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技術情報
「みちびき(準天頂衛星システム)」対応製品は3タイプ

技術・調査委員会 松村 直哉

先月のメルマガで「みちびき」のサービス開始について紹介しましたが、「実際どういった製品が対応しているのか」との質問を頂いたので、継続調査してみました。

「みちびき」から送信される信号については、次のページに紹介されています。
http://qzss.go.jp/overview/services/sv03_signals.html

 
この表の赤点線で囲った信号が「みちびき」独自のもので、L1S信号はサブメータ級の測位、L6信号はセンチメータ級測位の補強信号として利用されます。
その他の衛星測位信号についてはGPSなどの衛星から送られてくる信号と同じものになります。

対応した製品については、内閣府の以下のページに紹介されています。
http://qzss.go.jp/usage/products/index.html
http://qzss.go.jp/usage/products/list.html

対応製品を「測位の精度」で大きく分類すると以下の3種類になります。

1) 「みちびき」の信号L1C/A(GPSと共通)による測位

GPSと共通の信号ですが「みちびき」専用の番号がアサインされており、これを受信するためには信号を復調するためにスマートフォンではファームアップなどの変更が必要となります。

仰角の高い位置に「みちびき」が1機は必ずいるため、1機の「みちびき」からの電波はビルの多い場所でもマルチパスの影響がなくなります。

但し、通常、スマートフォンによる測位は精度を上げるために8個程度の衛星、最低4個の衛星からの電波を使って測位しているため、精度の向上といった観点ではあまり期待できないかも知れません。

下表に、対応しているスマートフォンの例を示します。

 
Android製のスマートフォンでGNSS衛星からの電波の受信状況や測位精度を調べることができるGPS Testというアプリがあります。詳細は以下のURLを参照ください。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.chartcross.gpstest&hl=ja
 
下の写真は実際に街中で測定したところです。
7個の衛星からの電波を受信し、測位精度が15mという結果となっています。このアプリには他にも衛星の位置などがわかる機能があるのでお試しください。

2) 「みちびき」独自のL1S信号を受信可能としたもの

メーター級の測位を可能とした「みちびき」独自のL1S信号を受信可能な製品です。これにより1m程度の測位精度を可能とします。ゴルフウォッチは興味を持たれる方もいると思います。

3) 「みちびき」独自のL6信号を受信可能としたもの

センチメータ級の測位を可能としたものです。

GPSからの信号の補正値を「みちびき」からのL6信号にて重畳する仕組みです。但し、上空が開けている場所での精度はセンチメータになると思いますが、都会のビル谷間ではGPS信号はマルチパス環境になるため、補正値だけでは限界があるものと思います。
センチメートル級の精度の高い利用は、農業や牧場などある程度、上空が開けていないと難しいかも知れません。

 
最後のL6信号に対応した製品は何社かあるようですが、まだまだ、少ないようです。
このセンチメータ級の製品が一般的になると農機具やドローンに搭載されるようになり、色々なシーンで利用されるのではないかと思います。


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