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フライト時間の98%で旅客機内Wi-Fi利用を可能にしたGogo

岩本賢二

近年、飛行機内でのWi-Fiサービスが普及してきました。
JALの国内線では「ずっとWi-Fi無料宣言」というPRが話題になっていますが、このような通信技術を提供している企業の一つにGogoという会社があります。

米・加では飛行機向けに電波塔160箇所設置

近年、旅客機内でWi-Fiサービスが普及してきましたが、どのような仕組みになっているか皆さんご存じでしょうか? 当然、機内にWi-Fiアクセスポイントが設置されており、乗客がアクセスできるようになっているのですが、有線でインターネットに繋ぐことができない旅客機では、無線中継を行いインターネット接続を行っているのです。

この無線中継の方式にはいくつかの方法があり、それぞれ一長一短があるのですが、これをうまく実現し世界各国の旅客会社にシステムを導入している会社の一つに「Gogo」という会社があります。
JALの旅客機内のWi-Fiサービス案内に雲のアイコンの中にGogoと書かれたものを見たことがあるのではないでしょうか?

Gogo Inc.は米国のシカゴに本社を置く会社です。当初はATG(Air-To-Groud)という地上とを繋ぐ無線技術により旅客機内に通信サービスの提供を行っていました。

ATGは米国とカナダ全域に航空機向けの3GHz帯を利用した電波塔を地上に160箇所以上設置し、旅客機の下部に取り付けた専用アンテナで中継通信を行い、インターネットアクセスを実現しています。下記の写真のようにATGアンテナは空力を有利にするために翼のような形状をしています。
ATGでは複数の基地局を高速に乗り継ぐためのハンドオーバ技術を利用しており、通信速度は下り3.1Mbpsです。その後、後継機のATG4システムがリリースされ、下りの通信速度が9.8Mbpsに向上しました。

GogoのATG4アンテナ

衛星通信を取り入れ世界中をカバー

しかしATGやATG4は米国内で地上に設置された電波塔を利用するため、利用範囲が北米エリアに限定されてしまいます。北米外や海上では利用ができないわけです。

そこで、Gogoは衛星通信を取り入れ、世界中をカバーする通信サービスを提供することにしました。Kuバント衛星を利用することで通信速度を下り30Mbpsと大幅に上げることが可能になりました。GogoのKuバンドアンテナは日本ではJAL(日本航空)で採用されています。

このKuバントというのは12~18GHzのバンドを指します。あまり馴染みのないバンドの呼び方ですが、KuというのはKバンド(20~40GHz)よりも下のバンドという意味で、衛星通信分野では一般的に使われているバンドの名称です。
飛行機は飛行中、向きや姿勢が変わるので衛星をうまく補足するためにKuアンテナには可動部分があります。そのため、アンテナを覆うレドームに厚みが必要で、さらに可動部分のメンテナンスも必要となってしまいます。

GogoのKuアンテナ(レドームの中身)

「衛星通信+Wi-Fi」で98%が利用可能に

これらの弱点を取り除くために、新たに2Kuという新たな製品を投入しました。2Kuでは平らな形状のKuアンテナを2枚並べ可動部分をなくしました。
また、1枚のアンテナが上り通信専用、もう一つのアンテナが下り通信専用となっています。通信速度は下りで70Mbpsと非常に高速になり快適なWi-Fiサービスを利用できるになりました。

Gogoの2Kuアンテナ(レドームの中身)

またアンテナを平らな形状にしたため、従来のKuと比べて厚みが半分程度になり、旅客機の上部に取り付けた場合の空気抵抗を大幅に減らすことに成功しました。

Kuアンテナと2Kuアンテナの厚みの比較

この最新のアンテナは日本の航空会社ではJTA(日本トランスオーシャン航空)で採用されています。
空港で旅客機の上部に、この帽子のような膨らみを見つけたら、それは衛星データ通信システムです。多分その旅客機でもWi-Fiサービスを提供しています。(衛星通信システムを搭載してもWi-Fiサービスを提供していない旅客機もあります。)

このように衛星通信とWi-Fiを接続することで、地球上を飛ぶすべての飛行機のフライト時間の98%でWi-Fiサービスが提供できるようになりました。Wi-Fiを利用する場所が地球規模でどんどん広がって便利になっていきます。

参考:https://www.gogoair.com/


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