ビジネス情報
「Wi-Fiのある一日」と見えてくる課題

無線LANビジネス推進連絡会 会長 小林忠男

前回は、私のWi-FiとLTEのデータ使用量についてチェックしてみました。今月は、「Wi-Fiのある一日」について見ていきます。利用が増えるにつれて課題も増えていると思います。

家や会社に加えて、多くの駅・空港・コンビニ・カフェ等で高速通信可能なWi-Fiが使える時代になったため、これまでとは違うリッチな情報、コンテンツに何処でも快適にアクセスし、世界中の人々とリッチな情報のやり取りが出来るようになりました。

図1は、会社員、主婦、学生が一日の生活の中で、どのくらいWi-Fiが使えるかを示したものです。

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朝、起きてから寝るまでの生活の中でWi-Fiはどのくらい使えるのでしょうか。
電車やバスの中、歩行中や外出先のお客様のオフィスではWi-Fiを使えないことが多いが、最近では新幹線を始めとする列車内インターネット接続や飛行機の中でも「JAL SKY Wi-Fi」が使えるようになり、居酒屋でもWi-Fiが使えるようになってきました。街中を移動中でもコンビニや駅がWi-Fiスポットになったので数分おきにWi-Fiでの通信が可能になってきています。

図2は、平成23年総務省社会生活基本調査結果による各世代の「1日の過ごし方」です。家庭に加えて、勤務先や学校など滞留時間が長い場所にWi-FiがあればWi-Fi利用時間率は大幅にアップし、Wi-Fiが今まで以上に普及していけば一日のうちの90%はWi-Fiで通信が可能になることでしょう。

筆者の場合は、家と会社は最新のWi-Fi環境になっているため睡眠時間を除く活動時間約17時間のうち、会社と自宅に居る合計約11時間はWi-Fi環境のもとにいることになります。
睡眠時間を除く生活時間の60%以上はWi-Fiの使える環境で生活し、通勤車内と歩行中と外食中という限られた時間はLTEを使っていますが、駅やコンビニ等のWi-Fiスポットが急増したのでWi-Fi環境下の時間占有率はさらにアップしていると考えられます。

前回の一か月のデータ使用量の測定では、データ量の90%がWi-Fiでした。時間率においても、これから一日の生活圏において、光とWi-Fiが整備されれば一日の大半の時間はWi-Fiを使って通信を行うことが出来るようになると思われます。

最近は、SIM認証による自動接続や様々なアプリによるWi-Fiスポットへの自動接続が可能になり、Wi-Fiを意識しなくてもその時その時で最適な回線を自動的に選択する時代が到来しつつあります。

しかし、Wi-Fi環境下にいる時間が増えれば増えるほど今までになかった問題も出てきています。

例えば、Wi-FiスポットとWi-Fi端末が急激に増えたために、「Wi-Fiはケータイより高速」といった「常識」が通用しない場合が増えています。特に夜間やラッシュアワー時間帯において、少し前までは快適にインターネット接続が出来たのにずいぶん遅く感じることがしばしばあります。夜間のコンビニにおいて、私のスマホをWi-FiとLTE接続にしてスループットを測定すると、「LTEのほうがWi-Fiより高速」な場合が多く発生するようになっています。

スポットオーナー提供のフリーWi-Fiの増加は、快適なワイヤレスブロードバンド環境の充実、観光客の誘客のために「2020」へ向けて国全体として積極的に取り組んでいかなければなりませんが、一か所で複数のWi-Fiが使用できるようになったためにスマホが特定のスポットへの接続に時間がかかり、「何とかしてくれ」というストレスが多くなっているように感じられます。

Wi-Fiでやり取りする情報がますます増え、Wi-Fiにつながる時間がますます増える中、お客様に快適に安全にWi-Fiを使って頂くことが何よりも重要な課題となってきています。

さらなるWi-Fiサービスの充実とWi-Fi市場拡大のために、無線LANビジネス推進連絡会は諸課題に会員一丸となって進めていきたいと考えていますので、皆様の忌憚ないご意見、ご要望、さらに提言をお待ちしています。


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