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趣味と仕事
日曜大工的PCの製作、そして考えたこと

ワイヤ・アンド・ワイヤレス 小松 直人

小学6年生の息子と科学体験イベントに参加した際に、色々なブースがある中から、彼が興味を示したのが「パソコンをつくろう!」というものでした。

30年くらい前からPCは自作していますが、現在使用しているものは、おそらく2011年くらいのものです。

体験の内容としては、パソコンの構成要素の説明を受け、自分が担当する部品を取り付けるというもので、若干物足りなさがあったようで、「夏休みに一緒に組み立ててみる? うちにあるのは父が組み立てたんだぜ」と水を向けると、「やる!(最近では珍しく即答・・)」とのことで、何年かぶりに家族共用PCの更新がきまりました。

そのプロセスの体感を

PC組み立てるのが趣味かというと微妙なところではありますが、たとえばPCでゲームをする、クリエイティブな作品をつくる(僕はいずれもしませんが……)のが目的ではなく、何かを達成する、そのプロセスの体感を選ぶという点では、趣味的な愛好があるから続いているのだろうと思います。

PCという完成品を手に入れることは、これっぽっちも難しいことではなく、コストの面でもパーツを集めて組み立てるよりも完成品を購入する方が安いように思います。
また、集めたパーツで動作するかどうかというリスクを負うだけでそのメリットはほぼ皆無だったりします。
しかし、その過程を味わうという点ではドライブに似ているのではないかと思ったりします(クルマの移動も助手席に乗るよりは運転する方を選びますし、クルマに関する日曜大工的なことも好きだったりします)。

音響関係は少年期の「MJ無線と実験」や「ラジオの製作」の影響が強いです。

「オイルが漏れているのは入っている証拠」

 

最近の近距離戦はもっぱらメガネを外すのがデフォルトです。

過程の楽しみ方は、きわめてマニア的といわざるを得ず、そもそも「そのPCで何すんのよ?」というところが極めて不明確です。大概のことはスマートフォンで事足りますし、ソファの上でタブレットということもしますが、この原稿は、来月には置き換えられるであろう机の上のPCで書いています。
利用してはいるものの所詮、”Nice to have”な訳です。

プロセスはどんどん進行する

要件が不明確なままプロジェクト(?)は進行します。大概の場合、最初の段階は調査になりますが、何年かぶりにどっぷりとPC周りのことをググりまくります。
その中で見えてきたことは

・CPUはAMDが盛り上がっており、選択肢はAMDとインテルの2つがある
・自作PCマーケットの主役はいかに重たいゲームを快適にするかということみたいだ
・見せる(魅せる、光る)ことが流行っているようだ

などです。
下の2つは、僕(我が家)には当てはまらず、マーケットの盛り上がっているところ以外から情報、製品(パーツ)を選ぶことになります。

これは極めて危険な状況と言わざるをえません。本来、それは不要で、特に二つ目以降は、これでいいだろうと考えているところに大量の要件外の情報がインプットされ、検討のためにつくったアマゾンの「欲しいものリスト」の中身とココロが乱れます。

最新テクノロジーが駆使されたマーケティングで押し寄せる情報から本当に必要なものを選択するための手法は色々あると思いますが、ここでは最も簡単な方法として、予算をキャップする手法をとります。

ただし、先に述べたように完成品に比べて、コスト的なメリットは微妙ですので、このアプローチは、よりモヤモヤを深めるリスクも伴います。

仕事との共通点

本稿執筆時点でのプロジェクトの進行状況は、すべてのパーツが納品され(情報に贖いきれず、ちょっとだけ光る)、組み立てを待つ状態ですが、組み立て日程は作業工数から決められたものではなく、息子と一緒に作業できることという日程ありきの状況です。

 

今回は移行(部分的な交換)ではなく、新規組み立ての為、ワクワク度は高いです。
ネットワークの構築と一緒ですね。

「趣味と仕事」というタイトルで本稿のご依頼をいただきましたが、「文字化」するということは強力なツールだと再認識することができました。

HOWではなくWHATを明確にするということがよく言われますが、今回の件の本質的なWHATというのは息子との時間を楽しむことであろうことが文字化することでクリアになったように思います。

そのHOWはPCの製作でも、ゲームでも、キャンプでも何でも良かったはずです。しかしながらHOWがそのきっかけを作る、またはそれを深める効果があるということも再認識しています。

仕事の上でも要件に対して最短、最適だけで取り組むだけではなく、それ必要か?? という遠回りや、どうやってそれを実現するか? この製品、あのテクノロジーを使って実現してみたいという思いは、僕が仕事をすすめる上でもPCの製作や日曜大工と共通している点のような気がします。


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