趣味と仕事
天体観測~ただ見上げるだけで数億光年の旅に~

無線LANビジネス推進連絡会 事務局 岩佐直樹

雨上がりが待ち遠しい。大気中の微細な浮遊物が洗い流されて空が澄み渡る。 もちろん晴れていることが大前提ですが、雨上がりは絶好の天体観測日和となります。そのような夜、私は天体望遠鏡と双眼鏡を積込んで富士山五合目へと出かけます。特に台風一過など最高の条件下なら、おびただしい数の星が空一面に拡がり圧倒されます。人間を超えた存在が私たちを見下ろしている、そのような気になり恐怖さえ感じます。畏怖の念とはこういうことなのでしょう。

秋の夜長に

天の川が横たわる派手な夏の空とは対照的に、この時期は明るい星も少なく地味な空になります。寂しい印象もありますが、秋の空では実は壮大な星座物語に思いを馳せることができます。

エチオピア国王夫妻ケフェウスとカシオペア、勇者ペルセウスと王女アンドロメダ、ペルセウスの愛馬ペガスス、古代エチオピアを襲った怪物くじらという物語の登場人物が勢揃いしています。

20時頃南に向かって立ち、空を見上げてみて下さい。天頂付近に4つの星が四角く並んでいるのが見えるでしょう。これは「ペガスス座」の天馬の胴体に見立てられ、秋の四辺形と呼ばれています。

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秋の四辺形

そのすぐ左(東)上に「アンドロメダ座」があり、双眼鏡でもあれば有名な「アンドロメダ銀河」を見つけることができます。四辺形の東側には「うお座」や「おひつじ座」、その南側に「くじら座」が潜んでいます。

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アンドロメダ銀河

目印になるような明るい星はありませんが、月明かりがない夜には星座の形をたどることができます。南側には「みずがめ座」や「みなみのうお座」があり、フォーマルハウトという星がポツンと光っています。

北側に目を転じればカシオペア座やケフェウス座が見つかります。

ギリシア神話を一通り反芻した後は、プレアデス星団やアンドロメダ銀河を観てその神々しい美しさにいつまでも魅入ってしまいます。

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プレアデス星団

昔は視力検査にも使われたというプレアデス星団。条件が好ければ通常視力の人なら6~7個見えるといわれていますので、皆さんも試されては・・・

アンドロメダ銀河は我々が住む太陽系がある天の川銀河から距離230万光年の位置にあります。条件が好ければ肉眼でも簡単に見つけることができます。
この二つの銀河は時速40万kmで近づきつつあり、30~40億年後には合体すると考えられています。ちなみに時速40万kmとは地球から月まで(約38万Km)をわずか1時間で移動するのに相当!!

そうこうしながら「しし座」が昇ってくる明け方近くまで空を見ていると、運が良ければ「しし座流星群」に出会えるかもしれません。2001年には1時間あたり2000個もの流星が現れたとの報告があります。ここ数年はそれほどは期待できないようですが、数時間も空を見ていれば数個~10数個程度は見ることができるでしょう。

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しし座流星群

仕事ではいろいろな調整ごとなどで辟易することも多々ありますが、星空の下ではフト気がつくとただただ謙虚で無心になっている自分がいます。

宇宙(の歴史)に較べれば、我々の営み(悩み・葛藤・煩悩)のなんとスケールの小さいことでしょう!!

どうです、皆様も秋の夜長にじっくりと星巡りを楽しんでみてはいかがでしょう。
誰でもただ見上げるだけで数億光年の旅に出かけられるのです!!


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