目次ページへ

海外情報
6GHz帯の効率的な運用を可能にする「AFC」運用者のメリット

岩本賢二

新年明けましておめでとうございます。今年も引き続き最新の海外情報をお届けして参りますので、どうぞよろしくお願いします。
また取り上げて欲しいテーマなど御座いましたらTwitterにてリクエストを頂ければ幸いです。@IwamotoKenjiWiF

さて今年最初の記事ですが、Wi-Fi6Eの実現にかなり重要な役割を果たすと考えられている「AFC」について取り上げたいと思います。

AFCとはAutomatic Frequency Controlの略称で、既存利用者(衛星通信や中継通信システム)の居るバンドを含む6GHz帯をWi-Fiのようなアンライセンスバンドに提供する際に、既存システムと干渉を起こさないように中央集権的なDBにより防護するシステムです。

 

米国における6GHz帯割り当てチャート

 

事前に既存のシステムはいつどこでどの周波数をどれくらいの出力で運用するかをAFCに登録しておきます。アンライセンスバンドとして利用する新しいシステムは自分の位置情報など含めて既存システムに干渉を起こさないかどうかを都度問い合わせして、利用出来るチャネルなどを選択します。必要によってはアンライセンスバンド同士がAFCを利用して周波数を利用する場所・時間・出力を融通し合うことも可能です。

 

AFCの動作概念図

 

昨年末、米国ではこのAFCシステムについて運用事業者を募るためFCCが公募を行いました。その結果14もの団体が手を挙げました。
列挙すると以下の通りです。
Amdocs、Broadcom、Comsearch、Federated Wireless、Google、Key Bridge Wireless、Kyrio、Nokia、Plume、RED Technologies、Sony、Qualcomm、Wi-Fi Alliance、Wireless Broadband Alliance
当初はこのようなシステムの運用を行うのは既に周波数の管理を実施しているCBRS向けのSaaSプラットフォームを運用している企業になると思われていましたが、実際にはそれ以外の多くの会社が手を挙げました。
既に発表のあったとおりAFCの分野ではBroadcom、Cisco、Meta(Facebook)により発足した「Open AFC Initiative」がAFCプラットフォームのコードをオープン化したため、運用事業者の参入障壁が下がり多くの企業が手を挙げてきたと考えられます。(Open AFCについては昨年9月号のメルマガ記事参照)。少なくともPlume社はOpen AFCを用いた提案をしています。また企業ではないWi-Fi Allianceのような団体も手を挙げたことに注目です!
つまり、今回の公募にはAFCを収益性のある商業サービスとして運用しようと目論むメンバーと、オープンな非営利運用を目論むメンバーが居るようです。
AFCにより6GHzの効率的な運用が可能になればWi-Fi6EだけではなくWi-Fi7が劇的に素晴らしいシステムになることが想定されています。それは業界団体全体に多大なメリットをもたらすことが容易に想像できるため、非営利運用を提案するメンバーが出てきた様です。
日本でも今後AFCの検討が成されると思いますが、是非非営利運用となる方向で進めばと思う次第です。

 

参照URL:
https://www.wlan-business.org/archives/33212

https://wifinowglobal.com/news-and-blog/momentum-builds-for-standard-power-6-ghz-wi-fi-as-14-organisations-file-to-become-afc-operators/

https://www.fiercewireless.com/tech/6-ghz-readies-new-unlicensed-use-afc-applications-flow

https://www.wi-fi.org/ja/news-events/newsroom/wi-fi-alliance-afc-wi-fi-6e

 


目次ページへ

■Wi-Biz通信(メールマガジン)の登録はこちら