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イベント報告
総務省 の「2020年に向けたWi-F整備・利活用推進会議 in 東北」に参加

渉外・広報委員会 森田副委員長

2月1日 仙台国際センターで「2020年に向けたWi-Fi整備・利活用推進会議 in 東北」が開催されました。

2017年度から総務省が実施している「公衆無線LAN環境整備支援事業」の来年度の展開に向け、東北地区における整備・促進を進めるための会議として行われました。東北地区の自治体及び地元のネットワーク構築事業者等が参加しました。

総務省の基調講演、教育、観光、自治体の各分野における取組み事例の紹介、最後に慶応義塾大学政策・メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛をデモレーターとして迎え、「Wi-FiなどのICTを活用した地域活性化」についてパネルディスカッションが実施されました。

総務省からWi-Bizに、観光、防犯・災害対策、教育、公共・医療、災害対応、セキュリティ等の各分野に提案可能な機器及びシステムやサービスを展開している企業の展示の要請があり、Wi-Bizからは13の企業が展示出展を行いました。
当日は来場されたお客様に対して、製品やサービスの紹介活動を実施しました。

 

またWi-Bizとしても災害対応のブースにて「00000JAPAN」の展示を実施し、来場者に対して「00000JAPAN」の告知活動を実施しました。

加藤地域通信振興課長が基調講演、Wi-Fi整備支援事業を説明

総務省 報流通行政局 地域通信振興課長 加藤 主税 氏から、「2020年に向け全国3万箇所のWi-Fi整備を目指して」と題して、基調講演が行われました。

Wi-Bizに加盟している各企業としては、総務省が実施している「公衆無線LAN環境整備支援事業」の2017年の状況、2018年度以降の取組計画が直接的なビジネスにつながる内容になるので、詳細に報告します。

1.Wi-Fi整備のメリットと必要性

平時と災害時におけるWi-Fiの活用ということで、総務省として有事(災害時)がメインの補助事業となるが、平時の利活用が条件となるので、自治体として補助事業の活用メリットは大きく、平時は観光用途や教育環境での利用ができると、説明がなされた。

その中でも教育分野においては、文部科学省中央教育審議会(2016年12月)を踏まえ、2017年3月に小学校及び中学校の新学習指導要領が公示され、その中で「学校ICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実」の方針が出された。そのことからも公立学校におけるICT環境の整備は待ったなしの状況にあり、総務省としても公立学校におけるICT環境(Wi-Fi環境)整備の後押しを進めるとのこと。

また観光分野においても、2016年の訪日外国人旅行者が2,000万人超2,404万人となり、観光地のWi-Fi環境整備済み自治体における来訪観光客増に対して、Wi-Fi環境は効果的な数値が出ている。

2.2020年に向けたWi-Fi環境の全国整備

当該事業の2018年度の予算額としては、14.3億と2017年度の予算から大幅な減額となっているが、事業費用内の機器等の単価が下がった事、対象とする箇所として4,000箇所を想定した予算額になるとの説明がされた。
事業主体、補助率、補助対象箇所等ついては、2017年度とほぼ同様の内容となり、大幅な変更はされない。補助対象の詳細については、3項にて報告します。

2017年10月時点で地方公共団体に対して、防災環境におけるWi-Fi環境の整備状況の調査を実施、2018年1月に「整備計画」を更新、2019年度までに約32,000箇所について整備意向が示されているが、2017年度における整備状況等を踏まえて、2019年度までの整備目標数は、引き続き約30,000箇所とする。
地方公共団体への調査の結果として、約21,000箇所が整備済みとなり、整備予定として約9,000箇所となり、今後「整備計画」に基づき、2019年度までにこの9,000箇所への整備を推進する。

今後の整備の進め方として、2017年度は2,512箇所の整備にとどまっていて、当該年度の実績ベースの伸び率では、2019年度30,000箇所への整備達成は難しいとの説明があり、2018、2019年度においては整備の加速化が必要との事で、2018年度は約4,000箇所、2019年度約5,000箇所を目標として進める事で、目標である約30,000箇所への整備が完了を目指す。

また2017年度の実績を鑑みて、2018年度「公衆無線LAN環境整備支援事業」の整備負担の経験や耐災害性を図るため、以下3項目について補助事業の用件見直しの説明があった。

① 事業者の下見積りに係る必要取得数の減少
整備に必要な機器購入費や工事費用の適正な価格を確認するため、これまでは3者以上の下見積りの提出だったが、事業主体の地域性を考慮して、2者以上の相見積りに変更。

② 見積書(事業主体作成)の様式簡素化
事業主体において、①の相見積りのうち最低価格のものと「建設物価」等の公的な根拠資料を比較して、事業費算出の根拠となる煩雑な見積書をそれぞれ作成が必要だったが、 機器や工事費の単価に関する資料統合をして、様式の簡素を図った。

③ 災害時の利用の確保
簡素化ではないが、事業実施に当たり、各申請主体の実情に応じて、施工に当たっての各種基準を参照し、災害時に必要な設備機器等の利用ができるように対応。

※各種基準の例については、当該事業の「申請の手引き(P.26~27)」に記載。

3.効果的な整備例とランニングコストの現状・対応策

防災観点から、体育館、クラウンドや移動制約者に配慮して特別教室におけるWi-Fi環境整備が重要となることから、学校の整備を促進するにあたってのポイントについは以下の通りとなる。

  1.  補助事業では、災害時の避難計画のある「体育館」「校庭」「特別教室」「多目的教室」「廊下」等へのWi-Fi整備が補助の対象なる。
  2.  普通教室への直接的な整備は文科省の地財措置の対象となることから、補助対象外となるが、①計画のある特別教室付近の廊下、住民の避難を想定している廊下等に、Wi-Fi整備をすることによりその電波を普通教室でも利用可とする。

 

昨年春の会議では「体育館」「校庭」「特別教室の一部エリア」に限定するとの説明がされていたが、事業主体の実情を勘案した上で、整備対象エリアに対して補助を実施することになる。あわせて伝送路(LANケーブル)、伝送装置(フロアスイッチ等)、インターネット伝送路等についても、老朽化等により災害発生時に機能しないの場合は、条件によって補助事業の対象となるケースもあるとのこと。

また導入後のWi-Fi環境の維持に関わるランニングコストの現状と軽減対応策について説明があった。
当該事業によるWi-Fi環境の整備は、そのサービス内容や事業規模等によって、年間で数十万~数百万程度の運用費が見込まれ、事業主体においてはそのライニングコストの予算確保を毎年強いられることになるので、総務省としてもライニングコストの軽減対策について事例をもとに説明がされた。

① 地方財政措置の活用
岩手県田野畑村では、過疎対策事業債(ソフト分)「交通通信体系の整備」を充当することにより、年額約300万円のランニングコストの軽減を実現。

② 民間通信事業者とのアクセスポイントを共用
島根県隠岐の島町では、指定避難所等8箇所について、民間事業者に余剰SSIDを貸与することにより、運用費用月額3万円を軽減。

③ 児童販売機の飲料収入を活用
福岡県福岡市、千葉県大多喜村においては、自動販売機の設置事業者とのWi-Fiと自動販売機のパッケージ化を進める事で、ランニングコストの費用負担なく運用を実現。

4.今後のスケジュール

2018年度の「公衆無線LAN環境整備支援事業」の公募について説明がされた。

① 公募受付先
2017年度同様で全国各総合通信局にて受付を実施。

② 公募案件の選定及び評価方法
申請内容を以下の観点から総合的に審査を実施し、交付先を決定する。

  • 交付要綱第3条(定義)で定める「補助目的」に合致している事。
  • 整備箇所、事業規模、整備内容が効率的かつ効果的である事。
  • 整備した設備の有効な利活用(平時を含む)が見込まれる事。

 

③ 今後のスケジュール(主なもの)
公募締め切り2018年3月30日、5月末以降に交付決定、その後事業実施。
※事業完了の報告は「補助事業が完了した日から起算して1ヶ月を経過した日」または「2019年4月10日」のいずれか早い日まで。

各分野からの取り組み紹介とパネルディスカッション

基調講演のあと、取り組み紹介とパネルディスカッションが行われました。
まず、取組紹介から、報告します。

1.教育分野

国立大学法人 東京学芸大学
教育学部 教育学講座准教授 高橋 純 氏

「学校教育におけるWi-Fiの活用」と題して、国内外のタブレット利活用、その環境を支えるWi-Fiインフラ環境、プログラミング教育、国内公立学校のICT整備状況や学校が抱えている整備やインターネット回線等の課題の話があり、合わせて文科省の取組みの「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめ」「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」等について講演されました。

2.観光分野

香川県高松市
創造都市推進局 観光交流課 課長補佐 吉峰 秀樹 氏

無料公衆無線LANサービス「かがわWi-Fi高松」と題して、高松市として平成27年度に実施した、Wi-Fi整備背景や経緯、実際のWi-Fi環境後の外国人観光客数増への効果、事業概要として整備エリアやサービスの概要、実費用(整備コストとランニングコスト)、実データによる利用状況等の分析説明、整備の目的達成の検証等について講演されました。

3.自治体分野

岩手県下閉伊群田野畑村
政策推進課 江藤 俊彦 氏(当日は代理講演にて同部署佐々木氏が講演)

岩手県北部に位置する田野畑村における「地域情報化とWi-Fi導入~少子高齢化がすすむ過疎地の実情とICTによる対策」と題して、地域情報化政策の目的、光ブロードバンド開通によって導入検討をしたシステムとその実績、超高速ブロードバンド基盤整備の事業による居住網羅率100%の実現、観光・防災Wi-Fiステーション整備事業の概要、事業構築と運用費用の内訳、実際の運用実績等について講演されました。

次いで、パネルディスカッションが行われました。

Wi-FiなどのICTを活用した「地域活性化」と題して、デモレーター慶応義塾大学政策・メディア研究科夏野氏、バネリストは総務省加藤氏、東京学芸大学高橋氏、高松市吉峰氏、岩手県田野畑村佐々木氏が参加をして、教育、観光、自治体の各分野におけるICT活用による実情や課題に対して活発な意見交換が行われた。

今後の公衆無線LAN環境整備支援事業含めた、ICT化の整備・利活用推進における課題や、その解決に対してのポイント等の発言が少なくなく、参加した自治体及びネットワーク構築事業者として有用なディスカッションが行われました。


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