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海外情報
Wi-Fi Allianceが「Wi-Fi HaLow(11ah)」の相互接続認証を開始

岩本 賢二

日本でも制度化に向けて準備が進んでいるIEEE802.11ahのWi-Fiブランドである「Wi-Fi HaLow」ですが、米国のWi-Fi Allianceが11月2日から相互接続認証プログラムを開始しました。

Wi-Fi HaLowはIoTに特化したWi-Fiの規格で、1GHz以下の非常に良く飛ぶ周波数で動作し、低消費電力であることが特徴となっています。世界的にも小売、農業、ヘルスケア、スマートホーム、スマートシティ、産業向けに注目されている規格です。
これまでもLPWA分野においてIoTの通信規格がリリースされていましたが、独自のプロトコルやサブスクリプション型の通信サービスに加盟する必要がありました。Wi-Fi HaLowは接続認証などは既存のWi-Fiの仕組みを利用しており、さらにIP通信を行うためオープンな仕組みとなっており、LPWAの本丸として期待されています。

Wi-Fi AllianceのCEO Edgar Figueroaさんは次のように述べています。
「Wi-Fi HaLowはIoT分野におけるWi-Fiの主要な役割を更に拡大し、より長い通信距離と低消費電力を必要とする安全で相互接続運用可能な新しいユースケースに対応可能です。急成長しているIoT市場では接続性を効率化する機会が増えています。Wi-Fi HaLowは既に世界中で利用され信頼されているWi-Fi基板に基づいて構築されているため、新しいIoTアプリケーションが家庭、企業、産業界に恩恵をもたらす道を開きます」

Statista社の調査によれば2021年で138億台普及しているIoT接続デバイスは2025年前に300億台を超えると予想しています。大幅なシステムの普及には各メーカー間で開発されたIoTデバイスが相互に接続出来ることを保証する仕組みは不可欠であり、Wi-Fi Allianceの相互接続認証はまさにそのために存在します。

Wi-Fi HaLowは既存のWi-Fiが持つWPA3のような強力な認証をサポートし、更に既にオープンな技術となっている豊富なIP接続プロトコルが利用可能です。これはデバイスを開発するメーカーにとって大きなコストメリットとなり、利用者にとってもこれまで慣れ親しんだWi-FiやIP通信の技術をそのまま転用してIoT環境を構築するため爆発的に普及することが予想されます。

 

Wi-Fi HaLowの利用周波数の位置づけ

11月5日時点で相互接続認証に合格して登録されているHaLow製品はMethods2Business社、Morse Micro社、Newracom社の3社のチップを搭載しています。HaLowを実現する元となっているこれらのチップは過去に開発された11a用のチップが元となっているため、これまで巨大企業に頼っていた通信チップにこのような新規参入企業が参加しやすくなったという点も注目すべきところです。IoTのようにスピードが必要なソリューションには新規参入企業の方が向いていると思われます。

日本では802.11ah推進協議会が国内での利用実現に向けた技術検討、実証実験、普及促進活動を行っており、今後の動向が注目されています。

参照:
https://www.wi-fi.org/news-events/newsroom/wi-fi-certified-halow-delivers-long-range-low-power-wi-fi
https://www.statista.com/statistics/1101442/iot-number-of-connected-devices-worldwide/
https://www.11ahpc.org/

 


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