目次ページへ

毎月の記事やお知らせをぜひお見逃しなく!
メールマガジン配信登録は☆こちらから☆

自治体紹介
戸田市における防災に資するWi-Fi環境の整備

戸田市企画財政部次長兼デジタル戦略室長 大山水帆

戸田市のデジタル化の取り組み

戸田市では、誰一人取り残されず、全ての市民がデジタル技術とデータ利活用の恩恵を享受できるとともに、新たな生活様式において安全で安心な暮らしや豊かさを実感できるデジタル市役所の実現を目指すことを宣言し、デジタル化の取り組みを進めています。これにより、生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることを目指すとともに、利便性の高い市民サービスの実現、簡素で効率的な行政事務の実現を目指しています。
*戸田市のデジタルトランスフォーメーション
https://www.city.toda.saitama.jp/soshiki/154/digital-transformation.html

防災に資するWi-Fi環境の整備

戸田市では、避難所となる公共施設や小中学校にWi-Fi環境を整備しています。2019年2月より、市内のスポーツセンターや文化会館、福祉センターなどの公共施設20カ所に「いいとだスポット」としてフリーWi-Fiスポットを設置しています。いいとだスポットは、SSIDを選択しパスワードを入力後、使用者が所有しているメールアドレスもしくはSNSアカウントを用いた本人認証でWi-Fiに接続できます。通信スピードの滑らかさに加え、セキュリティにも配慮しており、快適かつ安全にサービスを利用することができます。
具体的には、通信を暗号化しメールアドレスやSNSで認証するなど「Wi-Fi提供者向けセキュリティの手引き」を準拠にした認証方式を採用しています。また、もっと簡単にさまざまな場所で利用したい方のために、Japan Connected-free Wi-Fiとの認証連携で市内100箇所以上がフリーWi-Fiスポットとして使えます。平時は利用者確認用途に応じた複数の認証方式を提供することで、利用者はWi-Fiの利用シーンに応じた選択をすることができます。
また、小中学校18か所には学習用としてWi-Fi環境が整備されており、災害時には避難所となる体育館等でWi-Fiが使用可能となっています。

 

 

全国初「00000JAPAN」 の提供事業者に認定

いいとだスポット及び小中学校に設置しているWi-Fiは、災害時用SSID「00000JAPAN」に対応しています。 00000JAPANは災害発生時に開放されるフリーWi-Fiで、パスワードなしで誰でもアクセスすることができます。
戸田市では自治体として全国初で「00000JAPAN』」の提供事業者に認定され、災害時に戸田市の判断で「00000JAPAN」を開放することができます。また、専用の機器「Wi-Fiモードセレクター」を用いることで、各公共施設の現場スタッフが複雑な操作をすることなく簡単かつ迅速に00000JAPANに切り替えられるよう、ネットワーク環境を構築しています。

 

 

災害時は避難所に迅速に無料Wi-Fiを開放

2019年10月に発生した台風19号の事案では、市内28か所に避難所を開設し、ピーク時には避難者数が 3,849人にものぼりました。この際、災害対策本部長(市長)の指示により、「00000JAPAN」を開放することとなり、集中管理しているサーバから切り替えることにより、5分後にはすべての避難所においてWi-Fiが使用可能となりました。
避難された方が実際に「00000JAPAN」に接続された接続数は、SNS/メールアドレス認証アカウント数、アクセスポイント接続MACアドレス数から算出すると合計1,748人となり、約45%の方が「00000JAPAN」に接続したことになります。これは災害時に避難所におけるWi-Fiの必要性を表すとともに、実際のWi-Fiのニーズを示すエビデンスとなると考えています。

 

 

更なる災害対策への備え

台風19号の経験により、災害は阪神淡路大震災や東日本大震災のような大規模災害だけでなく、日常的に起こりうるものだと実感しています。戸田市では一級河川の荒川が市の南側を流れており、荒川堤防が決壊した場合は、ほぼ市全域が3m以上水没すると想定されています。そこで更なる災害対策の備えとして、災害時、自庁データセンターが使用不可となった場合でも災害対応業務を継続するのに必要な情報が取得できるよう、ディザスタリカバリシステムを構築しています。自庁に設置しているファイルサーバのデータを定期的に安全なクラウド環境にバックアップし、災害時にはセキュアモバイル端末でアクセスすることにより、通信回線がダウンした状況においてもファイルサーバの内容を参照できるようにしています。
このほか、戸田市では災害対策本部で情報の収集・集計の共有ができる災害時情報共有システムの導入を行うなど、防災DXについても積極的に取り組んでいます。

 

 

【筆者プロフィール】
戸田市企画財政部次長兼デジタル戦略室長 大山水帆(おおやま みずほ)
総務省地域情報化アドバイザー、総務省経営・財務マネジメント強化アドバイザーも勤める。
1987年川口市役所に入庁し、2017年川口市役所を退職し戸田市役所に入庁、2021年から現職
マイナンバー検討会(内閣官房)をはじめ、文字情報基盤WG(IPA)、自治体システムデータ連携標準検討会委員(総務省)など歴任

主な著書
「どうなるどうする自治体マイナンバー対応」
「自治体職員のためのマイナンバー実務1・2・3」
「これで万全!自治体情報セキュリティ」

 

 


目次ページへ

■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら