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インタビュー
観光庁 国際観光部 参事官 今井 盾介 氏
「訪日外国人旅行者」4000万人を突破
Wi-Fiの稠密化・高度化にはまだ課題も
昨年(2025年)の「訪日外国人旅行者数」が初めて4000万人を突破しました。訪日外国人旅行者による消費額も昨年(2025年)1年間で9.5兆円の規模になりました。観光庁国際観光部の今井盾介参事官を訪ね、今後の日本の観光政策についての方針と取り組みをお聞きしました。今井参事官はWi-Fi高度化への強い期待を述べられました。
「訪日外国人旅行者」が初めて4000万人を突破
--インバウンドをはじめ観光の状況についてとても注目されていますが、日本の観光の現状について、日本人の国内旅行、また海外からの旅行者の状況などについて教えてください。
今井 日本の観光の現状について、まず「日本人の国内旅行」についてですけれども、一昨年(2024年)の日本人の国内延べ旅行者数は5.4億人です。コロナ前の9割程度まで回復してきました。昨年(2025年)は、今、第3四半期までデータが出ていて、9月までの累計で4.3億人です。2024年を上回る水準で推移しています。そういう意味では堅調な回復基調にあると考えています。
併せて「国内旅行消費額」ですけれども、こちらは非常に好調で、2024年で1人当たりの旅行単価が4.7万円です。これはコロナ前から25%増えており、2024年で25.2兆円の消費規模です。これは過去最高です。昨年(2025年)に入ってからも、これも第3四半期までの9月までの累計で20.5兆円ということで、2024年を上回るペースです。従って日本人の国内観光については、まだコロナ前の水準に数は追いついていないものの、消費はコロナ前を超えて回復しているということで、順調な回復基調にあると私どもは考えています。
続いて「日本人の海外旅行」です。日本人の海外旅行の動向ということですけれども、コロナで落ち込んだアウトバウンドの数が回復基調にあります。昨年(2025年)は1,473万人、対前年で13.3%増でした。これはコロナ前からすると7割程度の水準ですので、まだまだコロナ前には戻っていませんけれども、順調に回復してきているということかなと考えています。
それから、よく報道で出ているインバウンド、「外国人の日本への旅行」の状況ということです。報道で先日も大きく取り上げられていますけれども、昨年(2025年)の年間の訪日外国人旅行者数が4,268万人で、対前年15.8%の増で、初めて4,000万人を超えて過去最高でした。
消費も非常に順調に伸びています。訪日外国人旅行者による消費額が昨年(2025年)1年間で9.5兆円になりました。これはコロナ前から比較すると約2倍という水準であり、そういう意味では数も消費も非常に好調に推移をしています。
一方でインバウンドの状況ということですけれども、引き続き三大都市圏への偏在が目下の課題です。多くのインバウンドの方が、東京、大阪、京都をはじめとする三大都市圏に集中しています。また、報道でもよく出ているように特定のエリアに過度の混雑が生じてしまって、それによって地域住民の生活にも影響しているという問題が発生していると承知をしています。こうした意味でも今後は地方へどんどん誘客を図っていくことが大きな政策課題です。
輸出産業比較で第1位の可能性も
--インバウンド、アウトバウンドとも、大変好調ですね。産業的規模で見た時、広い意味の旅行産業というのは日本の国内産業の中では、どういう位置付けになるのでしょうか。
今井 先ほどインバウンドの消費額9.5兆円と規模感を申し上げましたが、外貨の獲得という意味合いがありますので輸出産業と比較して論じることがあります。日本の輸出産業との比較ということでいくと、観光産業の9.5兆円という規模は、自動車産業に続いて第2位の産業という経済規模になっています。
--それは凄いですね。今や戦略的な産業になっているのですね。
今井 自動車と匹敵するような存在になっていると意味では非常に大きな経済的なインパクトがある、日本にとって無くてはならない産業になっているということと思います。
--安倍政権のときにインバウンド需要というものを戦略に位置付けて、伸ばしてきたと思いますが、今は政府の戦略目標はどうなっていますか。
今井 安倍政権のときに「明日の日本を支える観光ビジョン」ということで立てた政府目標は、2030年に訪日外国人を6,000万人、消費額は15兆円を目指すとしており、この政府目標については現政権においても引き続き維持しています。「観光立国推進基本計画」という5年計画がありますけれども、まさに今、改定時期であり、この年度末に向けて改定作業を行っていますけれども、今のところ観光ビジョンで立てた2030年目標については引き続き維持する方向で検討が進んでいます。
--すると、自動車産業を抜くという可能性もありますね。
今井 15兆円という規模は、それに肩を並べるぐらいの、かなり大きなインパクトのある産業ということかなと思います。
--観光産業といった場合、いろいろな分野があると思うのですが、どういう分類になっているのでしょうか。
今井 先ほど申し上げた9.5兆円ですけれども、1人当たりの旅行消費額に直すと、去年の数字で、1人当たり22.9万円ほどになります。その内訳を見ると、8.4万円ということで宿泊代が一番大きい。次いで買い物代で、6.1万円です。3番目が飲食費で、5.0万円。4位が交通費で、2.3万円です。最後は娯楽サービス費で5位です。大きな傾向としては、昔、「爆買い」といわれていた買い物代のところが一服して、1人当たりの消費単価としては買い物代が毎年少しずつ落ちています。一方で宿泊費や飲食費は伸びています。それから、よくいわれる「モノ消費からコト消費」というキーワードがありますけれども、買い物をするだけではなくて、いろいろな体験を楽しんでいただこうという意味でいくと、パイは小さいんですけど、娯楽サービス費の中にあるような、付加価値を付けて観光体験を充実させていこう、ここをしっかりと伸ばしていきたいと全体としては考えています。
--よく分かりました。そうすると観光消費は、ローカルというか、地方ごとの産業メリットがあるということで、地方創生と密接に絡んでいるわけですね。都市集中ではなくて地方の創生・振興・活性化という、地域と密接した産業政策推進が重要になりますね。
今井 その通りだと思います。まだまだ日本には海外の方に知られていない魅力的な観光資源がたくさんあると思っていますので、そうしたものをしっかりとPRして、地域の消費につなげていくことが観光政策の本質だと私は思っています。
世界9位から「観光先進国」へ
--次に、観光産業の世界的な動向について、教えてください。
今井 インバウンドの世界的な動向ということで、国連の世界観光機関(UN Tourism)が世界全体の国際観光客数を試算しています。
2025年(昨年)は世界全体で国際観光客数が15.2億人という水準で、コロナ前を超えて一番大きな数字です。コロナで落ち込んだ時期もありましたけれども、ここ15年ぐらい一貫してずっと伸びている数字で、経済がグローバル化していく中で国際交流が年々加速化して増えている。こういう中で、ビジネスもそうですけれども、観光で国境を移動して、旅を楽しまれる方も非常に増えていると思います。各国ともインバウンドは競合して誘致活動を行っていますので、他国に負けないような観光先進国としての日本の地位をしっかりと築いていくことが非常に大事です。
国別にランキングがあるわけですけれども、日本は世界で9位、アジアで1位の受入数になっているという状況です。まだまだ上を見れば、いろいろな国があるので、他国に負けないような観光立国をしっかりと目指していくことが、凄く大きなグローバルの目標です。
--世界動向で見ると日本は非常にいい位置にあって、しかもまだまだ今後、伸ばしていけるということですね。
今井 4,000万人ということで、かなりいいところまで、いったかなと思います。引き続き6,000万人という目標は、凄く高い意欲的な目標だとは思っていますけれども、上を見れば世界第1位はフランスで、フランスの受入数は1億人で、日本の4,000万人に比べると2.5倍になります。EUなので、島国である日本とは同じく比較できるものでは、もちろんありませんけれども、上を目指していくことは大事だと思いますし、何より数だけではなくて消費につなげて、地方の経済の活性化につなげていくことが非常に大事なポイントかなと思います。グローバルの成長をしっかりと日本にも取り込んでいくことが大きな政策目標です。
--現在、中国との緊張関係で、中国人旅行者が減っていると心配されています。
今井 先月(2025年12月)の訪日数で見ると、中国は単月で45.3%減という数字でしたので、中国だけで見ると、昨年よりも大きく減少しています。一方、その他の市場は全ての市場において対前年を上回る伸び率になっていて、全体としてのインバウンドの単月では16.8%の増ということでしたので、中国は減っているけれども、それよりも他の国の伸びのほうが大きかったというのが直近の状況です。どうしてもカントリーリスクはありますので、いろいろな市場の方を取り込んでおくことが凄く大事なポイントです。これまでも各地で力を入れている市場があるわけなんですけれども、そこをしっかりと多様化する取り組みを今後とも積極的に支援をしていかなければいけないかなと考えています。
--全体としては中国リスクを超えて伸びているということですね。
今井 そうですね。中国の話を申し上げましたけど、2025年の年間の数字で見ると、実は香港だけがマイナスだったんです。香港が-6.2%。これは7月に地震が起きるという噂が広まって、香港の方が訪日を取りやめてしまったという話があったんです。12月で見ると香港もプラスに転じていますので、中国だけではなくて、いろいろな国でカントリーリスクがあるので、いろいろな国からしっかりと取り込んでおくことが、観光地を強靭化するという意味でも大事なことなんだろうと思います。
新予算で一層の対策の拡充を
--今後の施策ですが、令和8年度の予算の問題、そして大きい意味での観光政策の方向性と具体的施策について教えてください。
今井 すでに報道でも出ていますので、ご案内かもしれませんけれど、「国際観光旅客税」の引き上げが予定されています。年末に「令和8年度税制改正の大綱」が閣議決定されています。現在、国際観光旅客税は1人1回1,000円をいただいていますけれども、3,000円に引き上げると決定されています。これに伴って令和8年度の予算ですけれども、観光庁の関連予算額については、令和7年度の579億円から令和8年度は1,383億円という形で大幅に増額をさせていただいています。先ほど申し上げた2030年6,000万人・15兆円の目標達成に向けて、さまざまな観光政策を充実させていきたいということです。
特にこの予算を活用して、先ほど申し上げましたが、特定の地域で生じている過度の混雑、マナー違反への対応、それから地方へ行くということで、特定の都市地域への集中を是正して地方に需要を分散させていく、こういったオーバーツーリズム対策をしっかりとやっていくとともに、これまでいろいろな市場から取り込んできましたけれども、インバウンドの市場をしっかりと多様化していくことを一層強化して、さまざまな国や地域からお客様に来ていただくといった取り組みを、しっかりと促進していきたいと考えています。総論的に申し上げると、こうした方向性が大きな総論ということです。
--「旅客税」というのは「出国税」のことですか。
今井 いわゆる鉤括弧付き「出国税」なんですけれども、このワードをなるべく使わないようにしています。「出国税」という略称は、あたかも海外渡航のために出国する日本人だけに課される税であるといった誤解を招きやすいと考えており、SNSとかで「入国税にしたらいいんじゃないか」という誤解も広まっています。出国で取っても入国で取っても実は一緒で、日本に入国してその後出国する外国人も含めて対象としています。諸外国も多くの国で出国時に取っているということを踏まえて、我が国も出国時に取っていますけれども、実務的にそうしているだけで、税の性質としては国際観光旅客税という税目ですので、誤解を避けるために「出国税」という表現ははなるべく使わないように、長官会見でも呼びかけています。
--何となく誤解しやすいですよね。いつから引き上げられるのでしょうか。
今井 今年の7月1日からの適用です。年度の予算という意味では、4月から6月までの出国や、経過措置で7月以降の出国でも発券済みの場合は、引き続き現行の税率が適用されますので、来年度予算という意味では満年度化されないということです。それでも、令和7年度に490億だったものが令和8年度予算は総額で1,300億円になります。国際観光旅客税は観光庁だけが使うわけではなくて、政府全体の観光政策に充てていますので、文化庁さんとか環境省さん、あるいは法務省さんとか財務省さん等々の各省で使っていくということです。
--税が増えていけば、国家財政にはプラスになりますし、様々な観光施策に活用することができますね。どういうところに重点を置いて取り組んでいくのでしょうか。
今井 まず、オーバーツーリズム対策です。オーバーツーリズム対策は、これまで例年、補正予算で措置をしてきましたけれども、今般、国際観光旅客税の引き上げによる財源を使って、令和8年度からは当初予算に計上することができました。これによって中長期的な観点から、より実効的な取り組みをしっかりとご支援できるかなと思っています。
2点目は地方誘客の一層の促進ということです。誘客のために受け入れ側をしっかりとご支援させていただくことが非常に大事であり、令和8年度予算では特に広域DMO、圏域をまたいで広いエリアで活動されているようなDMOさんへの支援をしっかりと充実させていただきたいということです。
それから、地方へ行くためには、そのアクセスが非常に大事だということで、特に空港利用の円滑化を支援するFAST TRAVELを国内線にも拡充をすること、あるいはローカル鉄道を観光資源として活用するような取り組み、そういった交通基盤の機能強化にもしっかりと充てて、地方誘客を進めていきたいということです。
3点目は、インバウンドとは離れますけれども、国際観光旅客税はインバウンドの方のみならず日本人の方からもいただきますので、海外に旅行する方の関係も、しっかりとこの中でご支援をしたいと思っています。具体的には海外の教育旅行を通じた若者の交流促進、双方向交流の拡大に向けた環境整備、日本人の方が安心して海外に行けるような海外の旅行環境の整備といったことにも充てて、アウトバウンドの関係を促進することにも力を入れていきたいと思っています。
--オーバーツーリズムといっても、いろいろな要素があると思うのですけど、具体的にいうと、どういう対策なんでしょうか。
今井 オーバーツーリズム対策は、国としては各地での取り組みをしっかりとご支援させていただくということなんですけれども、生じている現象について見ると、各地において生じている問題とか課題が地域によってさまざまありますので、そうしたところに寄り添った支援をしていく必要があると考えています。この点は、これまで補正予算で措置をしてきましたので、どうしても国がご支援させていただく内容が単年度の短期的な取り組みにとどまっていたということが、これまでの課題でした。一方でインバウンドの方、特にお客さんが来ているところは、年々増加するインバウンドの増加に伴って、どんどん混雑が増してくるという現状もありますので、どうしても対策としては中長期的に、地方への分散も含めて、腰を据えた取り組みをやっていく必要があります。そういう意味では今回、オーバーツーリズム対策については各自治体さんが描いているような、複数年度にわたるような中長期的な取り組みに対しても、ご支援できるような形を当初予算で確保することで実現する予定ですので、新しい仕組みで、使い勝手のいい予算措置をもって、地域の方を一層バックアップして支援していきたいと考えています。
--今、東京はどこに行っても外国の方が違和感なく溶け込んで、日常風景になってきていると思うんです。逆に外国人旅行嫌いみたいなものがあったり、ことさらに外国人を嫌う傾向があるかと思います。その辺に対策を打っておかないといけないと思いますが。
今井 特に今の政権になって外国人政策ということで力を入れていくということですけれども、皆さん、おっしゃっていることは、別に善良な外国の方を排除したいということでは、もちろんない。排外主義とは一線を画します、ということかなと思います。一方で法令違反をするような外国人とか、制度の穴を突いて悪さをするような海外の方がいらっしゃるので、そういった方を厳正に対処するということをやっていかないと、今後の外国人共生みたいなところが、うまくいかない。こういう大きな問題意識でいらっしゃるかなということです。そうした観点から先週、政府全体で外国人政策の総合的対応策が取りまとめられています。内容は非常に多岐にわたっていますけれども、観光庁の関係ではオーバーツーリズムと民泊の関係が対策として盛り込まれています。オーバーツーリズムも民泊も共通してですけれども、迷惑が掛かるようなことを、いかに防止するかということであり、各地でマナーの問題なんかを、しっかりとやっていかなければいけない。特に観光地によってルールが違うところもあって、例えば分かりやすのは、ごみの問題だと思っていますけれども、ごみ箱をしっかりと設置して「ここに捨ててください」とやっている観光地もあれば、「ごみは持ち帰ってください」といって、ごみの袋を配ったりして啓発しているような観光地もあったり、場所によってまちまちです。なので、各地の取り扱いとか「こうしてほしい」というルールやマナーを海外の方にも見えるようにする取り組みをやった上で、その徹底をお願いしていくということを地域と連携して進めていく必要があると思っています。
Wi-Fiの整備・拡充はさらに進めていきたい
--我々も外国に行くわけで、気持ち良く行って帰りたい。同じように、外国の方も日本に来て気持ち良く旅行して、また来たいと思ってもらう、そういう環境を日常的につくっていく努力がお互いにとても必要ですよね。
そこで、以前から「インバウンドでWi-Fiがない、つながらないという不満がある」ということで、ずっとこの間、課題だったわけですけど、ここに来て、どこに行っても外国の方にほぼ迷惑を掛けないような状態になっているのかと思っているのですが。また、最近はOpenRoamingでもっと便利になっていっているかと思うんですが。現状は、どのように認識されていますでしょうか。また、今後の課題とかがありましたらお願いします。
今井 まず先ほどの全体の話から申し上げると、4,000万人・6,000万人という目標ですけれども、毎年リセットされる数字ですので、1回日本にお越しになった方に日本を好きになっていただいて、またリピーターとして日本に来ていただくことは非常に大事な政策です。今、6~7割がリピーターの方なんです。
--それは凄いですね。
今井 3人に2人がリピーターの方ということで、二度三度、日本に好きになって来られる方なので、また日本に行きたいと思っていただくことが非常に大事です。
そのためにも不平不満を残さないことが非常に大事で、日本を旅して、どういうところに課題があったかということ、お困り事があったかということを、観光庁で毎年継続して調査をさせていただいています。その中の項目の1つが「通信環境」ということで、おっしゃる通り一時「Wi-Fiがつながらない。もっとWi-Fiを整備してほしい」というお声が非常に高かったということがあって、そのころからWi-Bizさんにはいろいろとお世話になっています。通信事業者さんをはじめ皆様のご努力のおかげで、この数値は年々下がっています。「どういうものがお困りですか」ということのアンケートを取っているんですけれども、「Wi-Fiで困った」というところにチェックを付けた方の割合が、コロナ前は11%だったものが、直近、令和6年度の調査では6.1%です。コロナのときは調査をやっていなかったんですけど、明けて令和5年度で9.6%、令和6年度で6.1%ということで、年々下がってきています。そういう意味でご不満の声が割合として減っていることは非常にありがたいことだなと思っていて、取り組みが進んだ証左かなと思って感謝申し上げます。
他方で6.1%のご不満があるというこの状態は、他の項目と比べてみると必ずしも低いという水準までは、まだ来ていないというのが現状認識で、まだまだいろいろな課題というか、6.1%の方がご不満を感じないように、きめ細やかにやっていく必要があるかなと思っています。特にWi-Fiについては、「どういったところでお困りになっていますか」という声を聞くと鉄道関係が多くて、「鉄道の駅とか鉄道の車内でWi-Fiが欲しかった」あるいは「つながったけど、遅かった」とか、「そこが使いにくかった」というお声がと多いかなと思っています。
鉄道会社さんにヒアリングをすると、昔はまだ携帯回線が厳しかった時代になるべくWi-Fiのほうに逃がそうということで、通信事業者さんが無料でWi-Fiのサービスを提供していただいていたということがありました。今は、通信事業者さんとしてWi-Fiに頼る必要がだんだんなくなってきていて、通信事業者さんの提供する無料サービスが、だんだん撤退している傾向にあると伺っています。
そこから先が二分していて、「お客様サービスのために必要だから」ということで鉄道事業者としてサービスを継続したところもあれば、「そんなにインバウンドの方も乗ってないので」とサービスを取りやめてしまったところもあります。このあたりは細かく分析をしていく必要があるかなと思っています。
インバウンドの方のニーズとして、通信環境は別にWi-Fiが全てではないわけですけれども、引き続き一定割合Wi-Fiに対するニーズはあると思っていて、「どういったところでお困りが多いか」ということで、ニーズに合ったサービス提供を交通事業者さんと一緒にやっていかなければいけないと思っていますので、そういったところも丁寧に分析をして、あらためて交通事業者さんがWi-Fiを導入する場合には、しっかりとご支援するということを、気を引き締めてやっていかなければいけません。
--当初のWi-Fi、公衆無線LANというものが、モバイルを補完するもので一気に広がったわけですが、その時代が過ぎて、今、モバイルほど速くないという不満もあります。そういう点では、初期のWi-FiからWi-Fi 7という非常に高速のものが出ているわけですけど、そういう新しい高速でセキュリティもしっかりしているものに入れ替える時期にあたっています。OpenRoamingという非常につながりやすいものも出てきているわけで、Wi-Fiが過渡期にあります。
今井 おっしゃっていただいたようにWi-Fiの世界も凄く進化していて、通信速度も高速化していますし、OpenRoamingの取り組みで1個1個認証する手間が省けたり、どんどん使いやすくなっていると思います。観光客の方から見ると、そこの差別化が分かりにくいというところも、課題感としてはあるかなと思っています。「セキュリティが高く、高速のWi-Fi」というのは付加価値だと思いますので、昔と違うということを、しっかりと差別化をして訴求していただくことが非常に重要かなと思います。よりハイランクなWi-Fiに切り替えるというところも含めて、私どもは積極的にご支援していきたいと思いますけれども、まだまだ導入されている観光施設の方とかはWi-Fiにそこまで造詣が深くない方が多いので、「どれが何のWi-Fiかよく分からない。いろんな会社さんがいて、どれを選べばいいか分からない」みたいなことが現実問題としてはあるかなと思っています。そういったところを、どのように差別化をして、いいものを取り入れてもらうかというところは、課題感としては持っていますので、どういった工夫ができるかというところは、引き続きご相談をさせていただきたいと思っています。
--最後に、Wi-Fi業界への期待・要望などをお願いします。
今井 海外の方が快適に旅行できるような環境整備をしっかりとしていくということは、引き続き政府全体の大きな課題だと思っていて、その中で通信環境は非常に大きなイシューだと思っています。先ほど申し上げた通り全体的にはWi-Fiの不満の声は減っているわけですけれども、交通事業者さんのお話をさせていただいた通り、各論で見ていくと、まだ課題感がいっぱいあると思いますし、エリア、地域、時間帯によって、つながりにくいことも当然あるんだと思います。より深く地域・地域の特性とか、ご不満がどこのエリアで生じているかとか、あるいは「元々Wi-Fiがないのか、遅くてつながらないのか」みたいな、そういったところの分析も含めて、まだまだ充実させていく余地はあるかなと思っていますので、一層この政策を推進していくために、どうすればいいかというところ、いろいろとお知恵もいただきながら、観光庁も頑張っていきたいと思っています。引き続き深く連携をしていきたいと思っていますので、ぜひご協力をお願いしたいと思っています。
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