを利用することで脆弱性があると指摘されてきたWPAとWPA2に対して、新しいWPA3では複雑でもランダムでもないパスワードを利用した場合でもプライバシーが保護されるという機能です。

二つ目の新機能は、適時、無線暗号方式(Opportunistic Wireless Enclyption)です。これは、喫茶店のようにハッカーを含む誰もが見える場所にパスワードを掲示するようなオープンWi-Fiネットワークにおいても個々の通信を個別に暗号化することでプライバシーを確保する機能です。

三つ目の新機能がデバイスプロビジョニング機能です。これは限られたディスプレイしか持たないようなデバイスや、もしくはディスプレイを持たないIoTデバイスでも簡単にネットワークに接続するためのセキュリティ機能です。

四つ目の新機能は、政府、医療、金融分野でも十分利用可能なCNSA規格に準拠した高強度暗号機能です。

WPA2は2004年から長期間利用されてきました。この間、新しいプロトコルの開発は継続的に行われてきましたが、市場が802.11axに動こうとする今のタイミングで最新のセキュリティに拡張するのは非常に良いタイミングと思われます。

WPA3によりWi-Fiの利用が広がっていくことを切に願います。

参照:
https://www.qualcomm.com/news/releases/2018/05/15/qualcomm-integrates-newest-wi-fi-security-standard-across-mobile-and
https://www.fiercewireless.com/wireless/qualcomm-to-incorporate-wpa3-into-wi-fi-portfolio
https://www.wi-fi.org/news-events/newsroom/wi-fi-alliance-introduces-security-enhancements
https://www.fiercewireless.com/wireless/qualcomm-introduces-11ax-ready-wcn3998-for-smartphones


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