キーワード解説 LAAとLTE-Uのインパクト
免許不要の5GHz帯を携帯電話で利用できるLAA、日本への導入は18年以降に

 

フリージャーナリスト 藤井宏治

無線LANなど使われている5GHz帯の免許不要帯域を携帯電話で活用できるようにする「LAA(Licensed-Assisted Access using LTE)」という新しい技術への関心が高まってきています。

5GHz帯は2.4GHz帯と同様、他の無線システムと帯域を共用するための技術基準を満たしていることが認証された機器であれば、無線局免許を受けずに自由に利用できる「アンライセンスバンド」です。LAAは、すでに日本の携帯電話システムの主力となっているLTE/LTE-Advanced(いわゆる4G)のスペックを、この技術基準に適合するように変更し5GHz帯で運用できるようにしようというもので、携帯電話システムの国際標準化組織の「3GPP」で今春仕様が固まりました。早ければ2017年には商用化される見込みです。

5GHz帯を4Gで利用しようする技術にはもう1つ携帯電話向け半導体トップのクアルコムが推進している「LTE-U(LTE-Unlicensed)」があります。比較的緩やかな北米や韓国などの技術基準に合わせて開発が進められているもので、16年中の商用化が見込まれています。

LAAやLTE-Uの大きな狙いとなるのが、5GHz帯を4Gで利用できるようにすることで、携帯電話事業者の大きな課題である周波数のひっ迫に対処することです。日本でも5GHz帯には約455MHz幅の帯域がアンライセンスバンドとして確保されています。日本で携帯電話に割り当てられている周波数を全部合わせても740MHz幅ですから、実用化によりトラッフィクが集中する都心部の通信品質が大きく改善することが期待されます。

他方、LAAの実用化で、周波数ひっ迫対策(トラフィックオフロード)用に無線LAN設備を携帯電話事業者に貸し出している公衆無線LAN事業者のビジネスへの影響など、これから検討しなければならない課題もありそうです。

また、日本の5GHz帯の技術基準は無線LANを前提に作られているため、4GベースのLAAの導入には、総務省の情報通信審議会での干渉評価などの作業が必要になると見られていますが、現在のところ総務省はLAAの扱いについてまだ姿勢を明確にしていません。来年の早い時期に情報通信審議会で議論が始まったとしても、関係法令の改正などを考慮すると、日本でのLAAの導入は最短でも2018年以降になると考えられます。

都市部においては5GHz帯域無線LANの干渉も問題になりつつあります。

また、2020に向けて5GHz帯無線LANの活用は更に拡大すると考えられます。

すでに社会全体にとって不可欠な情報通信インフラになっている無線LANの周波数確保のため、Wi-Bizとしてもこれまで以上に本件については積極的に取組んでいきたいとと考えている。

参考情報 「businessnetwork.jp」http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/4404/Default.aspx


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