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ビジネス情報
驚きの快適さ、新段階の航空機と地下鉄のフリーWi-Fi

無線LANビジネス推進連絡会会長 小林忠男

日本のWi-Fiスポットはどんどん拡大しています。これまでの駅、空港、コンビニ、カフェなど人の多く集まるスポットに加え、最近はバス、タクシー、列車、飛行機、船舶など、移動中でも使える新たなWi-Fiスポットが増えています。

この最近の動きを、「Wi-Fiの新たなトレンド、そして未来」というテーマで無線LANビジネス推進連絡会が「第8回技術セミナー」を来る3月23日の午後に開催します。どうぞふるってご参加ください。
https://www.wlan-business.org/archives/13037

さらに、テレビなどで大活躍の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソン氏に、「Wi-Fiの活用がもたらす可能性」と題して基調講演をして頂きます。

快適な航空機内のフリーWi-Fi

セミナーに先立つ「予告編」として、私が最近経験したJAL国内線のフリーWi-Fiと東京メトロ東西線トンネル内のフリーWi-Fiについて報告します。

まず、JAL機内のフリーWi-Fiから。
この一カ月の間に、北海道と九州をJALで往復し合計4回JALフリーWi-Fiを使いました。とても便利です。
座席前の物入に利用ガイドが入っています(図1)。

図1

「インターネット使い放題」、「ビデオプログラム見放題」、そして航路マップを自分のスマートフォンやタブレットで楽しむことが出来ます。
インターネットの接続は、フリーWi-Fiをに接続した経験があれば簡単にすることが出来ます。メールアドレスやパスワードの登録が必要ですが大したことはありません。

登録手続きが済むと、図2の画面が出てきます。

図2

早速、インターネット接続しメールのやり取りをしてみました。大きなファイルが添付されたメールではありませんでしたが、写真が二枚添付されたメールは普通に受信することが出来ました。
図3はスピードテストの結果です。

図3

このシステムは衛星回線経由なので遅延時間はかなりのものですが、普通のメールのやり取りはストレスを感じるようなことはありませんでした。最近の東海道新幹線車内のインターネット接続よりははるかに快適だと思います。

「無料Wi-Fi、ビジネス客をつかむ」とJAL役員は決算トークで語っています(日経新聞朝刊2018/2/8)。
無料Wi-Fiを理由にJALを選ぶビジネスマンが多く「(単価の高い)ビジネス客を取り込めた」ので、収益アップにつながっているようです。

ANAのフリーWi-Fiについては、搭乗機会がないので分かりませんが、1月1日から、国内線の機内インターネット接続サービス「ANA Wi-Fiサービス」の無料提供を、マイレージサービスの上級会員限定で始めています。4月から非会員も含めて無料化する予定だそうです。
綾瀬はるかのテレビコマーシャルが最近流れています。
https://youtu.be/dR2Cgq79Knc

飛行機の中でも仕事から離れることのできないビジネスパースンは大変ですが、ものは考えようで機内で仕事の段取りを済ましてしまい、そこでの時間を夕食後ワインを傾けながらのんびりする時間にというのは、今はやりの働き方改革になるかもしれません。

Wi-Fi基地局のエリアは狭いので、ハンドオーバーにより高速移動中も通信を継続することは技術的にもコスト的にも不可能ですが、WANにあたる外とはモバイル回線で接続して新幹線や飛行機の中でインターネット接続を楽しむことは可能です。それが普通の時代になってきました。

自分だけで頑張る時代ではなく、多様なものを結合して新しいものを創出する時代になったということだと思います。

驚きの地下鉄フリーWi-Fi

次に、東京メトロ東西線のトンネル内でもつながるフリーWi-Fiです。
先日、たまたま中野駅から九段下駅まで東西線に乗りました。九段下で講演をする予定でしたので、その前に最近のメトロのWi-Fi環境がどうなっているか試してみようと中野駅発車前の東西線に座り、図4に示す「Metro_Free_Wi-Fi」に接続しました。

図4

インターネット接続しメールのチェックを始めたら車両が動き始めました。すぐにトンネルに入り、そのうちいつものように切断するだろうとスマートフォンの画面を眺めていましたら、いつまで経っても最大の強さで接続したまま次の落合駅まで来ました。トンネル内での測定したスピードテストの結果は図5に示す通りです。

図5

多分、車両とネットワークの接続回線はLTEでしょうから、インターネット接続には十分な速度が出ていました。驚いたことに、中野駅から九段下駅まで一度も切れることなくインターネットに接続し、YouTubeまで楽しむことが出来ました。図6は乗車中に連続して測定したスピードテストの結果です。

図6

聞くところによると、現在はすべての車両がWi-Fi化されているわけではなく、順次Wi-Fi化し、2020年までには全車両でトンネル内でもWi-Fiが使えるようになるとのことです。
この地下鉄のトンネル車内での体験は久しぶりにワクワクしました。

外国ではこのような環境がすでに実現しているのかもしれませんが、地下鉄走行中、このスピードでのWi-Fiによるインターネット接続は画期的だと感じました。

スマートフォンが登場するまでは想像することができなかったスポットでもWi-Fiが使えるようになり、今後が本当に楽しみです。
ただ、飛行機の中も、トンネル車両内もこの利便性を知り乗客の多くの方が一斉に使い始めた時にその品質が維持できるかちょっと心配です。

また、Wi-Fiスポットの新たな動きが拡大している中で、多くのWi-Fiアクセスポイントが出来たために、「つながりにくい」「LTEにつながっていたのにWi-Fiにつながろうとするためストレスを感じる。いっそのことWi-Fiを切ってしまいたい」という声を方々で聞くようになりました。

最大のベースロードをきちんと堅持しながら新たなトレンドを産み出すことが重要だと思います。


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