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イベント報告
第4回セミナー「デジタル先進国に学ぶデジタルトランスフォーメーション」を開催

企画・運用委員会

 

11月27日、企画・運用委員会主催の第4回のセミナーをビーマップにおいて開催しました。前回に引き続きオンライン形式(Zoomを利用)で、実施しました。

今回は、ニューノーマルの時代にフィットしたテーマとして「デジタル先進国に学ぶデジタルトランスフォーメーション~アフターデジタルの世界~」と題して、富士通からシニアエバンジェリストの松本国一氏をお招きし講演を行いました。

松本氏は富士通に4名しかいないシニアエバンジェリストのお一人で年160回を超える講演をこなされ、働き方改革やこれから変革していくビジネスの姿について興味深いテーマを主な題材とされています。

今回は中国、深圳の驚くべき発展とそのスピードをご紹介頂き、そこから今後、我々がどうすべきなのか、1時間にわたりお話しをしていただきました。

 

講演の概要は、以下の内容となります。ご参照下さい。

 

近代都市となった深圳、1980年は田舎の漁村だった

現在は人口1400万人の近代都市となった深圳も1980年は例えるなら田舎の漁村であった。そこから約30年の2012年、初めて訪問し、それからさらに2019年に訪問した際には日本の5年先を行く未来都市となっていた。
彼らは日本のほぼ5倍の速さで進化しており平均年齢も32.5歳と非常に若い(高度成長期の日本、東京五輪の当時平均年齢は27.5歳と現在の深圳と非常に近い状況)。現在の深圳は若者のパワーにあふれており10人に1人が社長という比率で新しいビジネスが次から次へと立ち上がっている。さらに、スピードが速く思いついたらまずは形にしてビジネスを一か所で開始する。1か月試してソフトとハードをアップデート、さらに投資家を呼んで資金調達を行い、それをまた広げていく。

とにかくスピードが速い。この都市で生まれた企業には華為、テンセント、最近ではドローンのDJIがある。

現金のない世界(全てキャッシュレス)

田舎から出てきて乾物を売っているお父さんがQRコードを貼られた紙を商品の脇に置いて商売をしている。地下鉄も、トイレットペーパーもさらには物乞いをしている男性もQRコードを提示している。家がなくても職がなくてもデジタルがなければ生きていけない世界となっている。

店員のいない世界

あらゆる店舗において店員のいないビジネスが始まっている。ふたりカラオケボックス、英会話ボックス、お見合いボックスなど、デジタルを使うことで、人が入れる空間であらゆるビジネスが始まっている。
目新しいところでは1分診療というものがあり、ボックスに入るとAIで検温と顔色を検査、ネットワークを介した遠方の医師がオンライン問診を行い、処方箋をもらい、出たところの自販機で薬を購入できる。トータルの時間が1分間であるため1分間診療と呼ばれている。

未来都市

電動スクーターはナンバープレート不要(ガソリン型のバイクは登録要)、免許不要。警察官がセグウェイや電動ミニパトカーを使っている。電動小型車両はナンバー、免許が不要であり歩道も走ることができる。タクシー、バスはすべてEV化が終わっており、ガソリン車はなくなっている。

 

安価な機器

AIを動かすサンプルボードが2200円で販売されている、日本で同等のサンプルボードを購入すると50万円はする。LTEのタブレットが定価で25000円、5Gのスマホは有機EL、ハイスペックのCPUを搭載したものがなんと定価19000円。

 

コロナ禍

外出禁止、家から出られないため5万件のレストランがフードデリバリーを開始。
2.5億人が完全在宅勤務。学生の在宅は2.7億人。クラウドベンダーはこの対応のため2週間で10万台のサーバーを増設している。
コロナ対策病院は10日で建設が終了(ニュースで放映)、さらに院内は5Gを使ったネットワークを3日間で構築、さらに3日後に北京からリモート診療ができる体制を確立した。

アフターコロナ

V字回復となり最近の5か月は好景気となっている。11月11日の独身の日でのアリババの売り上げは8兆円を達成。楽天の1年間の売り上げを1日で達成している。前年は4兆円であり、倍の成長率となっている。
ライブコマースは140%の成長、ライブ配信を通じて物を売る人のことをライバーという。有名ライバーは月に1.5億円を稼ぐ。ライブ配信を通じて農村の85歳の女性が「すもも」を4か月で7500万円売り上げたという驚くべき事例もある。

次世代スマートシティ

500か所のスマートシティができている。シンガポールと中国が提携し、次世代のスマートシティの実証実験が開始されている。約65万人を集結させ国家仮想通貨、デジタル人民元が使える1大都市となっている。

人間中心へ変化している

地下鉄の駅で5Gを使い、改札機の上にタブレットがあり顔認証で電車に乗ることができる。税関の取り締まりもスマートグラスとカメラにより顔認証で取り締まりを実施している。5Gがいたるところで使われている、とりあえず使ってみようと各所で5Gの利用が始まっている。

5G/ローカル5G

農業にローカル5Gを導入することで自動化、遠隔からの操作が可能となってくる。工場におけるロボットの配置換えが簡単になり、少量多品種の製造が可能となってくる。富士通では5Gのコラボレーションラボを用意しており、5Gを体感することができる。

AI

深圳ではAIを使い顔認証だけでコンビニでの買い物が可能となっている。スマホを持ち歩かなくても買い物ができる。学校においても顔認証で出欠確認をしている。
AIホテルがあり、100室くらいあるホテルをオーナー一人で運営している。清掃員はシェアリングで対応、さらにAIで清掃状況を確認することでワンマン営業を可能としている。
歩いている人の顔認証が行われており、信号無視の取り締まり結果をモニターに映し出すことで違反者への抑制効果となっている。以前の中国では考えられない交通ルールが守られた都市へと変貌している。

富士通でもZinrai(AI)を提供している

AIの医師、人間の医師どちらを信用するか、の質問に対し、これまでは人間を信用、となってきたと思います。人間の場合は答えになった経緯を説明することができるため、どうしても人間が選択されてしまう。今後は説明できるAIが求められており考え方、結論に至った経緯を説明できるAIを富士通は目指している。

日本でも徐々にDX(デジタル)になっている

ANAアバターを遠隔地において、遠隔地から旅行体験ができる、旅行の再定義化が行われている。あいおいニッセイ損保ではドラレコを利用して自動車事故が起きた際に録画された映像をもとに説明をしなくても保険手続きをスムーズに進められる取り組みも始まっている。

デジタル先進国の中国はリアルそのものがデジタル化されている、中国の事例を参考として日本は独自の進化を検討する必要がある。

質疑応答

Q:深圳の影の部分について紹介してください。
A:デジタルデバイドも当然あります、デジタルになじめない人は昔ながらの中国の生活を送っている。但し、スマホの決済は使っている。

 

Q:レガシーシステム(ICTの)は今後どうなるのでしょうか?
A:基幹システムもインターネットにダイレクトにアクセスできるようになってくる、富士通も全世界のイントラをインターネット越しに変えようとしている。

 

Q:デジタル化とセキュリティのバランスについてどう考えていますか?
A:日本はハイセキュリティ(セキュリティという言葉に敏感になっている)になっている。中国はデジタルのハイセキュリティになっているといえる。中国で銀行口座を作るためには個人IDを提出必要がある、出稼ぎの人は数か月就労した証明書が必要。必ず個人を特定するものがないとデジタルを使えない仕組みになっている。

 

Q:アメリカのDXについて教えてください。
A:中国のように社会全体でPOCが進んでいるわけではない、しっかりとシステムとして進められている、ウォータフォール型に近い。アメリカは全世界でしっかりと使うというスタイル。ただ、新しいものについては中国発が多い。
日本の場合、中央省庁はまだアナログ文化、部門間のやりとりにFAXを使っている。アジャイ型で今日からFAXをやめる、ここから始めても良いのではと思う。

配信設備について

今回の配信はZoomを利用しましたが、松本氏が会場入りしてから持ち込まれた映像スイッチャー2台により冒頭の合成映像を配信することができました。デジタルに手慣れたエバンジェリストは講演に使うデジタルツールをいつも持ち歩かれているそうです。手際の良さにはスタッフ一同驚かされました。

 

松本氏が持ち込まれたPC2台とスイッチャー2台

 

実際の松本氏の講演の様子

 

会場の様子、今回は司会、副委員長、スタッフのみが現地にて対応しました。


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