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株式会社JTOWER
代表取締役社長 田中 敦史様
通信インフラシェアリングで事業化 Wi-Fiは業務系でもさらに普及する

商業施設や一般ビルなど建物のスペースを借りて独自の携帯通信インフラを設置し、それを複数の携帯電話事業者に貸し出すビジネスを展開しているJTOWERの事業が軌道に乗り、拡大している。田中社長に、日本における通信インフラのシェアリングビジネスの展望を尋ねた。

携帯電話事業者としての自らの経験から

――創業が2012年6月で、日本では新しいビジネスになりますね。

田中 前職でイー・モバイルCFOとして財務を担当していましたので、例えば建物内の携帯設備を構築する時、各事業者が個別に対応しているのを見て、もう少し合理的なやり方はないのかということをずっと考えていました。アメリカやインド、最近は中国でもタワー会社が存在していて、通信事業のインフラのシェアを進めています。日本でもそういうことができるのではないかと思い、独立をして会社をつくりました。

――資金確保はスムースでしたか。

田中 会社創設の1年後ぐらいに旧産業革新機構のINCJなどに出資いただき、その後三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルなどの銀行系ベンチャーキャピタルに出資いただき、資金調達を行うことができました。さらに、事業面のシナジーも見込めるということで日本郵政キャピタルにも株主に加わっていただきました。今年7月には、INCJの保有株式がNTT持株に譲渡され、NTTも大きな株主になっていただくことができました。

――新しいビジネスモデルなので苦労も多かったのでは。

田中 創業したのが2012年6月で、実際に商用サービスのスタートを切れたのが2014年の後半ぐらいです。装置の評価から業務フローの確立等に、相応の時間が掛かりました。

――御社の強みは何ですか。

田中 各キャリア様に実際にご利用いただいていることも含めた導入実績だと考えています。

オーナーの要望が高いWi-Fi設置

――Wi-Fiについては、どういう方針ですか。

田中 Wi-Fiは、数年前から取り組み始めています。我々は建物のオーナー様や設計会社様などと接する機会が多いのですが最近は外国人の方も多く、「Wi-Fiの見積もりをもらえないか」という声が多くあります。店舗系はもちろん、ホテルだとか、いろいろなケースです。導入事例としては「大型の商業施設でFREE Wi-Fiをやりたいので」ということや、IT系のお客様がビルのテナントに入っていて、そのための環境を構築する必要がある場合などです。

我々インフラシェアビジネスはたいてい新しいビルを対象としているので、自分たちの共用機の工事と連携して、Wi-Fiについてもオーナー様のコストダウンにつながるような提案を行っているところです。Wi-Fiも工事費が掛かるので、それを同調工事とすることによって低減しています。

Wi-Fiを提供する事業者は多くおられるので、我々はどちらかというとソリューションベンダー様ともタイアップして、事業を進めています。

――WiBiz(無線LANビジネス推進連絡会)への期待は何でしょうか。

田中 昔はよく「Wi-Fiが建物内にあれば屋内携帯対策はいらないんじゃないか」といった話も受けたりしましたが、今、携帯は携帯でインフラ整備をして、Wi-FiはWi-Fiで整備をするというのは一般的になっているかと思います。一昔前のキャリア様がお金を出してオフロードでWi-Fiを提供してきた時代から、今はオーナー様がしっかり自分たちのサービスとしてWi-Fiをやるというのが定着しました。我々はオーナー様のニーズを受けてサービス提供していますが、Wi-Fiもオーナー様にとっては必須環境だと認識されているので、これがきちんと整備されていく、さらに普及していくのを、期待したいと思っています。


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