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Wi-Fi/LTE-Uのリンク共存調査に暗雲

これまでWi-FiとLTE-Uがお互いに協調できるかどうかの議論が続いてきましたが、クアルコム社はWi-FiアクセスポイントはLTE-Uとスペクトルを上手く共存できないことを発見したと言っています。

8月15日の「EE Times」によると、クアルコムがWi-FiとLTE-Uの共存のためのテストパラメーターを調査している課程で、本来は理想的に50:50でお互いにスペクトルを共有すべきなのに、実際には遠く逸脱してしまうことを発見したと報じています。

クアルコムの技術VPであるMingxi Fan氏によると3ブランドの(コンシューマ向けでは無い)高性能アクセスポイントで調査してみたところ、リンクの共有率が製品毎に10%~90%の範囲で大きく異なることが判明し、これは同じメーカーのAP間でも同様に異なることが分かったそうです。

Fan氏によると、この原因はそれぞれベンダー毎にスペクトル共有を動的に調整するため様々なパラメータを独自に設定していることにあり、ひどい場合ではRTS-CTSが実行されずデバイス間で送受信が全くできないケースもあったそうです。これはLTE-Uと混在する環境下で二つのアクセスポイントから発信されたRTSが衝突し端末がそれを受信できず通信不能に陥る現象が起きました。このため送信リンクは長時間切断されてしまいました。

一方でリンク共有率に10%~90%と幅があったということは、アクセスポイントのパラメータによってはLTE-U側のリンク共有率を下げることもできる訳ですので、共有率が設置者によってコントロールできてしまうということになります。

今後の調査に注目ですが、既に8月上旬にWiFiアライアンスによって策定された共有テストプランについては、Broadcom等が参加するWiFiForwardというWi-Fi推進団体によって追加された「臨時妥協案」を巡ってクアルコムが待ったを掛けています。この妥協案にはLTE-Uの接続品質がある程度落ちることを許容するという、LTE-Uが不利になる内容が含まれていたためです。

LTE-Uの推進に力を入れているクアルコムから今回の様な不利な情報が出てくるのは非常に興味深い事です。一方LAAはLTE-Uと異なり「Listen Before Talk」が実装されておりWi-Fiとの相性が良いとされています。その為、市場はLAA導入に傾いてきており、クアルコム自身も方向転換をする兆しなのかもしれません。

今後の動きが注目されます。

参考記事
http://www.fiercewireless.com/tech/qualcomm-finds-wi-fi-doesn-t-share-spectrum-so-well-either-1
http://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1330277&piddl_msgid=362681#msg_362681
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/idg/14/481542/041300221/

岩本賢二


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